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潜在層向けウェビナーのテーマの探し方と企画のポイント
こんにちは!株式会社マネーフォワードでウェビナーを担当している戸田です。
この記事は、「イベントマーケティング Advent Calendar 2024」の21日目の記事として執筆しています。
EventHubのスー | EventHub マーケさんからお声がけをいただき、この素敵な企画に参加させていただくこととなりました。(お誘いいただき、ありがとうございます!)
今回のテーマは、「潜在層向けウェビナーのテーマの探し方と企画のポイント」です。
少しでもお役に立てれば嬉しいです。どうぞよろしくお願いします!
▍自己紹介
改めまして、株式会社マネーフォワードで『マネーフォワード クラウド』の経理財務領域に関するウェビナーを担当している戸田と申します。
前職からウェビナーの企画や運営に関わり、ウェビナーマーケティングの経験は約3年になります。
これまで、業務委託を含めて営業、介護、HR(人事)、経理など、いろいろな業界や職種向けのウェビナーを企画してきました。
▍なぜこのテーマを取り上げるのか?
まず、「潜在層向けウェビナー」の定義について、皆さんと認識を擦り合わせておきたいと思います。
ここでは、下図でいうところの潜在層、つまり「これから悩みを持つ可能性がある」顧客フェーズ向けのウェビナーを指すものとします。
![](https://assets.st-note.com/img/1734750494-BF9mNf14vs2nxyYCOLzXAerj.png?width=1200)
今回、このテーマを取り上げた理由は、潜在層向けウェビナーに関する情報が少ないと感じたこと、そして企画・運営を進める中で「ネタ切れ」に悩む方が多いのではないかと考えたからです。
例えば、
• 準顕在層や顕在層向けのウェビナーコンテンツが充実してきた
• 次は潜在層向けウェビナーも企画しよう!
…と進めていくものの、数ヶ月、数年と続けるうちに、潜在層向けウェビナーのテーマ選びに困る、というのは「あるある」ではないでしょうか?
私自身もこの課題に直面し、さまざまな工夫を重ねてきました。その中で得たアクションや企画のコツを、今回の記事で共有したいと思います!
なお、一部の内容については、潜在層向けに限定せず、ウェビナー全般に通じる汎用的なトピックも含まれます。ご了承ください。
▍潜在層向けウェビナーのテーマは、3Cの視点からヒントを探す
潜在層向けウェビナーのテーマを見つけるには、3C(市場・顧客、競合、自社)の視点からヒントを探すのがおすすめです。
多角的なアプローチを取ることで、抜け漏れを防ぎつつ効率的にテーマを見つけられます。ここから、各視点に基づく具体例を紹介します!
▍テーマの探し方〜市場・顧客(Customer)編〜
①【顧客】"潜在的なターゲット"の顧客解像度を高める
まず重要なのは、“潜在的なターゲット”の顧客解像度を高めることです。
自社プロダクトへの興味関心や課題がまだ顕在化していない層が、どのような興味を持ち、どんなウェビナーに参加しているのかを把握することがポイントとなります。
おすすめのアクションプラン例
・潜在層の顧客に近いペルソナを設定し、そのペルソナに基づいてインタビューを行う
・展示会に参加し、潜在的なターゲット顧客に直接ヒアリングする
・ウェビナー後のアンケートで、今後参加したいテーマを収集する
◾︎インタビュー
私の場合、インタビュー用にペルソナを作成し、友人に「こんな方がいれば、ぜひご紹介いただけると嬉しいです!」とお願いして時間をいただくようにしていました。
◾︎展示会
展示会では、幅広く情報収集をされている方や、「特にニーズはないけれど来場した」という方も一定数いらっしゃいます。
こうした方々との会話を通じて潜在的なニーズを見つけた場合には、「普段ウェビナー担当をしているので、ぜひお話を伺いたいのですが…」と積極的に声をかけています。
さらに、あえて抽象的な質問を投げかけることも意識しています。例えば、
• 「今、業務でどんなことに関心がありますか?」
• 「最近参加したウェビナーは何ですか?それはなぜですか?」
といった形で、具体的に誘導せずヒアリングを行うことで、潜在的なターゲットの方が自分の言葉で語る「興味関心」を引き出しやすくなります。
◾︎ウェビナー後のアンケート
また、ウェビナー後のアンケートを活用することも効果的です。
私自身、司会としてウェビナーに登壇する際は、「1件1件すべて拝見するので、ぜひアンケートにご意見やリクエストをお願いします!」と視聴者に協力を呼びかけています。
アンケート結果は表計算ソフトなどにまとめておくと、後々活用しやすく便利です。
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②【市場】カンファレンスやイベントプラットフォームをチェックする
業界団体やイベント会社が主催するカンファレンスは、多くの場合、集客を目的としているため、潜在層向けウェビナーに近いテーマが設定されることがよくあります。
そのため、潜在層向けのウェビナーにとってテーマ設定や市場のトレンド把握に役立つことが多いです。
