乗り換えアプリのユーザー体験が変わる!?「JR東日本アプリ」のUX/UIの良さ
Web/スマートフォンアプリ業界の片隅でPdM / PMの仕事をしている関係で、様々なサービスやアプリを実際に利用してUXやUIのインプットに役立てています。
そんな中、ネットですごいと噂になっている「JR東日本アプリ」も実際に入れて利用しているのですが、個人的に知っている乗り換えアプリの概念が覆るとともに、これが欲しかったと思える内容だったのでUX/UIの観点で記事にしてみました。
できること/機能をシンプルに提供
全体的にできること/機能がシンプルに提供されているため、利用していてGoalまで「迷う」ことがなく利用できる設計になっています。
例えば一番JR東日本アプリの中で利用する人が多いと想定される「経路検索」ですが、検索条件画面はかなりシンプルで検索条件が大きく表示されていて見やすくなっています。また、人によって設定するか分かれるものは、オプション的立ち位置にわかりやすく置かれており、一番重要な「出発地点」「目的地点」「時間」にフォーカスが行くようになっています。
他の機能も、必要情報とオプション情報がわかりやすくなっているため、やりたいことを最小限で実行するための体験設計が徹底されていることが感じられます。
テキストがすぐイメージできる単語で提供
アプリ全体を通して、テキストのメッセージ性が「シンプル」「わかりやすい/イメージしやすい」形を徹底しています。
例えば「経路検索」のオプション条件に「歩く速度」があります。こちら、条件設定を開くと、以下のように「はやい」「ふつう」「ゆっくり」「もっとゆっくり」という形で表現されており、それぞれのイメージも1行(端末サイズによっては2行)でわかりやすく伝わる形になっています。
普段利用しているルートなら、これまでの乗り換えアプリの乗り換え時間などで十分なのですが、初めての駅だと迷ったりして焦ったり乗れなかったりするので、状況に合わせて切り分けられるのと、それをわかりやすく表現しているのはポイントが高いと思います。
また、経路検索の結果詳細画面では、「乗り換えやすい号車」「x駅目で降りる」といった形で、慣れない人向けに少し文字数が増えても伝わりやすいメッセージで記載しています。
他にも、アプリを利用する中でじっくり見るとテキスト表現をシンプルで伝わりやすい形にするための考慮が感じられる点を見つけることができます。
サービスを提供する際、テキストは短すぎると「伝わるだろうか」という不安、長すぎると「読まれないんじゃないか」という不安との戦いになりますが、かなり1つ1つ妥協せずメッセージを考えたと思われます。
経路検索の結果が視覚的に判断できる形で提供
JR東日本アプリですが、様々な点でより良いユーザー体験を目指して設計されていることが感じられますが、その中でも経路検索の結果画面はこれまでにない秀逸なものになっていると思います。
こちらは「東京」「新大阪」の経路検索結果画面ですが、文字を見なくても視覚的に「各手段の時間」がわかる形になっています。また、文字情報も「乗換回数」「乗換場所」「金額」「時間」の4つに絞られており、UIとマッチした形で表現されています。
※個人的には、金額には「3桁毎カンマ」が欲しかったですが(笑)
下側で「早い移動手段」「楽な移動手段」「安い移動手段」の切り替えができるようにすることで、メインの結果はビジュアルで各手段の時間を表現することに特化した作りにしているのは上手だなと思います。
また、結果一覧をタップすると結果詳細を見ることができるのですが、こちらも視覚的にわかりやすい作りになっています。
少し話がそれますが、個人的に「スクショを保存」機能が便利で重宝しています。
該当の詳細画面全体が保存されるので、知り合いなどにも共有しやすくて便利です。
次に行いたいアクション導線をわかりやすく提供
最後になりますが、次にユーザーが行いたいと考えるアクション導線がわかりやすい作りになっています。
上で挙げた経路検索の結果画面ですが、実は左右の端でスワイプすると、前後の結果一覧にそのまま遷移できます。これは横スクロールで見る体験の中では自然な行動になっており、いちいち時間設定しなおす必要がなく便利です。
経路検索の詳細画面も、詳細画面Topでは「乗り換え」「合計時間」「合計金額」にフォーカスしていますが、それぞれの詳細へも「記号」「色」「メッセージ」でわかりやすく導線を提供しています。
他にも、ユーザーが行いたい「メインアクションの導線」と、ユーザーによって利用可否が分かれる「オプショナルアクションの導線」の棲み分けがしっかりされており、必要な情報と導線がセットになる形で提供されているので、目的達成まで迷わず進めるように体験設計を考えたことが感じられます。
最後に
当たり前と思えるような項目ばかり書きましたが、世の中に出ている乗り換えアプリは、土地勘のある場所への移動では特段不満なく使えていました。一方で、土地勘のない場所への移動の際にイメージがつきづらい印象でしたが、JR東日本アプリはそうした問題をうまくクリアしてきたと個人的には感じています。
特に経路検索の検索結果一覧については、個人的には新しい風を吹き込んでくれたと感じており、今後今思いつきもしないような利便性の高いUX/UIが登場するきっかけになってくれると嬉しいと思いました。
また、経路検索の検索結果一覧の体験は、経路検索以外のサービスでも、参考にできる要素があると思うので、まだ未体験のプロダクトに関わる方は、ぜひ一度触れてみてください。
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