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#95. 年末年始にピッタリだけど、役には立たない英単語


クリスマスには、不穏な話題がつきものである。

先日もこんなツイートが話題になった。目にした方も多いだろう。

若年層がターゲットであるカナル 4℃ のネックレスを 30 代の女性に贈るのは違う、という主旨のツイート。これを書いているいまの時点で 4.6 万件のいいねを集めている。

プレゼントというのは、往々にして難しい。

一年の中で唯一、世界中がいっせいにだれかに贈り物をするこの 2 日間。「ありがとう、うれしい!」という感謝の気持ちと同じくらい、「それはもらっても困るなあ」という残念な思いも、世界各地で行き乱れているに違いない。

20 世紀には、そんな気持ちを表すのにピッタリな anticipointment という英単語があったらしい。

Anticipointment: A 20th-century portmanteau for the disappointment in something you’d eagerly anticipated, from a gift or a film to the Christmas cook’s decision to opt for poached prunes instead of mince pies.

おおきな期待を寄せていたものに感じる失望。「期待」を意味する anticipation と「落胆」を意味する disappointment の合わさってできた単語である。

現代の辞書には載っていなかったりするくらいなので、もう日常的に使われる語彙ではないが、それでもこの感情自体は、だれにも、いつでも普遍的にあるものだろう。

なおこの単語は、先日読んだ、以下の記事の中で知った。

英語の長い歴史の中で使われなくなってしまったものの、このクリスマスから年末年始にかけての事柄を表現するのにおあつらえ向きな単語の数々が並んでいる。

今日はこの中から、個人的におもしろいと思ったものを 5 つピックアップして紹介したい。

※なおこれらの単語を知っていても、英会話などにはなんの役にも立たないし、ネイティヴ含めほとんどだれも知らないのでそこはご承知おきを。

1. Dysania

An extreme inability to get out of bed.
異常なほどベッドから出られないこと。

冷えるこの時期、毎朝これと格闘している人も多かろう。

この語がどうして使われなくなったのか、不思議でならない。


2. Kalopsia

A temporary state in which everyone, and everything, looks beautiful (the more mellifluous articulation of beer goggles).
一時的に、すべての人やすべての物が美しく見えるような状態。

イルミネーションに彩られて、クリスマス・シーズンはいろんなものが輝いて見える。そんなとき使える(?)のがこの単語である。

個人的には()の中に書いてある、これと同じ意味を表すアメリカのスラング "beer goggles" (ビール・ゴーグル) もおもしろいと感じた。

「ビールに酔っぱらうと、どんな女性も美人に見える」ということを、彼らは beer goggles と表すことがあるらしい。

これから居酒屋で店員の女性が男に絡まれているのを見たら、この表現が脳裏に浮かぶことだろう。


3. Latibulating

The act of hiding oneself in a corner in order to escape from reality.
現実逃避の手段として、すみっこに身を隠す行い。

華やかな季節とはいえ、今年はその賑わいは比較的落ち着いている。

いろんな意味で厳しい現実を突きつけられた 2020 年、むしょうに latibulating したくなるタイミングが、みんなどこかであったはずだ。


4. Merryneum

A more recent coinage for the twilight period straddling Christmas and New Year, when you have no sense of time whatsoever.
比較的最近の造語で、クリスマスから元日にかけてのあいまいな期間。人々が完全に時間の感覚を失う時期。

まさに今日以降年始にかけての時間を表す英単語。

「人々が完全に時間の感覚を失う時期」という説明が秀逸。本当にそう。毎日「あれ今日何曜日だっけ?」なんて言っている。


5. Yule-hole

The furthest hole in your belt to which you have resort after Christmas dinner.
ベルトのいちばん遠い穴。クリスマス・ディナーを食べ終えた後の頼みの綱。

こういう単語に出くわすたびに、英語にまたひとつ愛着が湧く。なんでこんな単語つくろうと思ったんだろう。

日本では、クリスマスはもちろん、お正月の餅の食べ過ぎで肥えていく人も多い。yule-hole に頼ることのないように、しっかりとセーブしながら食べる必要があるかもしれない。

さて、年末にかけてお祭り気分は増していくだろうが、「忘年会」などと言ってどんちゃん騒ぎはしない方がいい状況が続いている。

「来年には、きっとすべてが元通り」などという大方の期待は結局、anticipointment に終わるかもしれない。

しかし、英語とインターネットさえあれば、自宅にいようがどこにいようが、海外を目で旅したり、世界中の人と会話をしたりすることはできる。

いますでにそれができるという人はそうすればいいし、まだできないという人だって、英語を勉強する時間はたっぷりとある。

この年末は、大勢で集まることを控えておとなしくする( ...... そして願わくば英語と向き合ってみる)。そうすることが、きっと来年の自分たちに向けての、最大のプレゼントなのだ。


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