BtoB営業が必ず知っておくべき基本フレームワーク4選
営業研修講師の海老原です。
BtoB営業が現場で使える基本フレームワーク4選を厳選して解説します。
BtoB営業が必ず知っておくべき4つの基本フレームワークとは
4つのBtoB営業基本フレームワークが「BANT」「DMUマップ」「FABE分析」「3C分析」です。
情報収集フェーズで「何を聞くか」のフレームワークがBANT。その後の提案フェーズ「何を提案するか」に使えるフレームワークがFABEです。
DMUマップと3Cは、商談全体を通して、「どこから情報を得るべきか」「どの視点で解釈するか」を考えるための視点・地図として利用できます。
・BANT(バント):Budget,Authority,Needs,Timeframeの頭文字をとった略語です。「予算」「決裁権」「ニーズ」「導入時期」の4つの質問の切り口を示す営業フレームワーク
・DMU:Decision Making Unitの頭文字を取った略語です。顧客の意思決定単位=顧客の意思決定者、または意思決定関与者を構造的に把握するための営業フレームワーク
・FABE分析(ファベ):FABEとは、Feature、Advantage、Benefit、Evidenceの頭文字をとった略語です。FABE分析は、提案のコンセプトや訴求方法の分析に使える営業フレームワーク
・3C分析:Customer(市場・顧客) Competitor(競合) Company(自社)の3つの視点で業界環境分析を行うフレームワーク
BANT:営業ヒアリング基本フレームワーク
BtoB営業の商談ステップは、大きく2つにわけると「情報収集」と「提案」に分けられます。情報収集フェーズの営業フレームワークが、BANT(バント)です。
Budget(予算)のヒアリング
営業商談の予算額は、いくらか?
予算は確保済みか? まだなら予算確保できそうか?
誰が予算額を決めるか?
Needs(必要性)のヒアリング
どんなニーズか?
ニーズは確かにあるか?(個人見解ではなく、企業組織の目線みて合理的なニーズか?)
ニーズは強いか? その根拠は?(定量的に試算すること)
Timeframe(導入時期)のヒアリング
導入時期はいつか?
導入時期を含む、商談全体の検討スケジュールは?
導入決定までのプロセスで顧客の誰が、いつ、何をするか?
FABE分析:営業提案基本フレームワーク
BtoB営業商談ステップは、大きく2つにわけると「情報収集」と「提案」に分けられます。
FABE(ファベ)は提案フェーズの営業フレームワークです。
FABE分析のF:営業提案の特徴
FABE分析のF、Feature は、提案や商品の特徴、概要説明です。提案概要を一言で説明します。1文、2文くらいの分量で端的にまとめます。
FABE分析のA:営業提案の優位性
FABE分析のA、Advantageは、競合(商品)に対する優位性です。「競合に対する」ですから競合を具体的にする必要があります。
例えば、マクドナルドの競合は、ファーストフードというカテゴリでは、モスバーガー、サブウェイなどが考えられます。あるいは、サラリーマンの昼食とすれば、コンビニ弁当なども競合になりえるでしょう。
モスバーガーに対する優位性とコンビニ弁当に対する優位性は、表現が異なってくるはずです。
FABE分析のB:営業提案の顧客便益
例えば、「とても小さい」は、商品の特徴ではありますが、直接顧客メリットを表現していません。例えば「(とても小さいので)ズボンのポケットに入ります」は、顧客メリットを表現してます。
前アップルCEOの故スティーブ・ジョブズは、iPod発売の伝説的なプレゼンテーションで「スボンのポケットに1000曲入る」という顧客メリットを訴求しました。
FABEのE:営業提案の証拠
FABE分析のE、Evidenceは、裏付けとなる情報です。AdvantageやBenefitを根拠づける証拠です。
例えば、「政府統計」「科学的な実験データ」「専門家のコメント」などは証拠となります。
営業提案のEvidence(証拠)は2つの使い方があります。Advantage(優位性)に対するEvidenceとBenefit(顧客メリット)に対するEvidenceです。
