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#019_【ボトムライン・メンタリティ】上司が利益重視だと、メンバーのパフォーマンスは落ちる?!(#7-15)

Quade, M. J., McLarty, B. D., & Bonner, J. M. (2020). The influence of supervisor bottom-line mentality and employee bottom-line mentality on leader-member exchange and subsequent employee performance. Human Relations, 73(8), 1157-1181.


この論文の目的は?

上司がボトムライン・メンタリティ(以下、BLM)を持っていると、倫理的な行動やメンバーの幸せをないがしろにする可能性が高い。
となると、メンバーは上司と良い関係を築けない(低いLMX)、良い関係を築けていない上司にコミットしようとは思わない、つまり、メンバーのパフォーマンスは落ちる、ということを明らかにしようとした論文です。

POINT1. LMXとの関係

上司のBLMとメンバーのBLMがLMXにどう影響しているか??
メンバーのBLMは高くても低くても、LMXには影響があまりなく、
上司のBLMがLMXに影響する、というのがわかりやすい。

P.1169

LMSXは社会的交換の側面に特化したLMX
結果はほぼ同じ。メンバーよりも上司のBLMがLMXに強く影響する。

P.1173

これ、不思議ですよね。
LMXは「同じ価値観」を持っていると高まるはず。
にもかかわらずBLMでは効果が出ていないように見えます。

これはDiscussionのところで指摘されていましたが、BLMを持っていたって対人的なつながりをメンバーは重要視しているんだ、ということのようです。

POINT2.高いBLMを持つ上司だと・・・

  • メンバーのパフォーマンスが低下する

  • 特に低BLMのメンバーだとLMXに対する認識がさらに悪化する

→上司のボトムライン追求を損なうような行動をとり、パフォーマンス努力を差し控えるようになる。

POINT3.利益は大事、どうしたらいい?

もし上司がBLMで行動し、その考え方を部下に示した場合、従業員のパフォーマンスは低下する。この結果は、組織、上司、そして従業員にとってよくないこと。
この研究の大きな意義は、リーダーがBLMを助長した場合に起こりうる組織としての否定的な結果が出ることを明らかにしたこと。

上司自身もBLMアプローチに注意するだけでなく、組織もまた、最終的な成果を強調することは、従業員の幸福や倫理基準といった他の重要な組織的関心事をないがしろにする結果になることを認識すべきなのだ、とのこと。

とはいえ、大事ですよね、利益。
BLMの負の影響をカバーするものとして、倫理的リーダーシップに注目しては、というのがこの論文の代替案でした。

感想

「利益は大事、どうしたらいい?」はずっと考えています。
私自身ずっと苦しい、と思っていることの一つ。

少しだけ、光が見えた気はします。
BLM×倫理的リーダーシップ、BLM×Organization Justice
JusticeはSystemだと思うので、パーソナリティに依存するリーダーシップよりも実現性があると考えています。

サポートしていただけると嬉しいです! ぴよぴよ社会人博士課程の学生ですが、Organization Justiceについて研究を進めています。また、理想だけでなく実務で壁となるGoing Concern(売上、利益)といった面も考えつつ・・・模索しています。