【映画感想文】アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド
軽いラブコメを見ようと思っていたら思ったより「いい映画」でした。ヨーロッパのおしゃれ雰囲気漂う地味な映画です。
アラフォー学者女性が研究資金を稼ぐため、自分仕様に作られたアンドロイドと3週間過ごして幸せになれるのか、という実験に参加するというお話。
ダウントンアビーの頃から好きなダン・スティーブンスがドイツ語で演技をしていてびっくり。よくわからないのですが、母国語じゃない所も絶妙なアンドロイド感を出していたのかもしれません。ダン・スティーブンスのアンドロイド演技が本当に秀逸です。
AIとして精度を上げてくる完璧なパートナーを好きになっちゃいそうで、でもあなた結局ただのアルゴリズムでしょ、好きになってもむなしいだけでしょ、と葛藤する主人公。凄くよくわかります。
こんなパートナーは欲しいけれど、ただの機械に感情移入して頼る事は嫌だわ、でもそれで自分が幸せならいいんじゃないか、でも結局それじゃ自分は幸せと思えないんじゃないか。とかぐるぐるぐるぐる回ってます。
ダン・スティーブンスがあまりに素敵で可愛いので、私から見ると幸福なぐるぐるです。
この映画ではもう絶対にアンドロイドと過ごすのが心地よいのです。わかる。でもそうしたら他の人間とのコミュニケーションが出来なくなるんじゃないか、とか、子孫を残せなくなるんじゃないか、とか、そもそも人としてどうなの?とか頭が拒否反応を出します。でも感情的には心地よい方に流されちゃいそうな怖さ。いや、怖いのか?それで心が安定するのであれば、もうそれでいいんじゃないか?私にはよく判断がつきませんでしたが、近い将来人間が直面する問題なのではと思いました。
で、そこから結局「優しさって?」とか「人間らしさとは?」とかまで考えちゃうような映画でした。もう何が何だかよくわからなくなる。
途中で主人公の認知症気味の一人暮らしのお父さんが出て来るので、てっきりアンドロイドはお父さんと暮らすようになってハッピーエンドかと思っていたら、そうはなりませんでした。それではあまりに現実的過ぎてロマンチックに欠けるからでしょうか。
もしこんなアンドロイドが出来たとして、パートナーとして選択するのは踏ん切りがつきませんが、年取った最後を看取ってくれる機械としては最高なんじゃないでしょうか。
もうどっぷり感情移入しても良い、身の回りの世話をしてくれるダン・スティーブンス。いいなぁ。
自分の好みどストライクのアンドロイドを連れたご高齢者。微笑ましいような、怖いような。。。
とりあえずもし高齢一人暮らしになったら、おしゃべりしてくれるAIだけでも欲しいです。もうあるのかな?
ところでこの映画のポスターやらDVDやらの表紙。日本版だけシワ取り加工がされています。何でこんな事したのかしら。主人公の年齢が適度にいっている事がお話のキモなのに嫌だわ。