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和菓子には不思議な力がある #70

先日、同期に突然「好きな食べ物は何?」と聞かれて、「和菓子」と答えると、
「えーなんで和菓子なん?」と笑われました。

京都には様々な和菓子の展示会があります

質問の意図を聞くと、この質問って答える人の
人となりを表すっていうことで、色々な人に試しているのだそう。

そう聞くと私の人となりは和菓子なのか〜と思うとなんだか嬉しくなる。

でも質問に対する和菓子と言う回答は少しおかしい。

ひとくちに和菓子と言っても様々だからだ。
同期が笑った理由はそこにあるのではないか。

五山の送り火 兎亀屋さん製


お団子なのか羊羹なのか、はたまた上生菓子と言われる茶席に出るような菓子なのか。

・・・そもそも和菓子は食べ物なのか。

もちろん 食べ物なんだけれど、、(^^;;

単なる食べ物、腹を満たすもの、だけでなく、心を満たしてくれる力があるように思う。

見た目にも美しい京菓子

いやこの記事の冒頭写真の水無月(写真は亀屋良長さん製 夏越の大祓 6月30日に頂きます)のように色とりどりの派手さは無い和菓子でも物語があり、背景を知ると、無限に世界が広がっていく

日本の昔ながらの製法で作られた和の食材は日本酒や味噌なども数多くあるけれど、和菓子がいちばん職人の心を美しくわかりやすく伝えてくれる。

これは日本酒のことを悪く言っているのではない。玉乃光酒造の社長さんが言っていた言葉だ。

床の間のある和室で庭を眺めながら、季節や物語を感じながら静かな時間を過ごす。
これが私たちにとって、心が整う時間

有斐斎弘道館の庭 
2024京菓子展の作品は8/31まで募集中(上のリンクより)

五感にも美しい和菓子があれば、ことさら良い。

現代人はとても毎日が忙しいので、以前は当たり前であった。和室でゆっくりする時間も非日常になってしまっている。   

でも、和菓子があれば一瞬にして日常からそんな非日常の世界に連れて行ってくれる。

もう過ぎてしまったが、6月16日は和菓子を食べて無病息災・除災招福をす、和菓子の日

和菓子の日の由来は、時をさかのぼること、平安時代。

848年(承和15年・嘉祥元年)の夏。

第54代天皇にあたる仁明(にんみょう)天皇が、ご神託を受けられ、6月16日に「1」と「6」の数にちなんだお菓子や餅などを神前にお供えされました。

そして世の中から疫病をはらい、健康招福を神仏に祈られました。

その時、元号は「承和」から「嘉祥」に改元されます。

諸説ありますが、これがもととなり、6月16日に和菓子を食べて疫病をはらい健康を祈願する嘉祥(かじょう)(※嘉定とも書く)という行事が行われるようになりました。

日本あんこ協会

日本の行事の多くは、自分以外の人の幸せを神や自然など、人智を超えた大いなる存在に祈る日。

幸いにして4歳の娘は和菓子が大好きで、
キレイで美味しいもの、と和菓子を頂いたり買ったりするといつも心を踊らせている。

この盆休み中もお供えを含め、たくさんの和菓子をいただく機会があった。

京都には街にさりげなく老舗
若狭屋久茂さん 娘にお魚のお干菓子をサービスしていただきました

美しさと優しさとおいしさが集う和菓子。

自然の不思議さに目を見張るセンスオブワンダーを持つ小さな子供にこそ和菓子の不思議な力を感じられるのかもしれない。

七條甘春堂さん 天の川

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