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東京?地方起業?起業するならどこの場所?
私にとっての仕事のコツの一つは、"定量化"。
起業や経営には本質的に不確実性が伴いますが、できる限り数値という客観的なデータに基づいた情報も踏まえて客観的に物事を評価することも必要です。今回は、起業に適した最適地を、定量的に探ります。
(1)はじめに
起業を考える上で、どこで起業するかは重要な決定事項の一つです。
起業のしやすさは、起業家の起業スタイルや生活環境に応じて変わりますが、地域に根付く起業風土なども大きな指標となります。
本記事では、中小企業庁のデータなどを基に、都道府県別の起業率や創業資金の調達のしやすさなどを分析し、起業に適した地域を探ります。
(2)都道府県別の開業率(起業率)・起業風土の醸成
「中小企業白書(2022)」によると、都道府県別の2020年の起業率は地域によって大きく異なります。上位5都道府県は、以下の通りです。
これらの地域では、周りで起業している人が多く、起業エコシステムが機能し易い地域と言えるでしょう。
【開業率の高い地域】
1位:沖縄県(8.8%)
2位(同率):東京都、福岡県、埼玉県(6.0%)
3位:愛知県(5.9%)
一方で、起業率が低い都道府県は、以下の通りです。
【開業率の低い地域】
47位:秋田県(2.7%)
46位:青森県(2.9%)
45位:岩手県(3.2%)
起業率が高い地域では、起業風土が根付いており、新たな起業が生まれやすい環境があると考えられます。
その理由としては、まず、周りに起業家が多いことで、ロールモデルや成功事例に触れる機会が増えます。これにより、起業に対する心理的障壁が下がり、自分も起業できるという自信を持ちやすくなります。
また、起業家同士の交流を通じて、アイデアの交換や相互支援が生まれ、起業のハードルが下がります。
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さらに、起業家が集まる地域では、起業に必要な資源や支援体制が整っている傾向があります。例えば、投資家やベンチャーキャピタルの存在、起業支援施設やイベントの開催、専門家によるアドバイスの提供などです。これらの要因が相まって、起業家にとって有利な環境が形成されます。
ただし、起業率の高さが直接的に起業の成功を保証するわけではありません。事業の内容や市場の需要、起業家自身の能力など、他の要因も重要な役割を果たします。
(3)創業融資の調達のしやすさ
起業時の創業資金の調達も重要な要素です。
各金融機関の保証付き創業融資件数をみると、東京都、愛知県、埼玉県などが上位を占めています。
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一方でこの指標は主に、地域の経済力と比例関係にあることから、ここでは、創業融資の割合(融資件数に占める、100%保証付き創業融資の割合)をランキング化しました。
【創業融資の割合が高い地域】
1位:沖縄県(14.9%)
2位:島根県(8.5%)
3位:宮崎県(8.0%)
これらの地域では、金融機関の創業融資に対する支援体制の充実などにより、創業資金の調達がしやすい環境にあります。
一方で、以下は創業件数割合が低い都道府県です。
【創業融資の割合が低い地域】
1位:山形県(2.4%)
2位:群馬県(2.4%)
3位:岩手県(3.0%)
これらの地域では、創業資金の調達が比較的難しい可能性がありますが、一方で、競合が少ないという見方もできる可能性があります。
実際に創業融資を行う際は、地方自治体の支援制度や、地域密着型の金融機関の存在など、他の要因も考慮する必要があります。
(4)生活コスト
起業を行う際には、事業の成功までに一定の時間を要することが多く、その間の生活費をどう賄うかは重要な問題です。特に、起業初期段階では収入が不安定になりがちなため、生活コストを低く抑えられる環境を選ぶことは、起業家にとって大きなメリットとなります。
生活コストが低い地域で起業することの利点として、同じ額の資金でもより長期間にわたって生活を維持できるため、事業が軌道に乗るまでの期間を長く確保でき、事業の成功率を高められるメリットがあります。
そのため、生活コストの面から見ると、地方都市では、家賃や食費、交通費などの生活費が東京などの大都市圏に比べて安く抑えられるため、有利に働きます。
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一方で、生活コストの安さだけを基準に起業地を選ぶのは賢明ではありません。事業の内容によっては、大都市圏の方が有利な場合もあります。
例えば、これらかスタートアップとして急成長を目指すIT企業であれば、東京のようなIT産業の集積地の方が、人材の確保や事業の成長に有利とも言えます。
起業家は、事業の特性や自身の生活スタイルを考慮しつつ起業する場所を選択することで、事業、ひいては人生の成功確率を高め、持続的な成長を実現できると思います。
(5)結局、起業しやすい地域は?
今回は、「開業率」、「創業融資率」、「生活コスト」の観点で、"起業のしやすさマッピング(都道府県別)"を作成!
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色々な視点からの解釈ができますが、以下の解釈は答えの一つでしょう。
■この3つの尺度だと、地方では、沖縄県、福岡県、愛知県の評価が高い
■首都圏は、起業率も高いが、生活費も高い
■起業率の観点からは、東北地域は頑張りどころ(伸び代も大きい)
人口減少、少子高齢者社会にあって、この差は、5年後、10年後、30年後の各地域の成長ポテンシャルを表す指標となるかもしれません。
特に、将来を担う若い人々に、選ばれる地域になるには、自治体と地域金融機関が相互に連携しつつ、新たな事業の種を蒔いていく必要があります。
(6)まとめ
起業地選びは、事業内容や対象市場との相性、自治体の支援制度の有無、生活環境や個人的な選好など、様々な要因を考慮する必要があります。
そして、通常は、起業率が高く、創業融資を受けやすく、生活コストが低い地域は、起業に適した環境が整いやすい地域とも言えます。
将来的に、各地域が持続的な成長を実現するためには、自治体と地域金融機関が連携し、起業家を支援する環境を整備することが重要です。
特に、若い世代の起業家を呼び込み、育成することが、地域の発展につながります。
各種データも参考にしつつ、自身の強みや事業の特性を理解し、それに合った地域を選ぶことが成功への第一歩となるでしょう。
また、選んだ地域の起業家コミュニティに積極的に参加し、ネットワークを構築することも大切です。
このように、起業地選びは、自分自身と事業の将来を見据えた、慎重な意思決定が求められます。
ぜひ、みなさまの、起業・経営のご参考にされてください。
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![公認会計士 / 藤田崇紘](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/169064379/profile_9f3ec8bfb9704917cbffd332ae305c7e.jpg?width=600&crop=1:1,smart)