いざ「働き方改革」元年へ
日本経済再生に向けた最大のチャレンジとして始動した「働き方改革」。
政府は、昨年公表した働き方改革実行計画に従い、労働関連法令の改正をはじめとして、様々な改革を行っている。
しかし、「働き方改革」に対する会社の反応は様々で、積極的に「働き方改革」を進めている会社もある一方で、「働き方改革」に対して消極的な姿勢の会社も多数存在し、しかも、多くの会社は、法改正に対応するだけで満足しており、人事制度の根本的な見直しには至っていない。
各会社は、日本の人事制度が重要な転換期にあることを再認識し、「働き方改革」を利用して企業成長につなげるという意識を強く持つべきである。
まず、今般の働き方改革関連法の成立により、罰則付き時間外労働の上限規制が導入され、中小事業主以外の会社については来年の4月1日に施行される。
改正の目的は長時間労働の是正であるが、生産性向上の方策なしに強引に残業時間を削減しようとすると、仕事の質を低下させるほか、労働者に過大な心理的負荷を与えるおそれがある。また、成果主義的な評価制度を取り入れないまま残業時間を削減すると、残業代が減少し、労働者のモチベーション低下、ひいては離職にもつながり得る。
現時点で「働き方改革」に成功している会社は、業務の効率化等により生産性を向上させるとともに、成果主義的な評価制度の導入や削減できた残業代の労働者への還元をセットで実施している。具体的な還元方法としては、ボーナスへの上乗せをはじめ、スキルアップに対する褒賞金の支給や福利厚生の拡充等が考えられる。
いわゆる同一労働同一賃金規制も「働き方改革」の目玉の一つである。
同一労働同一賃金規制の目的は、主に契約社員等の非正規労働者の処遇改善にあるが、「労働」と「賃金」を紐づける考え方は、日系企業の人事制度に大きな影響を与えるものである。
成果主義的な制度を持つ外資系企業の日本進出が進み、継続雇用年齢の引き上げが検討されている中で、昔ながらの正社員優遇・年功序列制度を採用している日系企業が競争力を高めていくためには、人事制度の抜本的な見直しが急務であるといえる。
「働き方改革」の波に乗れば、有能な人材の確保につながる。
だが、そのためには、法改正に渋々対応するのではなく、現状の人事制度の問題点を分析し、各会社に適した「働き方改革」を行うべく、労使で協力し合い、企業成長につなげる改革を進める必要がある。
来年は、働き方改革関連法の最初の施行日を迎えるという意味で、「働き方改革」元年である。ぜひ、実のある改革を急ピッチで進めていただきたい。
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