ボタン一つで仕事に就ける世界、を考える
株式会社リクルートホールディングスの
代表取締役社長兼CEO、
出木場久征(いでこば ひさゆき)さん
のことが気になって、調べてみた
(松本 淳 さんの紹介で、
この方のお名前を初めて知りました)。
この方は、1999年にリクルートに入社。
2021年3月期の
報道機関向け通期決算説明会では、
「ボタン一つで仕事に就ける世界」
という方針を打ち出した、という。
…ボタン一つで仕事に就ける?
…いやいや、そんなん無理でしょ?
…面接とか、選考とか、どうすんの?
そう思われましたか?
しかし、この方は本気である。
かの有名な『じゃらんnet』に携わり、
それまでは旅行代理店で対面で
予約していた旅のあれこれを、
ネット予約全盛時代へと切り替えた
実績もお持ちの方なのだ。
圧倒的に「ユーザーにとって」
価値があるものは何か?
それを、ひたすらに考える人なのだ。
じゃらんnetにおいても、導入時には
「旅館はパソコンなど持ってないよ」
「対面で相談することこそいいんだ」
「青森県でPCで予約できる宿は1件だけ」
と、かなり反対されたそうだ。
ならば環境を整えればいいじゃないか!と
宿に向けてPC環境を整備すべく、
PCやネット接続の営業をしていく。
「何屋さんかわからない」
そう自嘲することもあったらしいが、
今では「旅館のネット予約」こそが、
スタンダードになっている。
旅行の予約の世界を、
ガラリと変えたのだ。
出木場さんは他にも
「ホットペッパービューティー」など
美容院等の予約の世界も、変えていく。
先を読み、考えて、実際に行動する。
その出木場さんが次に目指すのが
「ボタン一つで仕事に就ける世界」だ。
彼はある対談記事の中で、
その動機を持った契機をこう話している。
一部、引用したい。
※引用元の記事は、コメント欄に
リンクを貼っています。
(ここから引用)
『僕がHR分野に興味を持ったきっかけは2010年ごろのジャカルタでの原体験にある。炎天下で赤ちゃんを抱えて"プロヒッチハイカー"をする女性に「他に仕事はないの?」と聞いたら、そもそも仕事探しのやりかたが分からない、と。ジョブなんかどこにもポストされていない国もあった』
『これは人々にとっても、国の経済にとっても、良くないことなんじゃないか、と。当時僕はM&A先を探す役割だったから、投資家の方々と会話をする機会が多かった。「HRなんてニッチな産業はセクシーじゃない」という人も多かったけれど、自分では、人が仕事に就くということはとても大事なことで、このビジネスは凄く意義があると思えたんだよね。』
(引用終わり)
さらに、彼は採用についての
「ロスタイム」についても、
こう語っている。
(ここから引用)
『例えばインドではレストランの求人に1000人くらい応募が来る。お店側には999人に不採用の連絡をする労力も、インセンティブもないから、ノーレスになってしまう。求職者側は不採用なのかどうかすら分からないまま時間が経っていく...』
『実は仕事が無い状態が3ヶ月続くと、そのまま貧困に陥ってしまう可能性が高い、ということも分かっている。だからこの状況は無くした方がいいに決まっているんだ』
『でも、このノーレスの問題は、仕事に就くまでのプロセス全体から見れば、「応募」というごく一部の工程で起こっていることに過ぎなくて、実際には書類選考、面接日時設定、面接...とプロセスはたくさんある。例えば「面接する」という目的ひとつ取っても、企業側は面接をセットするのに関係者のスケジュールを調整したり場所を押さえたりと相当な時間がかかっている。その分求職者には、応募から面接までの間のロスタイムをどんどん増やしてしまう。こんなふうに、各工程でさまざまな「不」が存在しているのが現状なんだよね』
(引用終わり)
現状の問題に気づいて「発見」し、
それの何が問題かを「言語化」して、
じゃあどうすれば良いか、と
理念と具体的な方法を「提案」する。
インドのジャカルタに行った人は
たくさんいるだろうけれど、
「プロヒッチハイカー」との出会いから
「ボタン一つで仕事に就ける世界」まで
発想し、たどり着いた人は、
他にどれくらいいただろうか?
(もちろん、2010年にその経験をしてから
2021年に報道機関に発表するまで
約10年の歳月をかけている。
この間にも、恐ろしいほどの思考が
繰り返されたと推測する)
このあたりの質疑・対談の流れは、
ぜひコメント欄にリンクを貼った
元記事にて、お読みいただきたい。
最後に、彼のまとめの言葉を
引用紹介して、本記事を終わろう。
(ここから引用)
『-自分たちにしかできない。その理由は?
データの豊富さかな。世界中でこの規模感でこの領域に対峙しているグループは他にないと思うし、だからこそ自分たちが一番責任を持つべきだと思っている。逆に10年、20年後も「レスが来ない」「仕事が決まらない」と嘆く人が減っていなければ、それも自分たちの責任。その時たとえ「売上げがXXになった」とか言ってても...ダサくない?そうならないように、どこまでできるか分からないけど、地道に頑張ろうと思います』
(引用終わり)
…解決すべき社会全体の課題を、
自分(たち)の課題として感じ、
意義づけて、言語化して、
それに対して自分(たち)は
他と比べて、どんな価値を提供、
提案できるかを考え抜いて、
できるところから、できることを、
地道に進めていく。
私も、そうありたい、と思った。
◆元記事はこちらです↓
『2021年3月期 報道機関向け 通期決算説明会』
はこちら↓
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