とうりこ

小説書きます。 「失恋したから元カレ呪ってみた。」

とうりこ

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最近の記事

② 未練と好き

「でもさ、こうやって会うことはできるから」 煙草を消しながらアツシはこっちを向いた。 「え?」 「最初からオレら、付き合ってもない関係じゃん?だから、ヒトミが寂しい時はいつでも会いに来るし、オレも会いたい」 気がつくと、私は子どもみたいに泣いていた。なんの涙なんだろう。わからないからまた泣いた。 アツシと私は同い年。今年33のゾロ目。仕事が楽しいけど、やめたら二度と戻れない職場にいる私は、ずっと結婚から逃げている。それどころか、ちゃんと付き合うことにすら、目を背けている。

    • ① 冷えきった背中

      もう2年になるかな、アツシの背中に刻まれた大きなタトゥーを見るのは。 二人のデートは直行でいつものラブホテル。お気に入りの部屋があいていないと、二人で顔を見合せるのもお決まり。 はじめてデートした居酒屋でいい感じに酔っぱらって、帰り道でちゅーして抱き合って 「私、誰とも付き合わないよ、でもこの関係が良いなら続けよう」 っていう言葉からスタートした関係。 お互いの身体の気持ち良いところももちろんわかり合えるようになっていたし、いつしか気持ちの変化まで感じとれるようになってし

    ② 未練と好き