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おーん。
2021年12月22日 10:31
僕はずっと誰かの感情がわからなかった。いや、わからないフリをしていた。いつからだろう?それを考えるといつも想い出す記憶がある。ずっと昔。まだひらがなも書けないくらい幼い頃。誰かが泣いていた。ああ。弟だ。痛いな。弟のすすり泣く声に僕の体が痛むのだ。「どうしたの?痛いの?」弟は壊れた壁掛けのカラクリ時計を指差して「壊れたの」 と言う。「壊れたから悲しいの?」
2021年12月21日 20:50
二人は窓際の2名席に向かいあって座っていた。外の銀杏並木が程よく色づき始めている。モンブランケーキを君が目を細めて、しっかりと幸福の味を堪能している。ストレートのダージリンをゆっくりとポットからしずかに注ぐ0。細い指先が白い陶器に添えられるとぐっとその無機質さと対照さをます。それは一つの美しさだ。1はそっと視線を外しながら思った。「で、彼女とは今後も付き合っていくわけ?」「付き
2021年12月21日 21:06
私の思いは、いいえ。夢は自分の存在ごと消え去ること。別れた恋人の家にわざと自分の持ち物を置いていく女もこの世界にはいる。わたしは相手に残った、私の記憶ごと消し去りたい。心を深く通わせた人ほどそうだ。私という者の痕跡が一切残らないように消え去りたい。 自殺願望じゃない。 一切を、この世界のすべてと私を切り離しておきたい。境界線をきちんと自覚する為。それが私が幼少の