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『島耕作「日当」問題 ~戦う当事者となんくなるない沖縄の日常~』2024-10-25

※タイトル画像:『モーニング』2024年10月17日発売号表紙より

 10月21日、「モーニング」の編集部が一種の謝罪文を発表した。同月17日発売号で、沖縄の辺野古基地反対運動に対して「抗議する側もアルバイトでやっている人がたくさんいますよ 私も一日いくらの日当で雇われたことがありました」という台詞があったことについてのものである。

モーニング公式サイトより
NHK NEWSより

大前提

 大原則を確認しておくと、『島耕作』シリーズはいずれも誰が見たって明らかなフィクションであり、その作中で登場人物が何を話し、何が起こったとしてもそれは全て虚構である。
 つまり本来、本作が謝罪する必要は一切ない。そのことはXでも表明したので、今一度貼っておこう。


 そしてもちろん、本作においても「いつものテロップ」でフィクションであることは明示されている。

17日発売号の『島耕作』冒頭の画像

 なおかつ、辺野古基地反対運動に参加にあたって、日当が出ることがあるのはどうやら事実であるようだ。「交通費」や「行動費」といった名称で出ていることもあるが、普通に日当として出ていることもあるようであり、沖縄の米軍基地反対運動をウォッチしているネット民たちは、従来から持っている。

 ただしもちろん、みんながみんな貰っているわけでも、毎回出ているわけでもないだろうし、交通費に比べて過大な額が出ているとも呼べないことも多々あるようだ。
 たとえば先のX投稿の一枚目の画像では「5万円」の交通費が出ることになっているが、仮に出発地が東京・羽田空港だとして、Googlemapで調べると実際にかかる飛行機代は2万円ほど。空港まで、現地までの陸路の交通費もあるとすると過大な額が出ているというわけではない。

 ただ格安航空券を使えばもっと安くすることもできるだろうし、行き帰りの日をずらすことで滞在期間を延ばせば、実質交通費無料の沖縄観光を楽しむこともできそうである。だがそれは受給者側の工夫の問題だ。
 仮に「辺野古基地反対運動は、バイトが金のためにやっている『だけ』だ」と言うのであれば、それは不当な評価であろう。

『島耕作』は右翼マンガなのか

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