7年前に書いた日記
7年前に書いた日記が出てきました。
今も気持ちは変わらないので、再掲します。
(以下)
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ほのかに憧れていた小説家を、本格的に目指し始めたのが、
37歳のときでした。
まず、「どうすれば小説家になれるのか」調べてみると、
コンクールで「新人賞」を受賞しなければならないことが分かりました。
しかし、世の中には小説家になりたいひとがたくさんいて、
各出版社の文学賞の倍率は気が遠くなるほど高い。
加えて、出版社は「なるべく若い作家」を求める傾向が強く、
大学在学中にデビューする新人作家も多い中で、
37歳という私の年齢は、いかにも遅すぎました。
アナウンサーという肩書きも、文学界では無意味です。
(在京キー局のアナウンサーなら別でしょうが……汗)
正直、私が作家になるのは限りなく難しい状況だと分かり、
愕然としたことを覚えています。
それでも「このまま何もしないで死んでいくのは嫌だ」と思い、
毎晩、明け方までパソコンにしがみついていくつかの作品を
書き上げ、様々な新人賞に送り続けました。
……数ヶ月かかって書いた原稿用紙400枚の自信作が、
文芸誌の「文学賞発表ページ」を開いた途端、
あっという間にゼロになる、水泡に帰す……あの徒労感、喪失感は、
投稿した経験のあるひとにしか分からない心境だと思います。
小説家を志してから3年後、運よく私は学研の新人賞を頂き、
デビューすることが出来ました。
運よく、と言いましたが、それは本音です。
私より実力も才能も情熱もある作家志望者は、たくさんいると思います。
ただ、あきらめずに頑張り続けたことで、私を拾ってくれる出版社が
運よく現れたのだと思います。
(もちろん、職場の皆さんや家族の理解も大きかったです。
そして今にして思えば、3年という期間も短い方でしたが……
5年でも10年でも、きっと私はあきらめなかったと思います)
12月1日に、私にとって5冊目の本が出版されます。
実は、この本の元になった作品は、作家デビュー前に書いた短編のひとつです。
10年近く前、あの頃の私は「いつかこの作品を本にしたい」と
祈るような気持ちで執筆していました。
その新刊の帯に「あきらめなくてよかった。」とあります。
担当編集さんがたまたま書いた言葉ですが、
固い岩盤を素手で掘り進むような気分だったあの頃のことを
ふと思い出したのです。
夢は叶うまであきらめなければ、たいてい叶う、と私は思っています。
たとえ叶わなくとも、努力し続けたひとには、必ず次のステージが
用意されるのではないでしょうか。