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第66回 角川短歌賞受賞作のこと

だいぶ今更ですが、ツイートするには長く、noteにするには短い、2020年の角川短歌賞のごく個人的な感想メモ&好きな一首です。

まずあひるさん(田中翠香さん)の「光射す海」。
こういう、明確かつ特殊なテーマを先に掲げて50首詠むというやり方を自分はこの先も採らないだろうなと思うので、別ジャンルの作品を読んだような高揚感がありました。
彼が戦場カメラマンではないこと、虚構も詠める人であることを知った上でこの連作を読んだので「なんてあひるさんらしい連作!」と頷きながら読み終えました。
けれどもし、そういう情報を知らずに読んだら、違った感想を持ったのだろうか、という確かめようのない疑問も同時に持ちました。

【好きな一首】
  破裂した水道管より水を汲む少女は夏の花の名をもつ
                   「光射す海」田中翠香



続いて道券さんの「嵌めてください」、
道券さんの連作の作り方はたぶん自分と似ている気がします。もしお会いする機会があればどのように作っておられるのか聞いてみたいです。
なので「わー、これはすごく好き、だから悔しいなあ~」というのが正直な第一印象です。(まあ今年の角川は出してないので悔しいとか以前の話ですね……)

座談会の中で坂井修一さんが「こういう物事の詰め方、表現の磨き方は、袋小路になる気がして……」という指摘がぴんと来なかったのと同時に非常に気にかかるので、このあたりを掘り下げて語っていただける機会があれば、と思いました。

【好きな一首】
  椅子として生まれたかったがたついてあなたに布を噛ませてもらう
                   「嵌めてください」道券はな

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