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【BR #1】なくなりそうな世界のことば

たまたまふらっと出かけた先のカフェで見つけた本書。タイトルとイラストにひかれて手に取って、ホットサンド片手にページを捲り。その時は満足いくほど時間をかけて読めなかったので、後日図書館で探して、再読。

本の内容はタイトルそのまま。世界で話されている言語の中で、50の少数言語の中から各言語の研究者の方が選んだ「そのことばらしい」単語が文とイラストで説明を添えて紹介されている。


読み始める前の「準備体操」メモ

読書の前の「準備体操」の時間を取っています。
タイトルとイラストから、受け取った印象みたいなものを自分なりに捕まえて書き出してみたり、浮かんできた疑問について考えたり、調べたり、言葉にして書き留めています。本の世界に没頭するための頭のストレッチみたいな感じ。

準備体操メモ 本の内容とは関係ないよ!

「そのことばらしい」世界

見たことも、聞いたこともないことばも多い。
国やエリアもかろうじてわかるかなというところも多い。遠い場所に暮らす人々のことば。添えられた文から、光景が思い浮かぶ。
乾いた風や灰色の重い空、長い冬、太陽の色、人々の暮らし、電気のない暮らしの日常、、、
などなど温度を感じる。

そんな暮らしが積み重なって、生まれ、話され、使われ続けてきた言葉。
今話されていることばは、人々の暮らしの歴史がグッと凝縮されているエッセンスなんだな。

行ったこともない、知らない国のことばなのに、何だか懐かしさを感じるものも多い。このニュアンスやこの世界観が失われていくのは、淋しい。

科学・文明・技術の発展で得られる豊かさとは反対側の、失われていく側の豊かさの世界。豊かさの変換が起こっているんだなぁ。
それまで人の手や知恵でつながれてきたアナログなやり方、あり方がなくなっていくのはごくごく自然なことなんだろう。
その発展も、日夜人びとが苦労して生み出してきたものに他ならないのだけれど、ちょっとした味気無さを感じてしまう。

伝えたい気持ちにセンスがにじむ

本のタイプ的にネタバレしないというブックレビューする上でのルールが、どこまでのラインなのかわからない。だけどこの面白さを共有したい、伝えたい、手に取ってもらいたい。。。
なので、ひとつだけわたしのお気に入りを取り上げてみる。

JUIKA(グイカ)
 「電話による通話(風のことば)」
グイは「風・空気」カは「ことば」を意味する複合語。自分たちの昔ながらのことばから巧みなセンスで新語を作ることもある。
ドム語(パプアニューギニア)
話者:約1万6,000人

出典:なくなりそうな世界のことば より一部引用 

携帯電話で通話する様子を「風のことば」と表現するなんて。素敵だ。
しゃれてる。日本人も割とこの手の創作は得意な気がする。
でも、なにひとつ思い出せない。匹敵する、センスの効いたことば。
なんでもいいのに、言葉がひとつも出てこない。残念。

なくなるのが惜しい。でも、どういうシーンで使うんだろうか…

こんな感じか?伝わるかしら…

変わっていくから面白い。ことばもひとも。

ことばは、どんどん変化していく。
日本語もしかり。正しく使うことよりも、速く、伝わること、アイキャッチ的であること。を優先することばがが多くなってきたように感じる。
それも自然な変化で、今のことばの姿なのかもしれない。

世の中の速度にあわせたことば。
経済的な価値のあることばが好まれる。ような気がする。
ひと自身も生産性を求められ、求める。
タイパ、とかコスパとか。倍速再生とか。(笑)
消費されることば。とでもいうのだろうか。

おわりに

ことばは面白いと改めて思った。
それを使う、使っていた人たちの暮らしや思いを知ることも面白い。
何を大切にして、どんなふうに生きていたのか。

ことばは入り口、ことばは切り口。
発した人の世界を覗く窓みたいなもの。

遠い異国の誰かに思いをはせることから始まったけれど、同じことばを話す隣の人のことも、実は思っているよりずっとしらない。

お互いが見えていない世界を見ながら、同じことばで言い合いをしている。

大切なひとと話す時は、世の中の速度のことは忘れて、懐の大きい、センスのあることばをつかいたい。流行語大賞より、目の前の人の心に深く残ることばを、使えるようになりたいと思った。


初めてのブックレビュー、最後まで読んでいただきありがとうございます!

おそらくこんな感じで、本のタイプにもよるけれど、色々試しながら、考察長めなレビューになると思います!色々考えるの好き!

次回は、このシリーズの他の本になりそう。

またね!






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