
『ヘソだ史』2022-08-14
ヘソ出し。
フェミニストがある時期から憎悪しだした「エロ表現」のひとつである。主に女性が、セパレートタイプの腹部の露出した衣装を着ている状態を指す。現実の日本や米国などでは1990年代後半~2000年代に流行した。
もちろん「エロ表現」などと今どき思っているのはフェミニストくらいのものであり、実際に流行した日米などはもちろん、現代の多くの先進国の一般常識において、へそを出していることはエロ表現とは呼べたものではない。
もちろん道路や公共交通機関のような「公共の場」で、女性が下の写真のような格好でたむろしていても何の問題もないわけである。

現実のファッションだけでなく、漫画やアニメやゲーム――それも幼い女児をターゲット層としたアニメ番組のヒロインであっても、「へそ出し」はまったく問題のないデザインとして認知されている。
そしてその状況をフェミニストも受け入れていた。
たとえば『HUGっと!プリキュア』の主人公・キュアエールはへそ出しの衣装であるが、それを批判するフェミニストはいなかったばかりか、同作にジェンダーフリーを意識したキャラクター・展開が数回登場することに狂喜乱舞し「ジェンダーの壁を破る作品」として称揚さえしていたのである。

『HUGっと~』に限らず「プリキュア」シリーズでは初代主人公であるキュアブラックをはじめ、他にもへそ出し衣装のキャラクターは珍しくない。
そして同シリーズは、オタク向け(と彼らがみなした)アニメを腐す際に「こちらはいかに健全か、それにひきかえ~」という当て馬としてフェミニストに散々悪用愛用されているアニメである。
とはいえ逆に「日本のアニメと違って海外は...…」と、日本アニメを腐したいときには、その意見は彼ら自身によって忘れ去られるのではあるが。
『キモオタ向けアニメ』を貶める時には
— HitoShinka -ヒトシンカ-@文筆業/『センサイクロペディア』編纂・『シンカ論』連載中 (@hitoshinka) December 10, 2021
「性的な強調がない健全な女児アニメ」
に祭り上げられ、
『アメリカ様白人様ディズニー様』を持ち上げる時には
「オタクの都合のいいオカズ」
だった事にされちゃうプリキュア達に幸あれ。https://t.co/I8L6MvvO4k pic.twitter.com/pupXd9EGMw
しかし少なくとも、おおむね2年に1人くらいの頻度で登場する「へそ出し」ルックのプリキュア達を、フェミニスト達がこれっぽっちも気にしていなかったことは間違いのない事実だ。
少し時代を遡り、吉田戦車の作品『火星田マチ子』(1993)には「へそ痴漢」なる男がギャグとして登場する。
夜に路上で女性に自分のへそを見せるというだけの男だが、誰にも痴漢として嫌がってもらえない。唯一嫌がってくれたのが地球人とは異なる感性を持つ火星人のマチ子で、へそ痴漢はそのことに大感激するという話である。

つまり「へそ如きを性的とみなす人」は「おかしな人である」というギャグにさえ使われていたのである。
もしも彼の真似を実際にやってみたら、あるいは迷惑行為となるかもしれない。いや多分なるだろうが、しかしそれは意味不明な奇行として迷惑行為であるに過ぎない。別にへそが性的だからではないのだ。
ヘソとフェミの蜜月関係、終わる。
ライター業、連絡はDMでどうぞ。匿名・別名義での依頼も相談に乗ります。 一般コラム・ブログ・映画等レビュー・特撮好き。