見出し画像

ルービックキューブの色の変化を見てモルフォ蝶を連想

『河野太郎デジタル大臣は、なぜ英語と日本語両方のXアカウントでルービックキューブの写真を挙げているのかな?』
行政書士法人ひとみ綜合法務事務所の若手女性スタッフが呟いたので(これはリアルの世界の呟きですが)、当該河野太郎先生のXポストを見てみた。

(20) KONO Taro on X: "Impossible cubes. https://t.co/ghEJFHvu9i" / X (twitter.com)
(英語アカウント)

(20) Xユーザーの河野太郎さん: 「ハンガリー大使からルービックキューブをいただいたんだけれど、これ、ちょっと… https://t.co/65OP3jtwLH」 / X (twitter.com)

見る角度で色が変わる様子を見て、モルフォ蝶を思い出した。

モルフォ蝶は、北アメリカ南部から南アメリカにかけて80種ほどが生息する大型の蝶の仲間だ。その中でもモルフォ蝶といえばディディウスモルフォを思い浮かべる人も多いのではないだろうか。

あの神秘的なブルーはモルフォブルーと呼ばれ、ブルーダイヤモンドの呼称やレクサスLCの特別色ストラクチャーブルーの元にもなっている。写真は、以前私が乗っていたレクサスLCだが、これは通常仕様でストラクチャーブルは限定販売で残念ながら手に入れられなかった。(色以外は全く同じスペックの車種である。)

人の目には青に見えるモルフォ蝶だが、実際には青くはないことはよく知られている。
モルフォ蝶の翅には青い色素はないのだ。青い色素がない翅が、何故青く見えるのか?それには「光の干渉」という現象が関わっている。

光は波の特性を持っている。「光の干渉」とは、波としての干渉で、複数の波の重ね合わせによって新しい波形ができること。高校で習った三角関数の合成と思えばいい。モルフォ蝶の鱗粉を拡大すると、断面には木のような、つまりツリー状の構造が見える。
枝のような横板の段々で反射した光が、上下方向で強め合って青色を出す。そして斜め方向で強め合うと、波長の違う別の色を出す。

ところが、このツリー状の構造が隣同士で乱雑に並ぶため、斜めで強め合うことができないのだ。だから虹色にはならない。
では上下に、つまり真上から見た時だけ青いか、というと、広角で青く見えるのには別の秘密がある。そ
れはツリー状の幅が狭いゆえの「回折広がり」。回折広がりは、光に限らず波がある所でよく見られる。
たとえば水上の波が波止めで遮られているとき、切れ目があるとそこから波は広がる。こうした小さな構造から波が回って広がるのが回折広がり。

モルフォ蝶の場合、ツリー状の幅が狭いので、青く強め合った光が広がり、それで広角で青く見えるのだ。これで「色素が無く、干渉で青色を出すのに、虹色でなくどこから見ても青い」謎が解けただろうか。

このルービックキューブが、もしモルフォ蝶の翅と似た構造で虹色に見えるのだとしたら、6種類の異なる構造で色分けされているかもしれに。これを識別するには電子顕微鏡でも難しいかもしれない。

河野太郎デジタル大臣が6面完成したら、ぜひ見てみたい。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?