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しくじり商品研究室:マツダMX-30

今日もご覧いただきありがとうございます。
商品を企画する際に、ヒットに導くのは難しいのですが、反対に失敗要素を極力減らしていくことなら比較的実行しやすいです。
ここでは、失敗した商品の原因を知ることで、失敗要素を減らす参考になればと思います。
(トップ画像引用元:https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/)

マツダMX-30の例

「MX-30」は2020年10月にマツダが日本で発売したSUVです。荷室後方部分が斜めに寝ている、SUVでは珍しいスタイルで、通常のクルマと違い、観音開きの「フリースタイルドア」を採用しています。

フリースタイルドア。観音開きにドアが開くことで、デザインと乗降性を両立している。
(画像引用元:https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/feature/)

内装にはコルク材を使い環境負荷を減らしています。動力源は発売時こそハイブリッドエンジンのみでしたが、翌年は電気自動車のEVが追加されます。極めつけは、2023年に世界でもマツダだけが技術を持つロータリーエンジンで発電をするプラグインハイブリッドが追加され、デザイン、内装、動力源のいずれも特徴ある自動車になっています。
しかし、2023年の販売台数は約2,800台となり、マツダで最量販車種である「CX-5」の約26,000台と比べると1/10近い数字となっており、苦戦しているようです。

しくじり、いや狙いどおり?

いつもであれば、ここで商品が受け入れられていない理由を書くのですが、実はMX-30はしくじり商品に当てはまらないのではないかと思っています。
確かに販売台数は多くないのですが、マツダの目的がそこになさそうなのです。
開発責任者の竹内氏のインタビューによると、MX-30の開発目的は、マツダが提案する価値の幅を広げることにあったようです。

つまり、今のマツダに興味を持っているユーザーとは異なるユーザーに興味を持ってもらう、さらには、自動車に興味がない人にも振り向いてもらうことも考えています。
そこで、MX-30では入り口として「とにかく何かが違う」と感じてもらうための工夫を取り入れています

コルク材を使用した内装。
(画像引用元:https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/feature/material/)

現行のマツダ車とは全く異なるスタイル、内装、新しい動力源を採用して、これまで取りこぼしているユーザーを獲得しようとしています。マツダユーザーだけでなく、車格の近いホンダヴェセルや、トヨタC-HRなどの競合と比較しても個性的な存在となり、SUV市場全体で、新しいユーザーを獲得しようとしています。
結果的に、ニッチな商品となり、販売数量が伸びていません。一方でこれまでマツダでも展開してきた定番タイプのSUVとは違うユーザーを獲得する目的には沿った形です。

この後の展開は?

通常のエンジンよりも小型なロータリーエンジンを使用したマツダ独自のPHEVシステム。
(https://www.mazda.co.jp/cars/mx-30/special-contents/rotary-revival/#tab_anch)

これまで「MX」とついたマツダの自動車はMX-5(日本名ロードスター)を除いて、1代でモデルチェンジせず終わっています。竹内氏のインタービューでもある通り、MX-30もモデルチェンジせずに終売になるかと思います(アメリカ市場はすでに販売が終了しています)。
しかし、開発費用をかけた商品がモデルチェンジせず終わるのはもったいないですよね。おそらく、マツダはMX-30で得られた情報を今後の他の商品に活かしていくのだと思います。
MX-30は個性的なスタイルと、新しい内装、新しい動力源とマツダの特長を全部乗せしたような一台で、これは今後の他社との差別化の種とも言えます
開発責任者が自動車では珍しい女性ということもメディアでの注目度も高かったため、全部乗せした特徴一つ一つについての反応を集めることができたでしょう。各特長に対しての反応良し悪しや、相性の良いユーザーの情報から、差別化の種を実際に強みへと変えていけることでしょう。
今後、MX-30の要素がマツダのラインナップでどのように引き継がれるのか、注目したいと思います。

ちょっと今回は変化球な記事になってしまいましたが、ご容赦くださいませ・・・。

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