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佐藤春夫記念館が取り壊される?

ひっさしぶりの新宮市行政&議会ネタです。悲しいことが起こりそうな予感があまりに強く。

明日9/15(木) 10:00~ 新宮市議会の教育民生委員会を見に行ける方はいませんか?
とにかく、誰かに聞きに言ってほしいです。

今開かれている9月議会で、「佐藤春夫記念館移転事業」という予算があります。
これは、小説家で新宮市の名誉市民でもある佐藤春夫さんの元自宅「佐藤春夫記念館」を、今ある速玉大社の敷地から、別の場所に移しちゃおう! というものです。

(佐藤春夫って誰?という方はwikiを。)
小説家で、芥川龍之介の友人だったり、谷崎潤一郎の恋敵だったり、太宰治の師匠だったりしたことのある人です。

(佐藤春夫記念館って何?という方はこちら↓)
https://www.rifnet.or.jp/~haruokan/about.html

あまりにも問題が盛りだくさんで指摘したいことが多すぎる事業なのですが、
もっとも問題であり心配しているのが、この事業は、実質的な「佐藤春夫記念館の取り壊し」となるのではないかということです。

「え、移転なんだから、取り壊しなんて市は言ってないのでは?」
と思う方もいると思います。ぼくもそう思っていました。

実はこの移転事業は、昨年の3月にも市が議会に提出しているのですが、あまりにも問題が多く議会の反対があり、市が議案を取り下げています。

その時に聞いて知ったこととして、この事業はあくまでも、「移転」であり、「移築」は必ずしも意味しないということです。

ここで言う「移築」は、別の場所にあった建物そのものを、文字通り移動させること。
つまり、佐藤春夫さんのこの自邸は、東京から新宮に平成元年に移築されたものなのですが、それと同じことが新宮のまちなかの別の場所に行われる ということになります。

そして今回の「移転」は、今の場所にある建物は取り壊し、別の場所で同じ機能のものを新築する、ということなのではないかと思っています。

ぼくは、そもそもなぜ今、記念館を移動させる必要があるのかが分からないということもありますが、仮に、移動させなければならないとすれば、

「移転」ではなく「移築」であってほしいと強く思っています。

この建物は、そもそも、佐藤春夫が実際に住んでいた建物であり、かつ、その設計を、大石七分(建築家・教育者として名を残した西村伊作の弟。西村伊作は同じく名誉市民)がしたものです。新宮市としては、文化的価値・建築的な価値を見出して、大切に保存しつづけるべきものではないでしょうか。

「移転」として取り壊してしまえば、もうそれらの価値を取り戻すことはできません。ハリボテ/レプリカ と、本物って、全然違いますよね。

そして、すでに、新宮市には対象的な結果となった分かりやすい事例があります。
西村伊作氏が設計した現存する2つの建物。

【西村記念館】
国の重要文化財として、専門組織である和歌山県文化財センターが手掛け、価値を損なわない形で大規模修繕が行われた。

【チャップマン邸】
重要文化財等にはなっておらず、歴史的建造物の専門家は関与せずに修繕。専門家の方に言わせると、重要文化財にできる可能性もあったが、本来の価値は失われてしまった。

たのむから、「移転したほうが、西村記念館にもチャップマン邸もすぐ近くなるし、観光にもいいよね」とかいう最近思いついた理由だけで、壊さないでくれ。
「移築だとむっちゃお金がかかるから、もう新しく建てちゃったほうが安く済むし議会も説得しやすいし」とかいう浅はかな理由で、壊さないでくれ。

何が価値なのかを考えてほしい。
新宮市のお金をつかって、新宮市の財産をつぶすという愚行を、しないでほしい。

#佐藤春夫記念館
#佐藤春夫
#新宮市

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