輪道のツチウラ_完成イラスト

1、加齢

こんなツイートをしました。

地域おこし協力隊はカレーづくりサポーターのようなもの。1200年以上煮込んだ京都には逆立ちしても叶わない。そもそもカレーづくりしてこなかった地域もある。カレーに正解はない。しかしスパイスにはなる。

てらけんさん(@teraken099)の、地域おこし協力隊を損得で語るのはやめよう! という記事を読んでの感想ツイートです。記事はこちら↓。

これだけでは言葉足らずと思って、ツイートを重ねました↓。

定住カレーが正しいのか?
スパイシーならそれでいいのか?
カレーの宣伝をすればいいのか?
ジビエカレーがいいのか?
他の街のカレーを真似するのか?
ただ焦げないようかき混ぜるのか?
途中で違う料理に向かうのか?
正解はない。
カレーの作り手と食べ手の
意向や材料も千差万別。難しい。

一応、補足すると、

定住カレー=退任後も住み続けてカレー(街づくり)を作る
スパイシー=刺激を与える
カレーの宣伝=情報発信を行う
ジビエカレー=その地域ならではのカレー(街づくり)をする
他の街のカレーを真似=成果が出た他の街づくりを取り入れる
ただ焦げないようかき混ぜる=街づくりの黒子的なお手伝い
途中で違う料理に向かう=途中退任して違う未来へ向かう

というたとえです。

さらにもう1つツイートしました↓。

そもそもカレーづくり=街づくりを、内心迷惑に思う食べ手=住民もいる。
「カレーの匂いや辛いものは苦手。昔ながらのご飯と味噌汁で充分」
そんな中で、作り手=行政や、シェフ=民間のイケてる事業主と、カレーづくりをする苦労。
カレーうどんやカレーパンなどの変化球も、時には必要かも…。

これも蛇足ながら解説。

カレーの匂いや辛いものは苦手。
=自分たちのこれまでの生活(街)を乱されたくない。
昔ながらのご飯と味噌汁で充分。
=自分たちのこれまでの生活(街)に安住したい。

カレーづくり=街づくり
食べ手=住民
作り手=行政
シェフ=民間のイケてる事業主

カレーうどんやカレーパンなどの変化球
=住民に受け入れやすいように応用させた街づくり

ちょっとカレーを使いすぎたか?という感はありますが…(汗)。

地方では高齢者=加齢を重ねた人が多いので、どうしても刺激物には拒絶反応を示す場合も多いのではないか。

地域おこし協力隊については、今まで何回かnote記事を書いてきました↓。

これは木下斉さんの『凡人のための地域再生入門』を題材にした記事です。ここから少し引用しますと…↓。

私も正直、この木下さんの記事で初めて考えたトピックも多かったです。一番の問題は、このような細かい(なのに大事な)リアルな問題点や改善点案が、世間にじゅうぶんに伝わっていないことです。下手すると、協力隊を募集しようとする市町村内でも周知徹底されていないのではないか。協力隊員応募者も知らない人がいるのではないか。

この詳しい「問題点」や「改善点」は記事を読んで頂くとして、要は、和食しか知らない人の中で、いきなりインドカレー屋をオープンしても、なかなか理解されないよ、ということです(またカレー…)。

2、華麗

では逆に、「華麗な街」はどうなのか。

京都。794年から連綿と続く伝統。1200年以上の歴史。煮込まれている。そのコクとうま味には、一朝一夕のカレーではとても太刀打ちできない。

福岡。アジアへの玄関口。国際都市にして「博多どんたく」をはじめ伝統も息づく街。その香ばしいスメルに、私も住めるだろうかと人が寄ってくる。

東京。大都会。放っておいても客が来る。というか吸い寄せている。もちろん出ていく人も多いけれど、それを上回る華麗な魅力。

このあたりのことについては、この記事で書いてみました↓。

華麗な街は、すでに完成品です。

そのうえでさらに若者や新しい文化というスパイスを加え、かきまぜる人も目新しい材料も選び放題。好循環のスパイラル。こういうカレーは、そこにあるだけで魅力を放っています。また、情報発信という宣伝、イメージが勝手に独り歩きしてくれて、さらなるファン層を呼び起こします。

そこに行きつくまでには、かなり遠い道のりなのです。

3、鰈

とはいえ…、と考えてほしいのです。

京都も福岡も東京も、最初から大都会で華麗な街だったのか

そうではありません。

京都は、784年につくられた長岡京が10年で変えられ、都になっていなかったら、ただの山に囲まれた寒村だったかもしれません。そもそも、長岡京のほうが先に都として作られたのですから、その時点では二番手だった。応仁の乱の際には大部分が焼けています。

福岡は、昔から港として使われてはいましたが、縄文時代には海の底だったと言われています。つまり、地球の気まぐれで港としての地形になっていなかったとしたら、ただの海岸だったのかもしれない。ソフトバンクホークス(昔のダイエーホークス)も、最初からあったわけではない。

東京は、皆さんご存知の通り「江戸」でした。つまり、徳川家康の江戸幕府が成立しなかったら、ここまで発展することはなかった。鎌倉とか小田原などの方が有名でした。政治的な流れの中で発展してきた。スカイツリーどころか東京タワーも、昔には存在しなかった。

歴史の中で、先人が時には嵐にもまれながらも、黙々とカレーを煮込むがごとく伝統を継いでいって、いまの華麗な街ができている。

さて、そのような「煮込み」を、いま衰退している地域はしてきたのか?

京都のように、1200年煮込めとは言いません。

しかし、新しいものを取り入れて、努力を積み重ねてきた地域や街は、独特の味わいを出すことができています。

例えば鯖江(さばえ)という街↓。

「鯖江モデル」と言われる地方活性化の成功例として取り上げられています。まさに「鯖カレー」のような斬新な街。

ただしこの鯖江をそのままコピペしようとしても無理です。それまでの味付けというものがあるのですから。鯖カレーはどこの街でもできるわけではない。その地域にあったメニューを考案する必要がある。

地域おこし協力隊は、存在だけでスパイシーなものです。時には行政に、時には地域住民に、時には他の街から、協力だけでなく批判も浴びるかもしれない。

先日のこのnote記事では、協力隊の光と闇を書きました↓。

もし、カレーがその地域に合わないとしたら、もしかしたらうどんやそばの方がいいかもしれない。柔軟に参加しつつ、自分の人生も煮込む。

その意味において、カレーづくり=街づくりにとらわれずに、新しいメニュー「鰈(かれい)の煮つけ」を目指してもよいかもしれません。それが結果として、多様性を生むかもしれないからです。

4、将棋めし

いかがでしたでしょうか?

この記事では、カレー(加齢・華麗・鰈)のたとえをふんだんに使い、地域おこし協力隊について書いてみました。

最後に1つ、漫画を紹介します↓。

松本渚さんの「将棋めし」です。

グルメ漫画と思いきや、「めし」と「将棋」がうまく合わさり、絶妙なハーモニーを奏でています。いきなり第1話から香ばしい。最新刊5巻の「激辛勝負」は、手に汗を握るというより、読んでいるこっちのほうが辛さでシビレました…。ネタバレを書きたいのをこらえています。ぜひご一読を!

ここまでお読みいただき、ありがとうございました。

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