紹介予定派遣について

紹介予定派遣は、とても合理的なシステムだと思っていた。
派遣期間中に企業と派遣社員がお互いの能力などを把握し、企業は派遣社員を社員として登用したいか、派遣社員はその企業に登用されたいかを見極め、双方の合意があれば派遣社員は無事に派遣先に正規雇用されるというシステム。

双方の合意なんてないことの方が多いのでは?と検索をしてみたところ、やはり半数程度しか成立しないらしい。
参考:令和4年度厚生労働省の「労働者派遣事業報告書の集計結果」
https://www.mhlw.go.jp/content/11654000/001234776.pdf

私は現在、紹介予定派遣の案件で、派遣先にて就業中である。
前職の社長夫妻には本当にお世話になり、また職場の人間関係もとても良く辞めたいなどと思ったことはなかったのだが、コロナ禍以降経営がうまく回らず、外注先への支払いが滞ったことがきっかけで転職を決意。
しかし、求人票に記載のある条件だけでは入社を決意することが怖く、現場の状況をある程度把握出来る紹介予定派遣の制度を知り、良いなと思った求人票のいくつかに応募をし、1社面接に進み、採用になった次第。

7月1日から派遣就業を開始し、今月末に初回の契約が終わる。契約更新をしたら、また3か月の派遣就業となる。

紹介予定派遣を使ってみて初めて知った点

・派遣契約終了のギリギリまで社員登用の是非の回答を伸ばすことをできない
 ⇒通常フォローしてくれる派遣会社の営業担当者とは別に、社員切り替え後の条件などを企業と交渉する担当者が存在する。その交渉に、2か月程度かかるらしい。大体の派遣契約は3か月単位なので、紹介予定派遣期間が3か月の場合は就業開始してすぐ、6か月の場合でも4か月目には社員登用の是非を確定し営業担当者に報告しなければならないということ。派遣期間=社員登用への猶予期間ではない。
ちなみにR社は社員切り替えの時期が急遽早まって交渉期間が2か月を切る場合、交渉担当者ではなく派遣の営業担当者が交渉を兼任しないといけないらしい。ただでさえ忙しい営業担当者に業務外の交渉事など頼めるのだろうか・・?いや、交渉するのは派遣会社に入るマージンが関係する切り替え後の年収だけでは?交渉担当者はなぜ2か月もかかると想定しているのだろうか?謎である。

・社員切り替えをはっきり断らない限り、派遣元の他の案件に応募しても顔合わせまで通ることはない
 ⇒今回紹介予定派遣に応募したときに、「合わない職場だったらまたこの派遣会社の案件で仕事を探そう」と安易に思っていた。しかし、先に述べた紹介予定派遣は実際の派遣就業期間より巻いて決断しないといけない。つまり、通常の派遣就業であれば契約更新の一か月前に契約更新の意思表示をすれば良いところ、紹介予定派遣は二か月前に意思表示が必要なのである。要は、「社員登用前提で雇ったのに、それを断ったのにまだ居るの?」という期間が最低2か月は続く生き地獄となる。その生き地獄が確定しない限りは、派遣元の案件にいくらエントリーしたとて通ることはない。「次が確定してから生き地獄に耐えよう」という選択肢は、ない。そして、生き地獄が始まったとて、エントリーした案件の社内選考が通るか、顔合わせと言う名のの面接を通過できるかの確証はない。派遣会社に登録を継続しているからと言って、国保になる可能性は十分にあるのだ。

安定と確実を求めて選択した紹介予定派遣は、実際には異なるものだった。でもやはり、「自身で転職活動をして正社員就業した会社が実は赤字で経営状況が酷かった」とか「人間関係が酷かった」とか「社長がめちゃくちゃパワハラだった」とかは怖すぎて、非正規雇用を挟まないと正規雇用されたくないと考えてしまう。そしてチキンな私は、二か月間を生き地獄で耐える勇気もない。現在の派遣先は、私を正規雇用したいと言ってくれている。もう選択肢はない。いろいろ問題はあるが、いったんは正規雇用切り替えをすることを決めた。物価もなにもかも高騰した今、休業給付でモラトリアム期間を設ける余裕はない。望んでいなくても年齢は重ねてしまうしね。





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