並立の三文字熟語、三国志っぽい熟語
日本語というものはとてもユニークでして、
漢字を並べることで「熟語」として
使うことができる言語です。
二文字熟語が最も多いですが、
四文字熟語にも有名なものが多い。
例えば「弱肉強食」「焼肉定食」など、
味のあるものが多いですよね!
「故事成語」もたくさんあります。
では、三文字熟語はどうでしょう?
…うん、パッと思い浮かびそうで
浮かばないこともある。
いや、もちろん使ったりは
するのですけれども、
改めて考えてみると、どうでしょう?
特に三文字熟語の中でも
「並立の構造にある三文字」を使った
熟語には、味があるものが多い。
つまり「それぞれの漢字が
並び立っている」熟語です。
例えば「報・連・相」。
漢字の三国志状態の熟語で、
「魏・呉・蜀」的なもの。
…さあ、読者の皆様は
そんな「並立の三文字熟語」を
どれくらい思い浮かべられますか?
私も何となく気になったので、
本記事では、そんな熟語を集めてみました。
「これ、知ってる!」という熟語もあれば、
「そんな言葉もあるのか」という熟語も。
私も、改めて「へえ~」と思った次第です。
では、以下からお楽しみください。
①心技体(しんぎたい)
こころとわざとからだ。
「心技体が揃った大横綱!」
などのように使います。
技、技術ばかりうまくても、
心映えや身体が整っていないと
「心技体が揃っている」とは言えない。
立ち合いの変化やはたき込みばかりで
勝っていては、大横綱とは言えません。
②衣食住(いしょくじゅう)
衣服、食事、住居です。
最近「衣食住と医ショック情」という
記事を書いてみましたが、
(本記事の下部のリンクからぜひ)
人間にとって必要なもの、ですよね!
③天地人(てんちじん)
天の時、地の利、人の和!
天下を取る時に必要なもの、と言われます。
大河ドラマのタイトルにもなりました。
(主人公の直江兼続は、結局
天下は取れませんでしたが…)
タイミング、地理的条件、人材。
確かに、どれが欠けても
うまくいかない、ですよね。
④真善美(しんぜんび)
まこと、ぜん、うつくしいもの。
もう少し詳しく言うと
「認識上の真」(論理学的に正しい)
「倫理上の善」(倫理学的に正しい)
「審美上の美」(美学的に美しい)
という三つをあらわします。
カント哲学の影響で、
日本語として定着したようです。
人間の理想としての、普遍的な価値…!
⑤守破離(しゅはり)
まもる、やぶる、はなれる。
茶道や剣道などで、
修行における段階を示したもの。
◆「守」:型や教えを会得して型を守る
◆「破」:他の師の教えも取り入れ発展
◆「離」:流派から離れて新しいものへ
⑥序破急(じょはきゅう)
日本の雅楽の舞から出た言葉。
ここから、能楽、連歌、剣術、茶道
などにも援用されています。
芸能や演劇上の演出にも使われる。
「序」はゆっくりで、
「破」は中間、
「急」は速くなる…。
「序」は何事もなくすらすらと、
「破」は変化が起こり、
「急」は短く軽快に…。
要はメリハリ、展開上の変化、
そういったものをあらわすようです。
⑦松竹梅(しょうちくばい)
並立、というよりは序列、
価値の上下の意味を含みますけれども、
漢字三文字としては並立ですね。
もともとは三つとも「寒さに耐える」ので
歳寒三友とも呼ばれ、ランク上下なしに
「めでたいもの」の意味でした。
お寿司屋さんでも使われる。
うな丼では、松が一番上になることが多い。
美味しいうな丼になるほど待たされるので、
「待つ(松)だけ(竹)にうめえ(梅)!」
なんて言うそうです。おやじギャグか。
⑧梅松桜(うめまつさくら)
松竹梅が出てきたので、こちらも…。
「花札」の役ですね。
梅の札と松の札と桜の札を集めれば、強い。
「猪鹿蝶」(いのしかちょう)もそうです。
「松桐坊主」…は四文字か。
⑨雪月花(せつげつか)
雪と月と花で、四季折々の自然美の
代表的なものをあらわしています。
冬の雪、秋の月、春の花。…うん、綺麗。
元々は唐の詩人、白居易(はっきょい)の
『雪月花時最憶君』の詩句から。
(雪月花の時に君を憶ふ、ですね)
「月雪花(つきゆきはな)」と言うことも。
ちなみに、夏の「風」を足して、
雪月風花、とすることもできます。
日本三名園にそれぞれ当てはめたりして、
「風流なもの」をあらわすこともできます。
雪:兼六園(金沢)
月:後楽園(岡山)
花:偕楽園(水戸)
⑩知情意(ちじょうい)
知性と感情と意志。
人間の心における三つの大事な要素。
「私は何を知りうるか?」
「私は何を望んで良いか?」
「私は何をなすべきか?」
こう問いかけた哲学者カントの言葉より。
どこにでも出てくるな、カント…。
⑪正反合(せいはんごう)
哲学者つながりで、ヘーゲルも少し。
一つの判断(正)、それに矛盾する判断(反)、
これがぶつかった時、
一段と高度な総合的な判断(合)が生まれる…。
アウフヘーベンする、なんて言います。
正、反、からの合!ですね。
⑫陸海空(りくかいくう)
文字通り、陸と海と空です。
軍隊の分類などで使われますね!
交通の世界でも使われる。
⑬市町村(しちょうそん)
規模によるランクの上下はありますが、
これも並立の漢字だ。
都道府県、だと四文字。
市町村、だともう少し規模が小さい。
⑭仏法僧(ぶっぽうそう)
とたんに歴史っぽい熟語です。
かの聖徳太子(厩戸皇子)が、
「この三つ、大事にしよう」と言ったもの!
仏そのもの、教え、教えを奉ずる僧侶。
「あつく三宝を敬え」とされた。
余談ですが、鳥のブッポウソウは
その鳴き声が
「ブッ・ポウ・ソウ」と聞こえるから、
ということで名付けられたそうです。
でも、この鳥の鳴き声、
「ゲッ・ゲッ・ゲッ」としか聞こえない…。
のちに「ブッ・ポウ・ソウ」っぽく鳴くのは
フクロウのコノハズクだ、と判明しました。
…1,000年以上も勘違いされていたんです。
でも、今さら鳥の名前を「ゲッゲッゲッ」に
変えると鬼太郎になっちゃうので、そのまま。
⑮報連相(ほうれんそう)
…お待たせしました。
報告・連絡・相談ですね!
ビジネスパーソンには特に必須です。
報連相を受ける側は『おひたし』つまり
「お」こらない、「ひ」ていしない、
「た」すける、「し」じする、も
大事だ、と言われています。
ちなみに個人的に私は、報連相は
『バターいため』
(後で「バタ」バタしな「いため」)
に行うのが良い、と思っています。
最後にまとめます。
本記事では、並立構造にある
三文字熟語を色々と紹介しました。
もちろん、これ以外にもある、と思います。
読者の皆様は、どのような
三文字熟語が思い浮かびましたか?
※三文字熟語「報連相」についてはこちらもぜひ↓
※「衣食住」にかけて考えてみた、
『医ショック情のアンケート結果と「心技体」』
の記事はこちらから↓
※アンケートを実際に
実施した記事はこちらになります↓
※以前にもこのテーマで記事を書きました↓
『「衣食住」と「医ショック情」』
※前回は異なる質問で
アンケートを取っています。
その結果と分析はこちらから↓
『衣・食・住・医・ショック・情、人間』
合わせてぜひどうぞ!