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中国恒大集団はなぜ破綻したのか?〜そこから学ぶ連続不動産投資法〜

破綻すると言われてから約2年間生きながらえてやっと破綻

50兆円とも言われる多額の負債を抱えて、いつ破綻するかと2年くらい言われ続けてきた中国の大手不動産ディベロッパー恒大集団がついに米国で連邦破産法15条の適用。この連邦破産法15条というのは、外国企業が米国内の資産を保全するためのもので、米国企業でいうところの事実上の破綻と言われている連邦破産法11条=通称チャプターイレブンと同じ類の外国企業版といったところ。

この恒大集団、2年ほどから、債務超過に陥っていて、建築途中のマンションの工事が大量にストップしていて、購入者の抗議運動もかなり大規模になっていて、いつ破綻するかと言われていたのですが、さすが中国企業というか、なかなか破綻もせず、香港市場に上場したまま、1年半ほど前から、取引停止状態となっていました。

通常の資本主義国で考えれば、そのまま、上場廃止と行くところなのですが、なんと、この報道の数日後に、香港市場で株取引が再開されるというデタラメなことが起こり、当然といえば当然ですが、株価は9割近く下落するという(むしろ90%ダウンで止まったのが不思議ですが)激しい動きになっています。

こうなってくると、香港市場に上場している会社が発表している業績数値も信憑性を疑わざるを得ない状態になってきます。

ロイター通信によれば、2022年年末時点での負債総額は約48兆円。ニューヨークタイムズによれば、販売済みの未完成の住宅が去年末時点で72万戸あると言われています。

中国では、恒大集団の次には、さらに規模の大きい中国の不動産ディベロッパーである碧桂園(カントリー・ガーデン)も、社債がデフォルト寸前で延長を取り付けるなど、かろうじて生き延びている状態であり、破綻も時間の問題と言われており、ここから、中国不動産バブルの崩壊、中国経済のリセッションが始まるのではと懸念されています。

恒大集団のビジネスモデルと破綻のからくり

そもそも、恒大集団の破綻の原因はなんだったのでしょうか?

簡単にいえば、バブルで価格が上がり続けている間は、好循環が続いているので、急激に成長を続けられますが、一度、その歯車の一つが噛み合わなくなると、逆回転して、一気に破綻にむかってしまうという、危うさを持っている拡大手法を取っていたということでしょう。

恒大集団は、あまりにも規模を急激に拡大してしまったので、破綻しましたが、不動産投資においては、1個めの物件を現金で購入することができる(もしくは、無借金で所有している)ということがあれば、上昇相場で、銀行もお金を貸してくれるという状況であれば、誰でもその波に乗って、一気に規模を拡大することができるという、不動産投資で一般庶民がお金持ちになるための手法を実践で示している例であるとも言えます。やりすぎちゃったんで、破綻しちゃいましたけど、不動産投資は、夢があるなあと思うんですよね。

では、実際どういうことだったのか、からくりを小学生にもわかるように分かりやすく解説していきます。

まず、わかりやすくするために、前提を以下のようにします。

前提条件
手元資金が100万ドル
マンション建てる土地は100万ドル
マンション建設費は50万ドル
売値は200万ドルだとします。

通常のビジネスは
手元資金100万ドルで
土地買う
土地を担保に50万ドル借りて
建設会社に発注して50万ドル払う
200万ドルでマンションを販売する。

入ってきた200万ドルから、銀行に50万ドル返して、200万ー50万ドル=150万ドル手元に残る。

100万ドルの手元資金で、50万ドル儲けて上手くいったねで終了。

この場合、100万ドルの土地に対して、50万ドルしか借りていないのですが、バブルなので、担保のついてない土地に対しては、100%まで銀行が貸してくれると仮定します。

あと建設費は、後払い、マンションの販売は前払いで受ける。

恒大の場合
手元資金100万ドルで土地を買う
土地を担保に銀行から100万ドル借りる
建設会社に後払い50万ドルで発注する
200万ドルでマンションを販売して前払いで受ける

