見出し画像

シナイ山

昨夜夢をみた。昔、エジプトのシナイ山へ登った時の夢だ。
シナイ山は、モーセが神から十戒を授かったとされる場所で、山頂に小さな教会があり、毎日たくさんの人が訪れる聖地となっている。

実はエジプト行きを計画した時、シナイ山は予定に入っておらず、シナイ山がどこにあるのかも、どれくらいの高さなのかも、人々が御来光を拝みに行く場所だという事も知らなかった。

私はシナイ半島のビーチの近くで、カイロを目指しバスを待っていたのだが、カイロ行きのバスどころか、普通のバスさえ通らない幹線道路で途方に暮れていた。
やっとツーリストバスが止まってくれて、カイロではなく聖カテリーナへ行くと言うので、ええいままよ!とそのバスに乗った。
聖カタリーナは、シナイ山の麓にある教会だ。
そこまで行くなら、シナイ山へ登ってみようではないかという気になった。
でも高さも知らない、何時間かかるのかも調べていない。

入り口まで行くとラクダ用のスロープ道になっていて、登りやすそうな坂だった。シナイ山は、砂漠の中にある山なので、茶色の岩と砂でできている。木も草も生えていない。平らなスロープを私は登り始めた。

山頂で一晩泊まれるという事だけは知っていたが、降りてきた時にカイロ行きのバスがあるのか?とか、カイロまで何時間かかるのか?とか、全く分からなかった。

最初は登りやすかった坂も1時間2時間と登る内に不安になってきた。これを何時間登るのか?今日の日の入りは何時なのか?随分と無謀だったのではないか?(実際無謀だった)
そう考えながらも、後戻りをするにはちょっと登りすぎていた。
結局4時間ほど歩いた。(標高2,285m)
日の入り前に山頂に辿り着けたのは、ラッキーだったとしか言いようがない。

山頂で毛布を貸してくれる店と、チャイ屋があったので、温かいチャイを飲みながら、日の入りと共に毛布に包まると一気に闇が押し寄せてきた。
砂漠の中の山は、当たり前だが明かりもなく真っ暗闇だ。

その時、大きな大きな流れ星が流れた。

思わず「うわーーー」と声が出た。
大げさではなく、辺りが明るくなったかと思うほど大きな流れ星だった。

翌朝、まだ薄暗い時間に人の声で目が覚めた。
起き上がると、狭い山頂が都会のスクランブル交差点並みに混雑していた。
驚いた。
いや、逆に何も知らずに登っている人がいると言ったら、そこに居た人全員に驚かれたであろう。
聖地で巡礼の地なのだ。
ツアーで来た人は、御来光の時間に合わせ夜中に登る。
全員が東を向き、御来光を待っていた。

朝日が昇り、私は無意識に両手を合わせた。

気が付けば空が明るくなり壁に文字のようだが読めない陰影 大西ひとみ

昨日は冬至。冬至を一陽来復と言い、悪いことが続いた後に幸運が開ける意味らしい。冬至を境に運気も堺の時期で、上昇運に転じる日なのだそう。
昨夜の流れ星の夢が吉兆をもたらしてくれると嬉しい。色々と切りかえたいと思う。もうすぐ新しい年だ。

#短歌 #tanka #バックパッカー #旅