お履き物を揃えた話
私の着物まわりのスペック
私の着物まわりのスペックは母の持ち物に頼り切っています。
母は昔ながらの田舎の育ちで桐の箪笥をふた竿持ってお嫁入りをしているので
いつも「着物なら山ほどあるから使ってほしい」と言っていました。
ただ、履き物だけは母も使っているのでシェアが難しく、自前で揃えることにしました。
着物のお履き物の話
着物にどんな履き物を合わせるのも基本的に自由だと思います。
スニーカーでもパンプスでもブーツでも着こなしに似合っていれば全然ありだと思います。
ただ、私は着物だけではなく物事全般的にクラシックが大好きで、絶対に草履と下駄を合わせたいと思っていました。
まず欲しかったのはヒールの低い可愛い色の草履です。
お稽古で草履を持参するよう求められたのはもちろんありますが、どんな格の着物でも合わせられるので着物に憧れはあるけど回数は増やしづらいであろうライフスタイルにぴったりだと思いました。
また、小紋に半幅帯で気楽な街着のような着姿に憧れがあったので下駄があったら可愛いなと思ったのと、毎年浴衣は着る機会があるのが背中を押して2足揃えることにしました。
憧れの伊と忠さん
京都でお履き物やお鞄の老舗といったら伊と忠さんではないでしょうか。
振袖は母のものを着ましたが、小物は自分用に揃えてもらいました。
そのときに草履と鞄を伊と忠さんで買ってもらったのが出会いです。
19歳の夏、母に連れられて本店に品物を見に行ったときの感動は今でも覚えています。
上品で機能的なしつらえ、そうでありながらもそれぞれの個性が出ていて芸術品のようでした。
そのとき、鼻緒を自分の甲にあわせてすげたら痛くなることなんてないし、だいたいの草履は履けることを教えてもらいました。
足のつくりがしっかりしていて、合う靴が少ないことが悩みだった私には魔法のような技術に感じました。
そして後日受け取りに行き、さっそく履いてみると、本当に痛くなることなんてない素敵な草履に仕上がっていました。
それ以来伊と忠さんの履き物に強い憧れを抱くようになりました。
新古品、中古品市場にふれて
そんな憧れを持っていたので自分用の履き物を揃えるとなったときにはほぼ伊と忠さん一択でした。
最初は新品を買おうと思っていましたが3万〜5万円はなかなか手が出なかったです。
(成人のお祝いとはいえ買ってくれて本当に感謝です)
ただフリマアプリで探してみると、お求めになられたけど一度も使用したことがない新古品や、1〜2回利用してる中古品が5千円以下でたくさん出品されていて、宝の山のようでした。
いくつか吟味させていただき、3つ購入させていただきました。
3足合わせて1万円ちょっとの費用で済みました。
購入のご相談をしていて思ったのが
お嫁入り道具で持たしてもらったが1回も使っていない方が多いなと思います。
私の母もしこたま着物を持ってお嫁入りしてるのでそういうものだったのかもしれません。
嫁入り道具なのでとてもいいもの揃いなことも頷けます。
箪笥に眠らせているよりもどんどん循環していってほしいなと思います。
またサイズが合わないという理由で売りに出されている方も多かったです。
サイズ調整できないものもあるかもしれないですが、伊と忠さんは足に合わせて職人さんがサイズを調整してくださいます。
お店にアクセスできない物理的な障壁はあるかもしれないですが、鼻緒をすげ替えたらサイズ調整は可能です。
ぜひ良いものを買って自分仕様にカスタマイズをして大切に使い続けてほしいと思います。
お履き物を整えてみて
まだ伊と忠さんに行けていないのでサイズ調整ができてないですが、憧れのものを手に入れられて幸せです。
大切なものを譲ってくださった方々の存在を思いながら大事に使いたいと思います。
ほんの少し心に残ったこと
新古品や中古品の価格が投げ売りなのが気になりました。
新古品なら2万円、状態のよい中古品なら1万円くらいでもよいように思います。
憧れバイヤスがかかってるかもしれないですが、本来の価値よりも安く売られていることが少し悲しかったです。
もちろんしがない給与所得者としては安く手に入れられることはとてもありがたいです。
でもカメラや海外ブランドの中古品市場は堅調なのに比べて、日本の和装に纏わって発展したものを大切にする技術が軽んじられているように感じました。
今はもしかしたら、需要と供給のバランスが供給過多なのかもしれません。
昔のように誰でも持つものではないかもしれないです。
でも、この文化にアクセスしやすい場所に生まれたことを感謝して微力ながらも大切にしていきたいと思います。