新しい学童家具の開発ストーリー
<特許品>
15年生
日田市では、地域資源である日田杉を使用した学童家具を小中学校に約15年前に導入しています。現在は、老朽化し修理を繰り返しています。この15年の間に教育内容の変化や少子化など新たな課題を抱えています。
そこで日田家具衆は、現代の教育環境にふさわしい家具の在り方を再考し、情操教育の発展に貢献します。
令和2年度 目標
「学童机 学童椅子 教卓の試作開発」
①教育現場の把握
②学童家具の在り方を考える
③企画立案・協議
④試作開発
⑤試作検討
⑥試験導入
⑦最終報告
①教育現場の把握
アイデアの宝庫
実際に生徒や先生に椅子や机を触りながら色々な意見を聞きました。
アンケート用紙には、おもしろいアイデアや一生懸命考えたスケッチなど色々な想いを伝えてもらうことができました。
ご協力:日田市小野小学校 戸山中学校
②学童家具の在り方を考える
変えるもの 変えてはいけないもの
こども達の想いを実現させるのが、我ら「日田家具衆」の腕の見せどころ。
要望をまとめると...
『かっこよくて軽くて丈夫でタイヤが付いてて座るだけで宿題ができる椅子!!』
悩んだときは、原点に立ち返る!!
地域資源である日田杉で全て作られた現行の机椅子は、ケガをしたり壊れやすかったり、どこかで大人の押し付けがあったのかもしれません。そうならないようにこども達の想いと、大人の想いを同時に叶えないといけません。
私たち大人は、なぜ安い輸入品に頼らず、地域資源を使用した椅子と机をこども達に使ってもらいたいのかを改めて考えることにしました。核となる課題を見つめ直すことで現れる姿があるからです。
そして「自然との共生」という概念を一番のコンセプトとしました。
③企画立案
想いを形に
基本要項をもとに、子供たちの要望にどれだけ応えられるのか、安全性や実用性など課題は、沢山ありますが、この険しい山を越えると素晴らしい景色が見える!!はず?
〇身体に触れる部分には、日田杉を使用する。
〇机の天板は、取り換えやリペアができる様に取り外し可能にする。
〇椅子には雑巾が掛けられる場所を確保する。
〇軽量化と強度を実現するためスチールを併用する。
〇スタッキングもしくは、ノックダウン(組み立て式)とする。
〇強度や安全性など実用性に欠けないもの。
〇コストが上がらないように最低限の加工に抑える。
以上の条件を最低限クリアできるようにデザイン案を起こしていきます。
立案した想いや作り手の考えなど総合的に考えていきます。
そしてきまったのが、このデザイン ↓↓↓
学童机
学童椅子
教卓
教卓を一緒に開発するのは、教室空間をトータルコーディネートするため。これからは、教室、職員室、図書館、そして学校全体を総合的に捉え、統一性を持たせていきたいと思っています。
④試作開始
2021年1月6日
学童家具を専門に制作する職人さんと打ち合わせ。イメージ通りに出来ること、できないこと。まずは、強度や安全性を優先させなくてはいけません。あとコストも・・ デザイン図面100%同じようには、出来ませんが、よりイメージに近づけるように再試作依頼中です。出来たら今度は、木部(日田杉)の制作、日田家具衆の出番です。
⑤試作検討
試作品がついに完成しました。頭の中の想像から始まった開発は、職人さんの協力によって現実の世界に現れます。日田杉とスチールパイプの艶消しホワイト色のコントラストすっきりして教室も明るくなりそうです。しかしこの段階においても製作サイドから若干の変更が必要なようです。更にこどもたちや先生方の意見をヒアリングして使い手の更なる要望に応えられるように改良を加え、最終完成品を目指します。
⑥試作のヒアリング
「まだまだ重い!!」
「持ちにくい!!」
「掛け心地は、いいなぁ」
こどもたちに試作品を見てもらい意見を聞きました。
⑦再試作
もっと軽く頑丈に・・持ちやすく運びやすく・・コストダウン・・作りやすく・・ 一回の試作で完璧は出来ません。こども達に喜んでもらえるように再試作。
⑧試験導入
改良を重ねムダを省きどうにか改良タイプが完成しました。実際に2カ月間学校で使ってもらい問題がないかこども達に調査してもらいます。どきどき・・
⑨完成
合格頂きました!! 少しだけ机が重くなりましたが椅子の重さは現行タイプト変わりません。
「座面のくぼみが良かった」
「運びやすかった」
そしてこの言葉
「教室が明るくなった」
実は、教室が明るく楽しい場所になるようにカラーリングには、拘りました。毎日学校に行きたくなるような環境づくりを目指しているのでこの言葉は、素直に嬉しかったです。
日田市内すべての小中学校に導入することになりました。
今後は、きみの木のパイプフレーム(特許品)を提供させて頂くことで「あなたの町で育った木を使い、あなたの町の木工所で作り、あなたの町の子供たちが育つ」森林環境譲与税の活用も可能なので全国にこの「きみの木プロジェクト」を広げていきたいと考えています。