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しくじり商品研究室:ガリガリ君リッチ ナポリタン味
今日もご覧いただきありがとうございます。
商品を企画する際に、ヒットに導くのは難しいのですが、反対に失敗要素を極力減らしていくことなら比較的実行しやすいです。
ここでは、失敗した商品の原因を知ることで、失敗要素を減らす参考になればと思います。
(トップ画像引用元:https://www.akagi.com/news/2014/140318.html)
ガリガリ君リッチ ナポリタン味の例
「ガリガリ君」は赤城乳業が1981年から製造・販売する製造、販売する氷菓(アイス)です。コンビニやスーパーでも扱われているので、ご存じの方も多いと思います。年間4億本ほど売れているヒット商品ですが、様々な派生商品を展開する中で過去には、失敗した商品もあり、そのうちの一つが今日見ていく「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」です。2012年に発売された「ガリガリ君リッチ コーンポタージュ味」、翌年の「ガリガリ君リッチ クレアおばさんのシチュー味」のヒットを受け企画された第三弾ですが、最終的に320万本以上が売れ残り、3億円近くの赤字を出す結果となったそうです。
(参照:https://www.j-cast.com/2016/02/15258528.html?p=all)
このしくじり商品の詳細を、今日は見ていきたいと思います。
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(画像引用元:https://www.akagi.com/news/2013/130312.html)
しくじり理由
ガリガリ君リッチ ナポリタン味が売れなかった理由は、何よりもその味です。開発中にも「美味しい」と評価する人がおらず、発売後も味に対してクレームが来ていたようです。
と、ここまでは、上記の参照記事でも書かれていることなので、一歩踏み込んで、なぜ「ナポリタン味」はアイスにしたら不味いと評価されてしまったのか、考えてみたいと思います。
まず、氷菓は当たり前ですが、食事ではなく、間食で食べるものです。ガリガリ君リッチは、言ってみれば「間食で食べる氷菓なのに食事の味」というギャップが新しく、話題性に繋がる製品と言えます。
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(画像引用元:https://www.glico.com/jp/newscenter/pressrelease/8713/)
「コーンポタージュ」「シチュー」「ナポリタン」といずれもこの特徴に当てはまっていますが、「コーンポタージュ」「シチュー」と「ナポリタン」には、大きな違いがあります。それは「コーンポタージュ」「シチュー」はサイドメニューなのに対して、「ナポリタン」は主食です。「コーンポタージュ」「シチュー」ではありませんが、例えば、スープなら冷製スープがあり、サイドメニューは冷たくして食べるシーンがありそうです。パスタも冷製パスタがありますが・・・冷製ナポリタンとなるとあまり聞きません。クックパッドでも17件と作っている人が非常に少ない状況です(https://cookpad.com/jp/search/%E5%86%B7%E8%A3%BD%E3%83%8A%E3%83%9D%E3%83%AA%E3%82%BF%E3%83%B3)。
つまり、ナポリタンは冷たい状態との相性が良くなく、アイスにした時に消費者から魅力を感じにくいのだと考えられます。
狙った失敗?
「ガリガリ君リッチ ナポリタン味」ですが、そもそもヒットを狙っていなかった可能性があります。というのも「ガリガリ君リッチ」は、ある大手コンビニのバイヤーに「今年のガリガリ君は攻めてないね」と言われたことから、開発がスタートしているからです。赤城乳業は「話題性」を大切にした販促戦略を取っています。例えば、真冬の札幌でガリガリ君を配布して「雪が降っているのにアイスの試食かよ!」とネットでツッコまれたり、スーパーのアイス売場に「ガリガリ君」のオリジナルスプーンを設置し「ガリガリ君食べるのにスプーンいらないじゃん!」と同様にツッコミが入り話題を作っています。他にも10円の値上げのために従業員が頭を下げるCMも話題になりました。
「ガリガリ君リッチ」シリーズ自体が、そのギャップから話題性を狙ったものと言えそうですし、実際に、「コーンポタージュ味」はソーシャルメディアを軸に爆発的に話題になり広告費換算で5億円以上の露出になったとの情報もあります。
「ナポリタン」に失敗の3億についても、当然ですが、具体的な内訳はわかりません。工場への生産設備投資はあるかもしれませんが、他にも開発期間とそれに関わった人の人件費などあらゆる費用を換算することで、赤字幅を大きくし、話題性を高めている可能性もあります。ここでしくじり商品として紹介していることすら、赤城乳業の販促戦略の一環かもしれないのです(笑)
商品を必ずヒットに導くことはできないですし、売れない商品の方が多いのも事実です。マーケティングというと、いかにその成功率を高めるかを考えがちですが、失敗をポジティブに利用することを考える方が、はるかに機会が多く、効果的かもしれません。赤城乳業はそんなヒントをくれる事例だと感じました。
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