アポロは楽しくてスケボーに乗った
怒るというのは相手に嫌な思いをさせるということ。
罰を与えるのも相手に嫌な思いをさせること。
相手に嫌な思いをさせることが目標で、こちらの思いどおりに行動してもらうのが目的。
一方で動物には、ある行動をした時に嫌な思いをすれば、その行動を嫌いになるという学習システムがある。
だから怒ってばかりいる人からは離れたくなるし、勉強している時に嫌な感情を生む言葉を言われると勉強嫌いになる。
ただし、その先に報酬、希望が大きければ、嫌な思いは耐えられるくらいまで小さくなり、また考え方を変えることによっては喜びにもなる。
だからといって、嫌な思いをさせて行動に導くのがいいわけではない。
考え方を変えるのは、嫌な思いをさせられる側であり、しかも難しいことだから。
なぜ難しいのかと言うと、考え方はそれまでの経験や学びから、徐々に作られる脳の回路であり、回路を作るには時間がかかるから。
ならば私達教える側の目標を変えたらどうだろう
相手に行動してもらうために嫌な気持ちを使うのではなく、いい気持ちになってもらうことを目標にするのだ。
ワンちゃんなら嫌な思いをさせながら芸を仕込むのではなく、
喜びを与えながら芸を仕込む。
例えば、私は以前ミニチュアダックスフンドを飼っていた。
名前はアポロ。
チョコレートから名前をもらった。
そして、アポロはスケボーに乗ることができた。
でもそれを教えたのは、嫌な思いをさせながら教えたのではない。
楽しみながらいい気持ちにして教えた。
ボール遊びが好きだったので、ボールで誘導し、楽しい気持ちを使って、教えた。
するとスケボーを見ると自分から飛び乗るようになった。
怒ったことも罰を与えたこともない。
しかしある日、私と一緒に乗っている時、アポロが足を一歩出した。
そして、その足をスケボーのタイヤで踏んでしまった。
「キャイーン」
それ以来、一度も乗らなくなった。
嫌な思いはその時に取っていた行動を嫌いにさせる。
たった一瞬で。
だから、相手に何か行動してもらいたい時には、いい気持ち、楽しさで導いてあげよう。
そのためには、まず自分が楽しさを手に入れること。
子供に勉強をしてもらいたいなら、自分が勉強を好きになること。
自分が勉強を好きになればなるほど、表情や仕草、言葉に好きな心はにじみ出る。
そのにじみ出た心は、そばにいる子供の心に溶けていく。
それは逆の立場でも同じこと。
何かを学ぼうと思ったら、それを好きで好きでたまらないような人に教えてもらおう。
そうすれば、その人からにじみ出る心が、あなたの心に溶けていく。