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ヒットの手がかり:存在を消してみる
今日もご覧いただきありがとうございます。
商品がヒットした要因を独自に分析、その中から一つを、”ヒットのヒント”として解説します。今日は「シンカトリ」を見ていきたいと思います。(トップ画像引用元:https://www.kincho.co.jp/cm/html/shinkatori/index.html)
ヒット商品がヒットした要因は様々あると思います。自分はこう考える、これは違うのでは?など意見がありましたら、ぜひコメントに残していただければと思います。皆様のコメントによって、より多角的な分析に繋がればと思います。
シンカトリについて
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(画像引用元:https://www.kincho.co.jp/seihin/insecticide/katori/shinkatori/index.html)
「シンカトリ」はKINCHO(キンチョウ)ブランドでおなじみの大日本除虫菊株式会社が製造・販売する置き型の蚊取りです。最大の特長は、コンセントや電池、火を使わず、室内の空気の流れで薬剤を拡散し、蚊を落とす点です。また、電気式の蚊取りや火を使う蚊取り線香と異なり、熱くならないので、小さな子供いる家庭や、ペットのいる家庭でも安心して使えます。
2024年2月に発売以来、7カ月で約270万個を販売し、「日経トレンディ2024年12月号」の「2024年ヒット商品ベスト30」では8位に選ばれています。
実は妻が知らぬ間に購入していて、私の家にもありました(笑)。
存在を消してみる
「シンカトリ」の特長は前述の通り電源を必要としない点です。電気式の蚊取りと異なり、使用するときにコンセントに差したり、スイッチを押したりという操作が不要になり、一度置けば効果が発揮されます。
もう一つの特長が有効期間の長さです。「シンカトリ」の有効期間は200日(=約半年)となっており、電気式の蚊取りの標準的な60日に比べると大幅に長くなっています。(※ただし、いずれも1日12時間使用した場合なので、丸一日使用した場合はそれぞれ半分の期間になる。)
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(https://www.earth.jp/products/nomat-60-whiteblue/index.html)
この二つの特長から「シンカトリ」は、一度置いたらおおよそワンシーズンほったらかしで使える蚊取りになっています。ユーザーは蚊取りの薬剤を切れを補充したり、スイッチをオンオフしたりする必要がありません。加えて、本体は幅59mmとスリムな形状になっており、普段意識しないで良い場所に置くことができます。そのため、生活の中で蚊取りのことを考えなくて済むのです。
よくよく考えれば、普段から蚊取りに限らず、消耗品のことを意識して暮らしたいと思っている人はいないでしょう。石鹸やトイレットペーパーなど、なくなりそうだから仕方なく買いに行くのが普通で、喜んで毎日使用量を管理して購入時期を予測しているような人はいないでしょう。
どうしてもメーカーの開発者は、普段使用する中で自社の商品を意識してほしい、思い出してほしいと思いがちですが、「シンカトリ」はユーザーにそれを求めず、あえて存在を消してしまおう、というとても謙虚な商品だと思います。
シンカトリの開発背景を予想
「シンカトリ」の開発背景として、環境面では地球温暖化による夏期間が長くなっていることが予想されます。調べてみると、昭和・平成に比べて夏の期間は50日ほど増えて、倍の長さになっているそうです(出典:https://toyokeizai.net/articles/-/294472)。当然、蚊の活動期間が長くなり、蚊取りの使用期間も長くなっていると考えられます。
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あわせて、電気代の値上げからわずかな消費電力とは言え、コンセントに差している時間が長い電気蚊取りについても意識している人が多いのかもしれません。
今回の「シンカトリ」に近い商品はフマキラー株式会社の「どこでもベープ」に代表される、電池でファンを回し、薬剤を拡散させる蚊取りです。
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おおよそ使用期間は150~180日の商品になります。このファンを思い切って取り去ってしまい、自然気化に任せ、さらに使用期間を延ばしたのが「シンカトリ」と言えるでしょう。効果を発揮するには風上に置く必要があるという弱点が出てきますが、コロナ禍での換気習慣やロスナイなどの換気システムが広がったことを想定しての開発だと思います。
電気的な構造物が減ることでコスト面での圧迫もなく、販売価格も1,000円前後と、従来の電気式蚊取りと同等の価格で販売できており、とても秀逸な商品企画だと思います。
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