ファンマーケティング施策にちょっと待った!〜「未顧客理解」読書感想文ver.2
数年前に、「未顧客理解」の本を読んだ感想をnoteに書いていました。しかし前編のまま更新せずにおりました…。
数年経った今、仕事で培った経験もあり、本で書かれていた内容がより身に染みて理解できるようになったので、ver2としてまた書きます。
◾️前回のnoteをご覧になりたい方は、こちらもどうぞ
本の要約
未顧客理解の定義
あなたのプロダクトやサービスに興味関心のない人、今まで買ってくれなかった人
この本の副題「なぜ、買ってくれる人=顧客しか見ないのか?」の問いに答える、あなたのサービスや商品に関心のない人、知っているけど購入してくれなかった人に着目し、なぜそのような人たち(未顧客)に目をつけるべきか?を様々な心理学理論をもとに、マーケター目線で解説している本です。
なぜ未顧客理解をすべきか
著者の芹澤さん曰く、前提として商品やサービスのシェアを増やすには、浸透率を高める必要があると提唱されています。ブランドが成長するには、浸透率を高めてブランドの利用機会を増やし、ライトユーザーを獲得する必要があるのです。逆に言えば、リピーターばかりに目を向けてリピーターの施策を打ったところで、ブランドは成長しません。
リピーターの代表的な括り方として、最近注目されている"ファンマーケティング"という言葉があります。ファンマーケティングにおいて、ファンコミュニティにおいては購買率が高いというだけであり、それを持って興味関心が薄い別の集団に興味喚起ができるわけではないという考え方です。(ロッサー・リーブスの誤謬。)
商品やブランドを購入しない、好きでないのも何か理由があると考えがちですが、著者の芹澤さん曰く、それは決めつけで理由を考えるのはナンセンスだと唱えています。じゃあどうすればいいか。行動に着目し、文脈から行動を変化させるよう施策を打つのです。そして、こちらから"オススメですよ〜"と宣伝するのではなく、「すでに未顧客の中で確立されている行動や習慣にブランドの方から寄り添いにいく姿勢が必要」です。
未顧客理解の5原則
文脈が変われば意味が変わり、意味が変わると価値も変わる
未顧客は本来戦うべき市場を見通すためのレンズ
行動の背後にある欲求、抑圧、報酬から顧客の合理を理解する
ブランドの特徴×顧客への報酬=文脈最適のベネフィット
モノの売り方ではなく、モノが使われる行動の増やし方を考える
未顧客の行動を変えるにはどうしたらいいか?考えるポイント
その行動は、未顧客にとって何の一部なのか。どんなゴールに向かった行動なのか。
どうすればその行動が増えるのか。
カテゴリーエントリーポイント(CEP)
端的に説明すると、それぞれのカテゴリーにおいてブランドを想起させる入り口。CEPが多いと、未顧客が商品やブランドにたどり着く確率が高まる。
ファンマーケティングが正とは限らない
私はこの本に書かれている内容が重要だと思い、本を読み込むのに通常よりもやや時間がかかりました。今回のnoteでは後で見返しても自分で理解しやすいように、なるべく簡潔にまとめました。
昨今では、LTVの向上を目指す企業も少なくないかと思います。しかし、そこで指す顧客は、リピーターだけで良いのでしょうか?確かに、リピーターや特に熱狂的なファンに留めるだけのビジネスであれば問題ないでしょう。しかし、多くのビジネスはより多くの売上を上げるために、リピーターだけでなく新規顧客の獲得も検討するはずです。
新規顧客の獲得も目標の1つとしながら、なぜファン(リピーター)ばかりに着目しているのか、の風潮を打破するような本の内容でした。
私はこの本に関連し、ノバセルの代表である田部さんが提唱していらっしゃる指名検索の話も大事だと思っています。(伝えたいことは、ブランドの想起集合と同じような点かと理解しています。参考資料は「合わせて読みたい」に掲載しています。)
合わせて読みたい
◾️SNSのファンが購買に結びつかない理由 ロッサー・リーブスの誤謬
◾️CEPについて
◾️指名検索の話
◾️マーケティング講座「MARPS」で芹澤さんがゲストだった回のイベントレポ