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マーケティング奮闘記-3Cと4Pを組み合わせろ

今日もご覧いただきありがとうございます。
普段偉そうに、ヒット商品だの、しくじり商品だのと書いておりますが、実際、当研究所の所長はまだまだ実務でマーケティングを実践したり、教わったりしながら、学んでおり、言ってみれば日々奮闘しています。
そんな奮闘の中から得たり、教わった学びを、自分の記録の意味も含めて、「マーケティング奮闘記」として残していきます。
今回は前回、前々回で書いた3Cと4P(マーケティングミックス)の組み合わせです。


3Cと4Pの組み合わせこそ真骨頂

ここまでの記事で「マーケティングの基本は3Cと4P」と書きました。
そして、3Cと4Pについて、別々に書いてきました。
3Cは説得力を持たせるための視点として、4Pは商品個別を考えるために視点として書きましたが、4Pの説明の中で「3Cと4Pを組み合わせて使う」と言う事をちらっと書いていたので、このことについて、具体的に書いていきます。

大きな考え方は、3Cの「Company:自社」「Competitor:競合」「Customer:市場・顧客」のうち、「Company:自社」「Competitor:競合」それぞれを4Pでまとめます。

自社商品と競合商品の比較をするとき

前回4Pで他社商品が売れている理由を分析する例を書きました。
ここではもう少し実践的に、自社商品の売れ行きと、それに対して他社商品の売れ行きを考えるシーンを扱ってみます。まあ、よくあるのは、自社商品が売れていなくて、他社商品が売れているのはなぜか、みたいな話ですね。
4Pでも良いのですが、より説得力を持たせるには3Cと4Pの組み合わせがおすすめです。

例として、統合で話題になっている自動車メーカーの日産とホンダでやってみましょうか。

日産キックスとホンダWR-V。
(画像引用元:それぞれ
https://www3.nissan.co.jp/vehicles/new/kicks/exterior.html?rstid=kicks_2405_top_usp_02#design
https://www.honda.co.jp/WR-V/webcatalog/design/#styling)

車格の近い日産のキックス(月間販売数台数約1,000台)とホンダのWR-V(月間販売台数約3,000台)で、自分が日産の社員だった場合(=3Cの自社が日産/キックス)を想定して分析してみましょう。

さて実際に3Cと4Pを組み合わせて、事実を並べてみたのがこちらです。
市場・顧客はPEST(政治・経済・社会・技術)を意識して記載してみました。
ここから仮説として、自社・競合の4P同士の比較では、下記が仮説として見えてきます。

・WR-Vは2024年発売でキックスよりも注目度が高く売れている。
・WR-Vはキックスよりも価格が安いために売れている。
・WR-Vはキックスよりも室内の長さ、幅が広く、空間の広さが選ばれている。
・そもそも販売店が多いホンダの方が販売力がある。

うーん、どれも一理ありそうです。
ですが、ここに「市場・顧客」の視点が入ると、少し違うものが見えてきますね。
気になったのは、下記三点です。

・軽自動車の人気が高まっていて、とくにホンダのN-BOXが日本で一番売れている。
・N-BOXはWR-Vと価格が近い。
・SUVの人気が高まっている。

これらから、相当数いるであろう、ホンダの販売店へN-BOXを見に来た人に、価格が近いSUVのWR-Vをお勧めすることで、販売台数を伸ばしている、という仮説が見えてきます。

もし、この仮説が正しいとすると、日産がWR-Vのような注目度、室内の広さ、価格の車を販売しても、そもそもお客様がディーラーに来る目的、人数が異なるので、対抗できません。車単体ではなく、日産に来るお客様を想定した販売のストーリーを組み立てなおすか、そもそも日産に来てもらう施策が必要ですね。
なお、これらは仮説ですので、この後例えば実際にディーラーに行ってどんな接客をしているか調査・検証を行えば、十分な説得力を持ってきます。

4Pと3Cの組み合わせでないと、見えてこないことがあるとわかっていただけたかと思います。もう、製品だけが悪いなんて言わせないですよ(笑)。

自社ラインアップと競合ラインアップの比較をするとき

これもよくあると思います。
視座を上げて、商品単体ではなく、ラインナップで比較する場合です。
製品同士の比較は、4Pでも要因が見つかることが多いですが、ラインナップの方がより市場・顧客の影響を受けるので、3Cと4Pの組み合わせがおすすめです。
ラインナップ比較になっても基本の考え方は同じで、各項目の記載がラインナップ則ったものになります。
例えば、4Pの製品/Productの項目は、モデル数がいくつあるか、何年周期にモデルチェンジしているのか、販売数量はいくらか、などで競合と比較します。価格/Priceの項目はラインナップ全体での価格帯になってきます。販促/Promotion、販路/Placeも同じようにラインアップ全体での扱いになります。

いかがだったでしょうか。
なんとなく選んだ日産キックスとホンダWR-Vの例でしたが、4P比較ではなく、3Cで見ないとたどり着かない仮説が出てきて、書いた本人が驚いています(笑)。少しでも「マーケティングの基本は3Cと4P」の真骨頂を感じてもらえたら幸いです。


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ヒット商品研究所
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