伝説のプログラマー、空を駆ける
ナーシャ・ジベリさん。
…この名前にピンとくる方は
プログラマー史に詳しい方か、
生粋のゲーマーかもしれません。
日本では「FFのプログラミングをした人」
として(その筋では)有名です。
ゲームの「ファイナルファンタジー」の
1~3というシリーズ最初の頃の
プログラムを担当した人。
本記事は、彼について。
1957年、ジベリさんはイランに生まれました。
王族の出身でした。
1978年、イラン革命が勃発。
ホメイニーを指導者とするイスラーム教勢力が
イスラム共和国を樹立します。
王族のジベリさんは、故国を追われました。
彼は渡米して、コンピュータ科学を学び、
1980年にはソフトウェア会社を設立。
折りしもジョブズたちが率いる
アップルが1977年に発売した
「Apple II」で「パソコン」が世の中に
普及しつつある頃でした。
この「新しいコンピュータ」は
「パーソナル」で
「アプリケーションソフト」によって
自分の好きなように構築し、
動かすことができます。
新しいソフトウェアを開発して
この流れに乗る!
ジベリさんはいくつかのソフトを
世に出したのですが、
残念ながら時代を先んじていた彼は
時代に受け入れられなかった。
1981年に、退社しました。
(その後、会社は倒産しています)
彼は、世界放浪の旅に出ます。
そんなある時「ブローダーバンド」という
ソフト会社を設立した
ダグ・カールストンという人を訪ねた。
そこに、運命の出会いが待っていたんです。
「その時、歴史は動いた」。
この会社は、ゲーム開発をしていました。
日本でも有名なタイトルを挙げると、
「ロードランナー」「カラテカ」
「バンゲリングベイ」など
(うーん、中年世代には郷愁が…)。
その場に偶然、居合わせた男。それが
「スクウェア」(現スクウェア・エニックス)の
初代社長、宮本雅史さんでした。
彼はジベリさんと同じ年、
1957年の生まれ。
大学在学中から
コンピュータの時間貸しビジネスを
始めていたほどの先駆者。
1986年には、電気工事会社の「電友社」から
ソフト部門を買い取る形で
スクウェアを設立していました。
この出会いをきっかけに、
ジベリさんはスクウェアに入社。
そこで出会ったのが、
FFシリーズの生みの親こと、
坂口博信さんなのでした。
坂口さんは1962年、茨城県日立市の生まれ。
中高時代は音楽ばかりやってゲーム嫌い、
触りもしなかったそうですが、
大学時代に『ウルティマ』『ウィザードリィ』
などのRPGにハマりました↓
1983年に、電友社にバイトとして入社。
ソフト部門のスクウェアの
スタッフとなっていたのです。
ジベリさん、宮本さん、坂口さん。
他、何人かの主要メンバーが、結集した。
何かに導かれるように…。
リアルなファイナルファンタジーのように…。
ただこの当時は、
新しい業界の零細企業に過ぎません。
明日はどうなるかわからない。
そんなスクウェアが
「当たらなければ市場撤退!」という
背水の陣で開発したのが、
1987年12月に発売された
『ファイナルファンタジー(1)』なのでした。
主要なメンバーだけ挙げますと、
今から振り返れば
「神々級のレジェンドたち」ですが、
当時は、神でも伝説でも何でもない。
社運を掛けて必死にいいゲームを作る
スタッフ陣でした。
これが、大ヒット!
スクウェアは、大手ゲーム開発会社への
道を歩んでいくことになります。
◆1988年『ファイナルファンタジー2』発売
◆1990年『ファイナルファンタジー3』発売
ジベリさんの逸話としては、
以下の話がよく知られています。
(ここから引用)
(引用終わり)
翌日にすぐ、不可能を可能にするような
プログラムを組んでくる…!?
ジベリ、恐ろしい子…!という感じ、ですね。
以下の逸話も、有名です。
(ここから引用)
(引用終わり)
プ、プログラムを全部、暗記…!?
まさに『ガラスの仮面』の主人公
北島マヤを彷彿とさせるほどの
恐ろしい異形の才能!↓
まるでFFを開発するために、
何かがスクウェアに遣わしたかのような
伝説のプログラマー、ではないか?
しかしその彼は、FFシリーズの
1・2・3まで関わって、
『聖剣伝説2』の開発以後は
再び世界放浪の旅に出て、
消息を絶ちました。
最後に、まとめます。
「えっ、何、この展開!?
『ジベリさんの行方は、杳として知れない…』
というラストなの?」と思った方、
どうぞご安心ください。
(あくまでWikipedia情報ですが)
1998年、ダラスで開かれた
Apple II 20周年パーティーにおいて、
彼は公の場に姿を現しました。
カリフォルニア州都のサクラメントに在住、
2007年にも、とあるパーティーに
出席したことから消息が確認された、とのこと。
…革命で故国を追われ、
アメリカに飛んでコンピュータを学び、
日本に飛んでFFの世界を
プログラミングによって世に出した、
プログラマー。
ファイナルファンタジー。最後の幻想。
それを超絶プログラミングで実現したのは、
ナーシャ・ジベリさんという
世界を「飛空艇」で飛び回る
幻想的な冒険者だったのです。
いや、その人間離れした才能から言えば、
天空を飛び回る伝説のドラゴン、
と言ってもいいかもしれません。
…読者の皆様は、いかがでしょう。
冒険を、していますか?
素晴らしい仲間との出会いは、ありますか?