また、イベントのプラットフォーム、例えばPeatixで出稿されているウェビナーをチェックするだけでも、市場のトレンドを把握する手助けになります。
③【市場】書店でターゲットの興味分野を調査する
定期的に書店に行くこともおすすめです。
私の場合、ターゲット顧客が関心を持ちそうな書籍コーナーに足を運び、特に目に入りやすい場所に陳列されている本を定期的に確認するようにしています。
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書籍や業界専門誌は、その時々の市場トレンドやマーケットの動向を先取りしていることが多く、非常に参考になります。また、著者をウェビナーの登壇者候補としてリストアップする際にも活用でき、一石二鳥です。
④【市場】最新情報の発信元を特定しフォローする
最新情報を発信している人や組織を特定し、フォローすることも、テーマのヒントを得るために非常に有効な手段です。
私の場合、X(旧Twitter)やLinkedInで、情報感度が高く積極的に投稿している方や著名なインフルエンサーをフォローし、その発信内容やアクティビティログを参考にしています。
また、業界によっては、業界団体や研究機関が発信する最新レポートや記事をチェックすることが効果的な場合もあります。
例
• 政府や官公庁
• 専門調査機関
• 業界団体
• 大手やベンチャー企業の著名な役員の方
• SNSで活躍しているインフルエンサーの方
• 業界紙や専門誌のSNSアカウント など
最近では、以下のような仕組みを活用して、トレンドの把握を効率化しています。
1. RSSフィードをSlack通知に連携
情報源からの最新情報をRSSでSlackに通知
2. Slack AIで要約
Slackワークフロー×Slack AIを活用し、1で通知された内容の要約を週次で通知
![](https://assets.st-note.com/img/1737170543-0rWocKVvl5gObCzmIGp86BNh.png?width=1200)
3. トレンドのサマリー作成
2.の内容と所感を踏まえて、私が週次でマーケティングチーム全体に「週のトレンドサマリー」を共有
このプロセスにより、マーケティング部全体でトレンドを把握する仕組みができ、他のチャネルにも良い影響を広がっています。RSSの設定方法を知りたい方は以下がおすすめです。
▍テーマの探し方〜競合(Competitor)編〜
①【競合】定期的に競合調査を行う
競合他社のウェビナーテーマや内容を調査し、自社で未着手のテーマを洗い出すことは、テーマのヒントを得るために非常に有効です。
月に1回程度、競合他社のウェビナーを確認するだけでも十分参考になります。
また、後述するホワイトスペース(競合が未着手の領域)を発見するためにも、競合調査は欠かせない取り組みです。
▍テーマの探し方〜自社(Company)編〜
①【自社】登壇者から逆算する
登壇者の得意分野や経験をもとに、その登壇者が語れるテーマを探すアプローチは有効です。
特に、自社ウェビナーに頻繁に登壇している方にヒアリングし、未実施のテーマがないかをチェックしましょう。
例
• 過去に話したことがあるテーマ
• 実績や経験を活かせるテーマ
• トークが得意なコンテンツ など
登壇者を起点に考えることで、これまでのアクションプランではなかなか見つけられなかった新しいテーマが発見できることがあります。
また、登壇者の方が何かの拍子にアイデアを思いついた際、すぐにチャットで共有してもらえるよう、あらかじめコミュニケーションをとっておくことも有効です。
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私自身、この方法で新しい発見や切り口を見つけることが多く、大変助かっています。
②【自社】社内コンテンツを活かす
社内に眠っている資料やホワイトペーパーは、ウェビナーのテーマ探しに役立つことがあります。
例
• 営業資料やカスタマーサクセスが作成したスライド
• ホワイトペーパーやメールマーケティング用のコンテンツ
私の場合、社内でのコミュニケーションコストを削減するため、これらの資料が保存されているドライブの場所を事前に把握しておくよう心がけています。
能動的にアクセスできる状態を整えることで、必要なときにスムーズに資料を見つけられ、コミュニケーションコストを抑えながらテーマ探しが可能になります。
③【自社】他のメンバーにアイディアをもらう
ウェビナーの企画は、孤独な作業になりがちですが、他のメンバーを頼ることで新たなアイディアが見つかることもあります。
マーケティングメンバーやインサイドセールス、セールス、カスタマーサクセスのメンバーに相談するのはもちろん、PdMや開発チームの方々に意見を求めるのも効果的です。
特に、ターゲット層に近い職種の方が社内にいる場合は、積極的に相談してみることをおすすめします。
他の方の視点や知見を取り入れることで、より多様で魅力的なテーマを見つける可能性が広がります。
▍参考:別業界・ターゲット向けのウェビナーもヒントになる
全く別の業界やターゲット向けの企画も、テーマの切り口として参考になることがあります。
例えば、自分自身が「参加してみたい」と感じたウェビナー企画を振り返ってみることが有効です。
以下のポイントに着目してみてください。
• なぜそのウェビナーに参加したいと思ったのか?
