映画を英語でレビュー#37 プリズナーズ Prisoners (2013)
子供を助けるため、父親はどこまで許される?
子を誘拐された父親とその事件を担当した警察官
ヒュー・ジャックマンが演じるのは、敬虔なキリスト教徒の父親。
彼には2人の子供がいますが、感謝祭の日、幼い娘が行方不明になります。
行方不明になる前、彼女は同年代の女の子の友達と一緒に、路上に停めてあった車にいたずらをしていました。それを見ていた彼女の兄は、そのことを父親に伝え、その情報はすぐに警察にも伝えられました。
事件を担当することになるのは、ジェイク・ギレンホール演じるロキ刑事。彼はすぐにその車を見つけ、中にいた男性、アレックスを捕まえます。
アレックスの知能は10歳程度で、尋問をしても捜査をしても、彼が犯人だという証拠が見つからず、釈放されます。
アレックスが釈放される日、彼が発したある一言で彼が犯人だと確信した父親は、ロキ刑事を無能だと決めつけ、自分で事件を解決しようとします。その手段は、アレックスを誘拐し、娘の居場所を教えるまで拷問し続けるというものでした。鬼の形相でアレックスを拷問し続ける父親。
一方ロキ刑事は、周辺に住んでいる性犯罪歴のある男たちへの聞き込みなど、何とか女の子たちを探そうと休まず捜査し続けます。
捜査の過程で何人か怪しい男たちが現れますが、決定的な手掛かりは見つかりません。
冒頭から事件解決への伏線がちりばめられているこの映画。
こいつが犯人だ!と思えば違う人間が現れ、最後に真実が明らかになったときは、
「そういうことだったの!?」
ときっと驚くと思います。
2時間半と少し長めの映画ですが、時間を忘れるくらい映画にハマりますよ!
強い信念も過ぎると凶器
この映画は人間の恐ろしさをとてもよく描いています。
女の子たちが行方不明になった理由もかなり恐ろしいのですが、
行方不明になった娘を探すためとはいえ、確実な証拠もないのに、アレックスを犯人と決めつけ拷問する父親は、正義感の怖さを見せつけてくれます。
映画の最後にすべてが明らかになったとき、父親の末路を見て、彼がしたことの罪の重さを私は感じました。
この映画はかなり宗教色が強い映画です。
父親は敬虔なキリスト教徒として描かれており、対するロキ刑事は、感謝祭の日に干支の話をするなど、キリスト教徒ではないことが描かれています。ロキ、という名前も、そこから来ていると思います。
宗教色は強いですが、宗教をあまり知らなくても十分楽しめる内容なのでご安心を。
しかし、宗教について知識があればさらに深く楽しめる作品であることは間違いないです。
ジェイク・ギレンホールという俳優
ロキ刑事を演じる俳優ジェイク・ギレンホールが私は大好きです。
彼のことを最初に知ったのは、
「遠い空の向こうに」という映画で、夢に向かって奮闘する高校生を演じていました。この頃はまだ子犬みたいなかわいい目をした男の子、程度に思っていましたが、そこから彼の快進撃が始まりましたね。
正統派の役も、悪役も全て自分のものにしてしまう演技力。
彼の作品の中でも特に好きなのはやっぱり
「ブロークバック・マウンテン」ですね。
映画史上Top10に入るラブストーリーだと思います。
彼の場合、その演技力故、敵か味方か分からないところが、毎回映画を見ていてドキドキさせてくれて良いんですよね~。
"take matters into his own hands"とは?
この映画の父親は、刑事には頼れないと思い、自分の力で事件を解決しようとします。この「自分の力で何とかする」という表現を英語では、
take matters into one's own hands
と言います。
なので、この映画の父親は、
The father couldn't trust the police and decided to take matters into his own hands.
と表現されます。