文章なら次のような表現になります。
「この商品の優位性は、●●の性能が優れいてることです。具体的には、」
「この商品にはこのような顧客メリットがあります。例えば、」
DMUマップ:顧客理解基本フレームワーク
DMUマップは、情報収集から提案まで、商談プロセス全体を通して使う営業フレームワークです。
DMUマップは、顧客を理解し商談を進める上で「誰から情報収集するか?」「誰に向けて提案するか?」を考えるための地図として使えます。
DMUマップ活用事例
DMUマップで、顧客の意思決定構造を分析した例を示します。
製造業工場のDMUマップ
こちらは、製造業の工場のDMUマップです。この場合、顧客企業は工場を複数持っています。そして、工場ごとに「生産技術部」「製造部」「購買部」という3つの組織を持っています。
DMUマップの使い方
DMUマップで、「各意思決定関与者の関心事はなにか?」「どのように意思決定に影響を及ぼすか?」「意思決定に及び素影響力はどのくらいか?」「自社に対する態度は?」など、全体像を構造的に把握します。
DMUマップは、関係者の全体像を視野を広げて網羅的にみるためにも有効です。例えば、営業研修でDMUマップ作成ワークがあります。その後顧客ニーズについて質問すると、「思ったよりお客様のことを分かってなかった。会うべきなのに会っていない人がいた」という声が多く聞かれます。一人で営業活動しているとどうしても視野が狭くなるのです。
DMUマップの書き方
DMUマップの書き方は様々です。
まずは事例のようにシンプルな組織構造を把握しましょう。その際、部署単位だけでなく、1人1人誰がいるかを氏名・役職まで把握することが重要です。
特に購買意思決定に影響しそうな人物は必ず確認します。例えば、事例では製造部の「班長」は、工場の意思決定に関わるようなので、重要人物として把握します。
3C分析:商談の営業戦略検討基本フレームワーク
3C分析はマーケティングで有名なフレームワークです。
3C分析は、商談を取り巻く環境分析にも有効です。営業戦略を検討するために3C分析の顧客、競合、自社3つの視点で網羅的に検討し商談戦略の質を高めます。
営業フレームワークとしての3C分析
3C分析では、Customer(市場・顧客) Competitor(競合) Company(自社)の3つの視点で業界環境分析を行います。
3C分析の3者は業界だけなく商談分析のプレーヤーとも一致します。
Customer:本商談での顧客の状況は? 目的は?予算は?期間は?
Competitor:本商談での競合は誰か? どんな提案をしているか? いくらで提案しているか? 強み・弱みは何か?
Company:自社と顧客の関係は? 競合に比べた強み・弱みは?
Costomer:商談中の顧客
業界を対象に3C分析を行う場合、Costomerは市場・顧客と解釈します。
営業商談での3C分析のCostomerは顧客、しかも商談相手の顧客1社のことです。
顧客情報を詳細に得るには、BANTなどのフレームワークを使います。
3C分析では、BANTで得た顧客情報と競合情報や自社情報を比較します。このようにフレームワークを組み合わせて使うことが有用です。
Competitor:商談を争う競合他社
通常の3C分析では、業界全体での競合を想定します。
商談で3C分析を使う場合は、この商談を争う競合他社に絞って分析します。
商談の競合分析で最初におこなうべきこと
商談の競合分析において、はじめにすべきことは何でしょう。
「この商談を争う競合は何社あるか?」「その競合は、どこか?」を顧客からヒアリングすることです。まずは、敵を知る必要があります。
商談の3C分析で犯しがちなミスが、提案最終段階になって競合調査を始めることです。提案の最終段階で競合情報がわかっても、大抵手の打ちようがありません。
最もありがちなのが、提案の差別化余地がない状況で競合との争いになり価格競争で疲弊するパターンです。
商談の早い段階から3Cという営業フレームワークを意識し、視野を広げて情報収集しておきましょう。
(文責:プロジェクトファシリテーター 海老原 一司)
元記事
https://project-facilitator.com/btob-sales-frameworks/