短歌連作 アニミタス(ささやきの森/死せる母たち)
枯れ草の匂いは死ゆえ今日からはあらたな腐敗、花は横たう
ガラス一枚隔たれて東京の夏に浮かんだ不自然の部屋
鴉、蝉、風鈴の音 空調と等しく白い室を満たせり
塩の海乾いて淡く波はなし風は確かに音を生めども
これは雨、いいえ短冊 透明のきらめきばかりちらちらとして
風鈴の森の朽ちる日ここに居る誰もが既に死者であること
ESPACE LOUIS VUITTON TOKYO のクリスチャン・ボルタンスキーの展示「アニミタス(ささやきの森/死せる母たち)」を鑑賞して詠んだ連作です。短歌連作サークル誌「あみもの 第十八号」に寄稿しました。
ヴィトンでの展示は2019年11月17日まで、入場無料です。
(上のカバー写真は国立新美術館のボルタンスキー展のものです。こちらは9月2日まで)
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