• どんな内容やポイントに魅力を感じたのか?
これらを抽象化することで、新しい切り口やテーマを発見できる場合があります。
具体的な例があると分かりやすいと思うので、私が参考にした事例と、それを自社の企画に転用した例を紹介します。
事例:「Salesforce流 新時代のインサイドセールス組織づくり 徹底公開 Part1」
概要文(一部抜粋):
《Part1》のハイライトは、BDRのエースとして活躍する高尾和也さんによる「役員向け電話ロールプレイ」。営業力の強さの理由を肌で感じられる、貴重なノウハウです。BDR部隊を統括するマネージャー・林田優理さんによる精緻な解説・フィードバックとともに、同社の考え方、言葉選び、行動習慣、KPIと評価まで、詳しく分析していきます。インサイドセールス・アウトバウンドというと、従来型のテレアポと同一視されることもまだまだ多いと思いますが、高尾氏のロープレを目の当たりにすれば、その景色は一変するに違いありません。
▼なぜ参加したいと思ったのか?
• 営業組織の先駆者であるSalesforce社が、BDRトッププレイヤーの実際のロールプレイを公開する点に魅力を感じた
• 普段は社内でクローズされている「ノウハウ」を公開することで、「こんな内容を見せてくれるのか…!」という特別感を抱いた
▼申し込みの要因を抽象化
• 業界や職種の先駆者によるナレッジ提供
• 通常は社内で閉ざされている内容を、特別感を持って公開
↓
▼抽象化から得たアイデア
• 通常は社内で閉ざされている内容を、特別感を持って公開
↓
▼企画化したウェビナー(ターゲット:経理)
• オフレコ要素を交え、自社の経理チームによる「◯◯事務作業の失敗談と運用改善の歴史」を赤裸々に公開
•普段は社内だけで共有される裏話をウェビナーで披露
テーマが直接見つかるわけではないかもしれませんが、こうした取り組みはウェビナーコンテンツの発想のヒントを得るうえで非常に有効です。
視点を広げることで、新たなアイデアの可能性が大きく広がります。
▍潜在層向けウェビナー企画のポイント
次に、潜在層向けウェビナーの企画における重要なポイントです。
深掘りすれば1つの記事やnoteとしてまとめられるほど奥が深い内容ですが、私が特にこだわっている部分を中心にお伝えします。
①原理原則を押さえつつ、+αの工夫を取り入れる
ウェビナーでは「テーマ」「登壇者」「クリエイティブ」が重要だとよく言われています。
私もこの考えに深く共感していますが、現在のようにコンテンツが溢れる時代では、これに加えて顧客メリットを意識した+αの工夫を考えることが大切です。
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「テーマ」「登壇者」「クリエイティブ」という基本を土台に、+αの工夫を加えることで、他と差別化しつつ、より魅力的なウェビナーを作り出すことができます。
例えば、以下のようなアイデアが考えられます。
+αの工夫の例
▼シーズナリティを意識したトピックを入れる
ターゲットの年間スケジュールを逆算してテーマを設定し、その時期に最適なトピックを提供する
▼特別感のあるコンテンツ
普段社内でしか見られない情報を公開するなど、希少性を高める
▼ホワイトスペースを狙う
競合他社が手を付けていない分野や新しい法改正の話題を、どこよりもいち早く提供する
▼現場の実務に即した情報提供する
抽象的な話やセールス要素ではなく、現場で役立つ具体的なノウハウや事例を紹介する
実際、マネーフォワードの取り組みでは、これらの工夫を反映したウェビナーが、申込数や満足度の両面で高い成果を上げています。
要するに、+αの要素を通じて希少性や特別感をいかに生み出すかが重要です。AIの進化により、今後平均的な内容のウェビナーが増えることが予想されます。
