ジョーブラックをよろしく#1ヶ月チャレンジ
今回のテーマは「最近泣いたこと」。
「泣く」という行為は自分の中ではストレス発散に近い。
嫌なことが続いたり、生理前だったり、穏やかだった日常にストレスを感じるとこれはダメだと思って音楽や映画に触れる。思いっきりわんわん泣く。そしてぐっすり眠る。そうすると、次の日には不思議と心が軽くなっているのだ。
というわけで、最近泣いたのはもちろん映画を観ていた時だった。
恐らく有名な作品で、ご存知の方も多いだろう。かくいう私もずっと心のメモに留めながらそれでも観れずにいた作品をやっと観たのだ。それが、題名にもなっているこちら。
「ジョーブラックをよろしく」
何故観れなかったのか。
この映画、3時間なのである。
今まで「風と共に去りぬ」とか「タイタニック」とか、もう少し長い映画も観てきたには観てきたけれど、3時間って結構根気がいる。よし観るぞ!という気概がなければ向き合えず、今まで遠巻きに眺めてばかりいた。
GW、意を決して再生の▹ボタンを押した訳だが、結果、もう、本当にもう最高だった。
ブラッド・ピットの佇まいから溢れる美しさ、クレア・フォーラニの凛々しくて涼し気な瞳、アンソニー・ホプキンスの細かな演技がもう、素晴らしい。
まだ観てない人のために詳しい内容は避けるが、小さな心の動きが、息遣いや目の動き、瞳のうるませ方で繊細に丁寧に演じられていて、胸がぎゅっと押しつぶされるようだった。
映画の中での一貫したテーマは「人を愛するとはどういうことなのか」
娘に対しての愛、初めて体験した恋情の意味を持つ愛、自分が創りあげた会社への愛、それぞれの愛が交錯してぶつかって、たどり着く答えに涙が止まらなかった。
主役の3人の関係はちろん素晴らしかったのだが、それはきっと誰の目から見ても素晴らしいものに違いないのでここでは割愛する。
私が1番心を打たれたのは、主人公のひとりであるウィリアムの長女であり、同じく主人公のひとりであるスーザンの姉、アリソンのセリフだ。
ウィリアムはスーザンをよく可愛がっていて、アリソンはその事実を知っていてなおウィリアムの為に誕生日パーティを計画してる場面から物語は始まる。
作中、彼女は妹の方が可愛がられている事実を知っていながらも、それ以上を求めない姿勢を貫いていた。少し癖のある性格をしているのだが、それでも父であるウィリアムのためを思って動く姿は健気にも見えた。
その彼女が最後、誕生日パーティが開かれたその日に父に対して言うのだ。
「私は、私が感じたパパからの愛情で十分」
思い出すだけで涙が出そうになる。
自分は真ん中っ子で、姉や弟を可愛がる母に寂しい思いをした過去がある。
もっとかまって欲しい気持ちを隠して、なんでもないように振舞おうとした小さな頃の私を思い出してなお、今自分は同じセリフを言えないだろう。
だから、そうやって言いきれるアリソンがどれほど辛い気持ちを抱えながら、その言葉を口にしたかを想像して泣かずにはいられないのだ。
そしてまた、そう言いきれるアリソンを尊敬せずにはいられなかった。
自分で探し出して見つけた愛情を宝物のように大切にしているその姿は、私にはとても眩しく映ったのだ。
主役3人に引っ張られてしまうが、こんなにも強く美しい女性が観れる映画。
絶対にもう一度観たい。
ストレスが溜まって泣いてスッキリしたい人には全力でおすすめする。
ああ、いい出会いをした。