クリエイティブの思考回路をのぞく〜佐藤可士和展を見て
こんにちは。
先日、国立新美術館で開催されている「佐藤可士和展」に行ってきました。作品は一部を除き、撮影OKだったため可能な限りメモをしながら鑑賞してきました。
デザインや行動設計について本格的に勉強している私にとって「実践の場」ではどのように行動を起こしたらいいのか、ほかのメンバーをどう巻き込んでいったらいいのか、学ぶ機会となりました。
撮影した写真を交え、私の考察と一緒にご紹介します。
少々長くなりますがお付き合いください。
*
配色だけでイメージを伝える
LOFTのクリスマスキャンペーンのデザイン。写真のように紙袋だけではなく広告でも、赤・白・緑のみで表現しているのです。
クリスマスってこの3色で基本的に表現できます。
それは、私たちが今まで見てきたクリスマスのイメージカラーが、この3色に定義されているため、豪華なデザインをせず、3色を使うだけで、「クリスマス」のイメージを伝えることができるのです。
多義語をビジュアルで表現する
これは、My Little Loverの「FANTASY」のアルバムパッケージデザインについての展示です。
ファンタジーと聞かれて、ハートの思想に思いつくでしょうか?私は思いつきませんでした。Fantasyを日本語訳は下記の通りでした。
【Fantasy】
(自由奔放な)想像、空想、幻想、気まぐれ、酔狂、空想の産物、奇抜な考え、空想文学作品、ファンタジー、白日夢
- https://ejje.weblio.jp/content/fantasy
「想像」の意味が含まれていることが分かります。正直、日本語訳からはあまりひらめきませんでした。
ハートから考えてみると、ハート=愛、愛ってファンタジーと解釈できるかもしれない、と思いました。言語化できない感覚的な域ではあるのですが…
さらに感動したのは、愛って人によって色んな解釈があり、ファンタジーの定義自体も「空想」とあることから縁取ることが難しい。だからパッケージのハートはぼんやりしている感じにしたのだろう、と私は推測しました。
ロゴは幾何学的に設計されている
「黄金比」という考え方、ご存知でしょうか。
黄金比
1:1.618の比率のことで、人間にとって最も安定し、美しく感じられる比率
- Goodpatch ブログより引用
一言では表せないほど深い概念です。
大体のロゴは、黄金比を用いて作られています。
佐藤さんは、UNIQLOや楽天のロゴをはじめ有名な企業のロゴ制作を担当されていますが、どれも黄金比を計算されてデザインされていることが分かります。
ロゴデザインに関して、私は勝手に苦手な分野(アートとかそっち方面?)だと思っていました。もちろん、グラフィックデザインやアートの知識とセンスが必要ではあります。
しかし、黄金比でデザインできる範囲で自由に表現できると考えると真っ白なキャンバスで絵を書くよりは、ある程度制限がかかってデザインしやすいなぁと感じたわけです。
黄金比はどこにあるんだろう?と考えながら、日々の企業のロゴを見るととても面白いですね。逆に落ち着かない・違和感のあるロゴを見つけたら、「黄金比を使っていないかも」と感じることもあるかもしれません。
他社とのブランディング比較
佐藤さんのデザインしたセブンイレブンの場合は、ロゴは補助的な役割をしています。あくまで、パッケージに記載された食品を主役に起き(そして美味しそうにパッケージをデザイン)、そしてセブンイレブンのロゴを置くことで統一感を出しています。
一方、一時期話題になったローソンのプライベートブランドのパッケージは、「ナチュラルローソン」はじめ、ナチュラルな世界観を統一させていると考えられます。そのため、商品そのものを主張するよりも、ローソンのブランドの戦略を優先しているパターンです。
ここで私が考えた時、”誰になんのために届けているのか”が私たち顧客に伝わる”という点です。
セブンイレブンにしても、ローソンにしても、下記のようにターゲット層が設計されていると考えられます。
セブンイレブン
・商品そのものの美味しさに惹かれる人
・商品を感覚で選ぶ人(これ美味しそう!で選ぶ人)
・ブランドにこだわりのない人
ローソン
・ナチュラルローソンの世界観が好きな人
・持ち物のデザインにこだわりのある人
・飲み物・食べ物にもデザイン性を求める人
※大手コンビニと外れた話題性から購入を促す戦略とも考えられます。
プロジェクトの経過をストーリー形式で展示
佐藤さんが手がけた、ふじ幼稚園の事例での展示エリアには多くの人が集まっていました。
園長先生の話を聞いて、佐藤さんが何を考えたのか。幼稚園に何度も足を運び園児たちと遊びながら、園長先生の要望を叶えるための施策を考えるのです。
その経緯を説明するのにあたり、文章のみで表現する方法もありますが、ふじ幼稚園の事例の場合は、実際の写真を入れながらまるでらくがき帳に書いているかのような展示がされていました。
幼稚園の世界観を保持しつつ、来場者に経緯を説明する。
その「コミュニケーション」の方法に脱帽でした。
デザインやブランディングって、本当に面白い。
-----------
デザインについての記事をいくつか書いております。ぜひご覧ください。
Twitterで毎日発信しています。
Hitomi|@ichito0123
読んで下さった皆様の背中を押せるようなコンテンツを発信し続けます。ありがとうございます。