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歴史は「お酒」、地理は「お店」に似ています。

お酒にはアルコールが(ふつう)含まれており、
人を酔わせる効果があります。
お店にもいろいろある。
大衆食堂など誰でも入れるお店もあれば、
怪しい、ぼったくられそうなお店もある。

本記事は、歴史と地理について、
それぞれのたとえで深掘りします。
「学校教育における」歴史と地理を。

まず歴史=お酒。

お酒と一口に言っても、種類があります。
とりあえずビール。
日本酒、ワイン、ウイスキー、チューハイ。
ノンアルコールのお酒もあります。

ノンアルコールの健全なお酒=歴史。
口当たりの良い、甘いお酒=歴史。
二日酔いや悪酔いしやすいお酒=歴史。

どのようなお酒に親しんでいるかは、
どのお店で誰とどんなお酒を飲んできたかによる。

飲んだことがない人もいるかもしれない。
学校では歴史の授業がありますが、
提供されても飲むのを固辞する人もいる。

学校ではさまざまな歴史=お酒があるうちの
比較的「健全そうな」お酒が取捨選択され、
味わうことが多い。
学校ですから。

ただ、教師によって、変わります。

凄く「面白い」「授業」をして、
生徒を「酔わせる」教師もいる。
「狂師」と言ったほうがいいくらい、
独特で先鋭的で悪酔いするお酒=歴史の
一気飲みを強要する教師もいるかもしれない。
かと思えば、無味無臭の水みたいなものを
教科書に沿い、ひたすら朗読する教師もいる。

利き酒みたいに、様々なお酒の
味比べをさせてくれる教師も、いる。

読者の皆様は、学校の「歴史の授業」で
どんな「お酒」を飲んできましたか?
好きですか、嫌いですか? 酔いましたか?

…ここで歴史=お酒は置いておき、
地理=お店の話をしていきましょう。

お店、といっても千差万別。無数。
教科書的には「これを教えろ」という
標準のものはあるのですが、範囲が広い!

学校の「地理の授業」と言えば、
皆様は、何を思い浮かべますか?

例えば「四十七都道府県を覚えよう」とか、
「ドイツにはルール炭田があるんです」とか、
そういうものを想起されるかもしれない。

…でも、よくよく考えると、
地理ってそれだけではない。

私はいささか地理を学んできましたので、
「地理」と「地誌」との区別
知っています。
(この違い、意外と知られていない)

誤解を恐れず一言でざっくり言えば、
地理は、その「地」の「ことわり」。
地誌は、その「地」の「トリビア」。


仮にそのように言いかえてみますと、
先ほど書いた「四十七都道府県」とか
「ルール炭田」という言葉的な知識は、
どちらかというと「トリビア」的な知識。
ただ日本に住む以上、四十七都道府県は
「必須の知識」になります。
(日本に住まない人にはトリビアです)

これが「なぜ四十七都道府県が生まれたのか」
「これから数は増えるのか減るのか」など
「ことわり」にまで踏み込めば、
地誌ではなく地理っぽくなっていきます。
歴史や未来予想もブレンドされる。

博識、百科事典的な「地理の言葉」、
それをどんどん調べ学ぶのが「地誌」
(AI検索に取って代わられそう)
そうではなく、ことわり、
「なぜ」を組み込んでいくのが「地理」
(これもじきAIに取って代わられるかも)

…ここで一つ、エピソードを紹介します。

その昔、中学校の地理の教科書が、
一瞬だけ(ある一定の時期だけ)
大幅に変わったことがあるんです。
(教科書会社によって差はありましたが)

「地理・地誌は、無限に学ぶことがある。
しかるに、教科書は紙幅が限られている。
だらだら各地方の地誌を羅列しただけでは
生徒もつまらない。
ゆえに地理の学び方、ことわりの探し方、
その土地の調べ方こそを学ぶべきだ!」と。

その考えの下に、例えば日本地理で
ある一定の地方「だけ」掲載し、
(全部の地方の地誌を学ばせることはせず)
どのような調べ方をするのか、

それを中心に記載されることになりました。

結果、どうなったのか?
…クレームの嵐になったそうなんですよ。

「なぜこの〇〇地方だけを掲載して、
〇〇地方は掲載しないのか!」
「ゆとり教育、ここに極まれり!」
「全部の地方を『覚えさせてこそ』地理!」

この「地理」っぽい教科書は撤回され、
「地誌」っぽい教科書が復活しましたとさ、
というエピソード。
早すぎた「アクティブ・ラーニング」!
現在なら、少し違うかもしれませんが。

これは教科書会社が悪いというより、
学習指導要領等の「変更」が生んだ悲喜劇、
「知識」と「探究」どちらが先か、という、
古来から何度となく繰り返されてきた
メトロノームの議論の一つ
、かと思われます。

ちょっと脱線しましたね。
話を戻すと、地理=お店。

「地理」は、マーケティングです。
なぜ、その地に、そのお店があるのか。
「地誌」は、食べログでしょうか。
どこに、どんなお店があるのかの知識。

そういうものを、学校の地理では、
「比較的無難なもの」を
「地誌に地理をまぶして」
「いかがわしいお店はあまり扱わずに」
学ばせていることが多い
、と言えます。

まあ、学校教育である以上、
基準の下、巧妙に「取捨選択」されていますが。
国によっても、驚くほど、違います。
(私などのひねくれ者は
「教科書に載っていない」特殊なお店を
SNSで紹介したりするんですが…)

最後にまとめていきましょう。

本記事では、歴史=お酒、地理=お店、と
たとえて、主に学校教育における
歴史と地理について、書いてみました。

歴史に「酔っている」人、いますよね。

特に「歴史上の英雄」は酔いやすい。
口当たり良く人を酔わせるカルーアミルク。
織田信長、坂本龍馬のように生きたい!
そう思う人は、この世にたくさんいる。

酔うこと自体が悪い、とは言いません。
人間、殻をぶち破る時には
「酔った勢い」も必要。


しかし、世の中には色々なお酒があるのに、
利き酒、飲み比べもせず、
ある一定のお酒だけを飲み続けて
歴史の「偶像」にアルコール中毒になるのは
いかがなものか、とも思うのです。
あくまでツール、エンタテインメントにしたい。
歴史を飲んでも飲まれるな、です。

地理の「常連」になる人もいます。

ある一つのお店に通いつめる。
同じメニューしか、頼まない。
それは、スタイルですから、否定しません。

しかし、この世には無数にお店があり、
一つのお店の中にも、
複数のメニュー、切り口がある。


時には知らないお店を訪れたり、
他のメニューを頼んだり、ただ味わったり、
「孤独のグルメ」的な、そういう行為で
新たな「地平」が開かれることもある。

最後に一言、提案するなら、

歴史と地理は「面白く奥深い」ので
皆様「ご自身の」歴史と地理も含めて
「リスキリング」してはいかがでしょう?

以上、実用地歴提案会のバーテンダー、
ヒストジオいなお、でした。

(参考までに、今の教科書、見てみて下さい。
たぶん、中年世代以上は驚愕すると思います)

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