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エクアドルといえばバナナ

むかしエクアドルへ行ったときの話しです

ガラパゴス諸島へ飛ぶため、私たちはペルーからエクアドルへ入国し、エクアドル第二の都市グアヤキルへ向かうことにしました。
たいそう治安がよろしくない国で、移動にも気を使うことにして、ローカルバスではなく、二階建てのエアコンバスのチケットを買いました。
グアヤキルまで何キロだったのかはよく覚えていませんが、数百キロの行程を5~6時間くらいで走る予定だったと思います。

赤道直下で一年中暑い国です。エアコンバスに乗って正解でした。
バスがバナナ畑に入るころ景色がバナナだけになり、どれだけ走ってもバナナバナナでした。

気がつくととても暑くて、エアコンバス…だったはず。聞いてみたら、故障したとのこと、そして予定時間も大幅に遅れると告げられました。いつ故障したのかは分かりませんが、もしかすると最初から故障していたかもしれません。そんな事はもうどうでもよくなるくらい暑くて、そしてバナナでした。

二階建てバスのちょっと高いところから見る景色の全てが、バナナでした。スーパーもない、信号もない、すれ違う車もなく、人の姿も見えません。ただただバナナでした。

バスのエンジンが故障しないことを祈って、あとどれくらいでグアヤキルに着くのか不明なままバナナ畑を5時間ほど走り、感覚が麻痺して、実はこれは夢で、この終わらないバナナ畑の風景は走馬灯ではなかろうか。と思い始めた頃にやっとバナナ畑を抜け、数時間遅れでグアヤキルに到着したのでした。

こんなとき妥協について考えるバナナばたけを五時間走り/大西ひとみ

#tanka #短歌 #旅