さてさて、今日は何を話しましょうか。
そうそう、自分ギライについてですよね。
ところで、どうしてあなたはそんなに自分のことが嫌いなのか、考えたことがありますか?
そんなの考えるまでもないわい!!
わたしゃ、誰が何と言おうと最低の人間なんじゃい!!
はいはい、自分が最低だということには絶対の自信がおありのようですね。
分かりました。確かにあなたは最低の人間なんですね。
分かりました。認めましょう。
ところで、あなたが最低の人間だという根拠や理由がいまいち私には分からないので、つきましては、その理由を教えていただけないでしょうか?
あなたは考えます。
だって、私は根暗で意地悪で嫉妬深くて根性なしのビビりのひねくれ者で傲慢で…
おお、それは確かに酷いな。まさに最低人間という名にふさわしいですね。
それでは、あなたのおっしゃる通り、私からあなたに最低人間の称号を与えましょう。
あなたは最低な人間です。
ね、そうでしょう?と、一瞬あなたはドヤ顔で安心するかもしれません。
でも、心のどこかでモヤっとしませんか?
自分で自分を最低だと決めるのは構わない、でも、どこの馬の骨かも分からない、あなたのことをよく知りもしない赤の他人の私に、なんで最低人間だと決められなくてはならないのか。
ほんとうに自分のことを最低人間だと心の底から思っていたら、イケメンを自覚しているホストが(なぜこの例えが出てきたのかは謎)すれ違う女子の熱い視線を浴びても当然だと思うように、あなたも赤の他人に最低人間だと言われても、やっぱりそうかと思うのではないでしょうか。
なにか腑に落ちない。それは、あなたはどこかで最低じゃない自分の存在を感じているからです。
いや、最低じゃない自分どころか、結構いい人間である自分の存在を、自分のなかにうっすら感じているのです。
でも、その結構いい人間である自分をうまく表に出せていない、そういう自分の不器用さにいら立っているのです。
余計なものを全部とっぱらった本来の自分は、決してほんとうの最低な人間なんじゃない。むしろ結構いいヤツだったりするのに、いかんせんあなたはどうしようもなく生き方が下手くそなだけなんです。
違いますか?
ほんとうに最低な人間なら、自分は最低だなんて悩むどころか、そんなことに気づきもしないはずです。
いまの自分は最低だ、そう思うのは、そうじゃない本来の自分の存在を感じていて、その自分と比較して、その差が許せないからにほかなりません。
私はいまの自分が嫌いだ。いまの私は最低な人間だ。
そう思えるのは素晴らしい。
だって、あなたの中にまだ閉じ込められている本来のあなたの存在を認めているということなのですから。
ちゃんといますよね、あなたの中に、意外といいヤツであるあなたが。
いまはまだ、その姿は他人からも、あなたからも見えないかもしれません。
でも、一枚一枚、玉ねぎの皮を剝くように余計なものを取り除いていけば、しだいに輪郭がはっきりして、やがてはその姿を見せてくれるようになるはずです。
いまはまだ自分のことが嫌いでも構いません。
どうぞ、気の済むまで嫌いでいてください。
でも、嫌いな自分の中に隠れている、そうじゃない自分の存在も感じてあげるようにしてくださいね。