その中で、「テーマ」「登壇者」「クリエイティブ」にこだわりながら、+αの要素をどれだけ取り入れられるかが、成果を分ける鍵になると考えています。
② WhoとWhatは市場目線で捉えて、必要に応じて調整する
企画において、私が必ず考えることがあります。
それは、「このウェビナーテーマを市場に打ち出したとき、どれだけの人が興味を持つだろうか?」と問いを立て、申込数などが実現可能かを検討することです。
具体的には、「目の前にターゲットとなる方(私の場合、経理担当者)が100名いた場合、このWhoやWhatで設計した企画に何名が関心を示しそうか?」とイメージしながら考えています。
![](https://assets.st-note.com/img/1734785050-eWyVih8ngQAPcT9lJBmj0HUb.png?width=1200)
図で表すと、左側に行くほど幅広い層にリーチしやすく申込数が伸びやすい一方、右側に行くほど興味関心を持つ対象者が絞られるため、申込数が伸びづらくなります。
ウェビナー担当者は1人で作業を進めることが多く、企画の過程でWhoが狭まりすぎたり、Whatが関心を引きづらいものになることは珍しくありません。
だからこそ、このプロセスを毎回慎重に検討し、目標の申込数達成が難しいと感じた場合は、企画全体を見直し、WhoやWhatを再考することが重要です。
<余談>
潜在層向けウェビナーでは過去に同じテーマの実績がないことが多いため、予測が難しいケースが多いと思います。
その場合、私は別の潜在層向けセミナーの実績を比較し、関心度の違いを考慮して申込数を予測する方法を活用しています。
例
•「潜在層向けウェビナーA」で〇〇件の申込があった
•「ウェビナーB」はAと比べて関心度が「高い/低い」と仮定し、変動率を考慮
•その結果、Aと比べて申込数を〇%増/減と見込む
③ 企画者自身がワクワクできる企画を作る
「そんなこと?」と思われるかもしれませんが、企画者自身が「この企画、面白い!」と感じられるかどうかは非常に重要です。
もちろん、ターゲット顧客、特にWhoを憑依させて「どう思うか?」という視点も欠かせません。
問い
・(あなた自身が)面白そうと思うか?
・そのポイントは何か?
・ありきたりな内容になっていないか?
・この企画のWhoの課題はxxxxだが、その課題を持つ人が「聞きたい!面白い!」と思いそうか?
・そのポイントは何か?
・他に魅力的な内容はないか?
企画者自身が「ありきたり」「パッとしない」「面白くなさそう」と感じる企画であれば、ターゲット顧客も同じように感じる可能性が高いです。
最終的に、企画者が「これならいける!」と自信を持てる企画こそが、申込数や満足度を高める原動力になると考えています。
▍最後に
◾︎潜在層向けウェビナーの潮流は毎年変化する
今回の記事では、潜在層向けウェビナーのテーマの探し方や企画のポイントについて解説しました。
潜在層向けウェビナーのテーマやトレンドは、外的要因や市場の動向、さらにはターゲットの興味・関心の変化によって毎年移り変わっています。そのため、ウェビナー担当者としては、常にアンテナを張り、最新情報を収集しながら、こうした変化に柔軟に対応していくことが求められます。
こうした地道な積み重ねが、潜在層の興味を捉えた精度の高いウェビナー企画を実現するうえで、成功を左右するポイントとなるはずです。大変な作業ですが、一緒に頑張りましょう!
最後までお読みいただき、ありがとうございました。このnoteが少しでもウェビナー企画のヒントになれば幸いです。
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ここまでご覧いただき、ありがとうございました!