教育を根っこから変えれば
バングラディシュで貧困地域の村から国内最難関のダッカ大学合格者を出す、というプロジェクトをしていた税所さんという方がいらっしゃいます。
バングラデシュで最も優れた予備校講師の授業をDVDにまとめ、さまざまな貧困地域で小さな学校を開いたのです。
もちろんどの村でもダッカ大学合格を目指しました。
DVD授業の自習形式なので、どこの村でも結果は変わらないはずです。
しかし実際は全く違いました。
ダッカ大学というのは日本の東大のような大学なので、もちろんなかなか受かりません。
貧困地域で生まれると、教育の機会が乏しいため、受からなくて当たり前なのです。
しかしそのDVD授業で毎年合格者を出す村がありました。
それはマヒンというダッカ大学生がいる村です。
なぜマヒンさんのいる村から合格者が出るのか。
それはマヒンさんが熱い心を持っているからです。
マヒンさんは学生時代にたまたま予備校に行くお金とチャンスがあり、ダッカ大学に合格しました。
しかし、故郷の村には自分より優秀な仲間がいて、金銭的な理由だけで大学進学のチャンスを得られずにいることに憤りを持っていたのです。
そんな熱い心を持ったマヒンさんがダッカ大学に行くことの素晴らしさを生徒に熱く語り、熱い心は生徒に移ったのです。
つまり教え育むべきは「心」なのです。
そこで日本に目を移してみましょう。
日本はバングラデシュとは違い、いくらでも勉強できます。
残るは心の問題だけです。
つまり難しい問題をするとか、たくさんの問題を解くとか、そんなことよりも、どれだけ「もっと知りたい!」「楽しい!」という心を育てるか、がはるかに大切だということです。
詳しくてわかりやすい参考書があれば、自分で理解できるはずです。
それこそ分かりにくい問題は映像授業でもいい。
今ならyoutubeもあります。
だから、学校がやるべきことはマヒンさんになること。
勉強内容より勉強の楽しさや意味を伝えてあげることです。
勉強の楽しさや意味が分かればいくらでも自分でやりたくなります。
小学校1年生の初めての日。
大きなランドセルを背負って歩く子供達の後ろ姿に、何を教えてもらえるのかとワクワクしている心は見えませんでしたか。
初めは誰だって、学んで成長できることにウキウキしているのです。
誰だって心の中に学びの火はついているんです。
その火を情熱の炎にするか、氷水をかけて消してしまうかは親や先生、教育方法次第です。
そのためならテストは失くしてもいいし、授業時間も内容も変えていい。
クラスも劣等感を生む「敵のような競争相手」を作る場ではなく「一緒に未来を目指す仲間」を作る場にした方がいい。
今はもう心理学のデータもかなり出揃っています。
今までの教育方法が勉強嫌いを生み出していることもデータで分かるはずです。
これからどんどん教育が変わっていけば未来は明るいですよね。