手元に300万ドルある
建設費は後払いなので払うまで猶予があるので
100万ドルの土地を3ヶ所300万ドルで買う。
土地を担保に銀行から300万ドル借りる
建設会社に後払いで50万ドルx3ヶ所発注
200万ドルx3でマンションを販売し前払いで受ける

手元には、900万ドル。
その頃、1棟目の建設が終了するから50万ドル払って、手元には850万ドルあるので、
100万ドルの土地を8ヶ所800万ドルで買う
残った50万ドルで他の事業に投資
土地を担保に銀行から800万ドル借りる
建設会社に後払いで50万ドルx8ヶ所発注
200万ドルx8でマンションを販売し前払いで受ける

手元には2400万ドル
その頃、3棟の建設が終了するから50万ドルx3払って、手元には2250万ドルあるので、
100万ドルの土地を22ヶ所2200万ドルで買う
残った50万ドルで他の事業に投資
土地を担保に銀行から2200万ドル借りる
建設会社に後払いで50万ドルx22ヶ所発注したが、建設会社が後払いだとお金が足りなくなってしまうので、少し前払いしれくれないかと言ってくる

資金が回らなくなって、建設会社が倒産したりする
工事が止まって、マンションが完成しなくなる。
買った人からクレームが多くなり、銀行も金を返せといいはじめる。

返せないので、工事を止める。さらに評判が悪くなり、マンションも売れなくなり、金も入ってこず、銀行にも返済できず、破綻。

一般庶民が小金持ちになるためには1軒目を現金で買えること

まあ、よくできた仕組みですよね。恒大集団はやりすぎちゃいましたけど、ここから学べることとしては、土地を開発して、不動産を分譲するディベロッパーのようなことはできないとしても、一般の個人の不動産投資でも、1軒目の物件を無借金で買うことができさえすれば(もちろん、銀行の担保になるような価値のある土地である前提)どんどん物件を増やしていける可能性があるということです。

前提は、上昇相場であればということですが。

一軒目を担保にお金を借りて、2軒目を買う。でも、2軒目は、無担保なんで、2軒目を担保に3軒目を買う・・・。不動産市場が上昇相場であれば、1軒目も2軒目の価値も上がってくるし、賃貸収入で借り入れも返済していくので、その担保価値に空きができて、さらに借り入れが組める枠ができるので、もっと高い物件を買うことができるという形で、物件を広げていけるわけです。

もちろん、上がり続ける市場はないので、どこかで不動産価格は下がることもありますが、借りてくれる人がいる限り、家賃が入ってくるので、借り入れをちゃんと返せている限り、仮に担保割れしたところで、銀行は一括返済してくださいみたいなことは言ってきませんので、そこで、拡大を一旦ストップすればいいだけです。

もちろん、恒常的に賃貸需要のあり続ける地域に、借りられそうな条件の物件を、適正な価格で買うということが大前提ですが(これが一番難しいわけですけど)それさえクリアすれば、一般庶民が数年間で複数物件の所有大家=小金持ちになることも絵空事じゃないわけです。

そのための大前提は、1軒目を無借金で所有できること。とにかく、自宅以外の賃貸できる物件を無借金で持ってさえいれば、スタートラインに立てます。そこからは、上昇相場に乗っかって、物件を増やしていくだけです。

10年前に東京で不動産投資を始めた人は、所有不動産価格が1.5〜2倍になっていると思います。

仮に一軒目を1億円で物件を購入したところから始めて、10年で所有物件が5軒になっていたとして、平均1.5担っていたとしたら、トータル5億円(うち借金4億円)で購入した物件は、総額7.5億円になっていると思います。これを全部売却したら、手元に3.5億円。まだ、FIREするには、足りませんが、1億円がわずか10年で3.5倍になっているというのは、なかなか夢があるとは思いませんか?



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