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すべてのラーメンは限定ラーメンである

自信でもなんでもなく客観的にみて、人と羊は日本でもトップクラスに限定ラーメンを頻発する店です。
「あんなに頻繁に限定ラーメンが作れるって凄いですね」とよく言われます。

でも限定ラーメンを頻発することが凄いことだとは思わないです。
むしろ凄くないから限定ラーメンを頻発しています。

限定ラーメンを頻発しないとなかなかリピーターがつかず日々の売上が立たないから半ば仕方なくそうしているのが実情だったりします。

本当に凄い店は限定ラーメンなどめったに出しません。

いつも出しているラーメンに限定ラーメン以上の美味しさとそこでしか味わえない個性と価値が込められ、それだけで経営が続けられているのが本当に凄いラーメン屋です。
ラーメン屋に限らず飲食店全体にいえることですが。

「限定」という言葉自体に価値を置きすぎているという自覚は作るほうも食べるほうもあると思います。
実際の「限定」メニューを見ても殆どは大した「限定感」はなくただ「限定」と銘打っているだけだったりしますが、それでも効果があるから「限定」として売っているわけです。


限定ばかり食べてレギュラーメニューを食べる機会がない、という方も少なくないようです。
しかし最もその店の個性、というか作りたいモノが具現化されているはずのレギュラーメニューを食べずして、その店の限定メニューの真価まで味わうことは不可能でしょう。

当店で出した全ての限定メニューよりも、レギュラーのひつじそばのほうが時間も手数もアイデアもかかっています。限定メニューはその派生型でしかありません。
一般的なラーメン屋が年に1回作れるか作れないかというものをレギュラーとして出しています。

その思いもあって、2019年11月の開店から翌1月まではクリスマスと正月を除き、限定は頑なに出してませんでしたが、あまりにも売上が低迷し続けたため苦肉の策として限定を頻発したところ徐々に上がり、今に至っております。


また限定ラーメンが早く売り切れることには不満の声が出るのですが、そもそも数が限定されているから限定ですし、なかなか売り切れない限定メニューに「限定」としての魅力があるのでしょうか。

さらに苦手な食材や好みとは違う味付けにも関わらず「限定」を優先的に注文する方もいます。どれだけ希少性があっても自分の舌に合わなければ食する意味がないと思いますが。

やはり実質的な「限定」性よりも「限定」として銘打たれていること自体に価値を置かれているのかなと邪推せざるを得ません。


だいたい、コロナ禍で殆どの店が休業もしくは廃業に追い込まれ、「今まで何気なく食べてきたものも何かのきっかけで食べられなくなってしまうものだったのか…」などという言説についこないだまで膝を打って賛同していませんでしたか?

そういう意味でも、すべてのラーメンは限定ラーメンである、と言っても過言ではないはずです。

ですので限定と銘打ってあるからといって過剰にありがたがることもなく、定番だからといって限定品より下にみることもなく、ご自身の舌に合うものをお召し上がりくだされば幸いです。

店主の勉強代になります。何かしらのカタチで還元できると思いますので魔が差したらサポートおねがいします。