いったい何を優秀と呼べばいいのか
小学生のころ、勉強が良くできたので、こうやってまじめに勉強していけば、将来それなりにたくさんお金を稼げる大人になれるんだと思っていた。
でも、私が就活をした2009年、2010年はリーマンショック後で就職難。
そもそも新卒の就職活動って、どんな仕事をするかもわからないのに企業に就社するためにエントリーシートを書いたり、面接で志望動機を言ったりしなければならず、やりたくなかった。
学生時代はいつも優秀な成績だった私が内定なしで大学を卒業した。
勉強ができることと高収入は直接は結びつかない
大学卒業後は、大学時代から少しやっていたイベントコンパニオンの仕事をしたり、短期留学に行ったりした。
その後、親が新聞の折り込み広告で見つけてきた派遣の英文事務の求人に応募して採用され、派遣社員として働くことになった。
大学卒業後初めて就いた派遣の仕事の時給は1350円。その後、派遣で転職を繰り返し、最高時給は2000円だった。
派遣の事務職で時給1800円以上の求人は全体の上位10パーセント。
まぁ、都心部は時給が高いというのもあるけれど、それなりのスキルがなければ時給1800円以上の派遣の仕事には就けない。
派遣社員としては高収入。でも、大手企業の正社員として就職してずっとその会社に勤めている男性より年収は低い。
雇用形態でマウンティングしてくる奴ら
派遣の仕事は、企業内で正社員のサポートをするポジションとして雇われることが多い。
だが一方で、企業内の正社員のなかにその仕事ができる能力がある人がいないから、スキルや知識がある人を派遣で雇う場合もある。
私は外国特許事務(外内特許事務)や内外特許事務などの、英語力も各国の特許法や商標法の知識も必要な専門事務職をしていたが、そういう誰にでもできる仕事ではない専門的な仕事をしていても、「派遣社員」というだけで見下してくる奴はいた。
たぶん、そういう人たちは、実際に優秀で仕事ができる派遣社員に会ったことがないのだろう。
私の場合、派遣先には結構恵まれていて、就業している職場ではちゃんと評価してくれる正社員の人が多かった。
協調性などのソフトスキルを持っているほうがまだ有利な日本社会
現在の日本社会や企業では依然として、スキルや仕事をする能力が高いことよりも、周りの人とうまくやっていくソフトスキルを持っている方が、有利なことが多い。
大して仕事ができなかったり仕事が遅くても、周りの人に気に入られたり、職場でそれほどストレスを感じずに居座り続けられる人が、年功序列で高収入を得ていく。
そういう人が、優秀な人なのか?
時代や社会に合っていただけ
高収入の人には、優秀な人ももちろんいるだろう。ただ、この時代や日本社会で高収入になりやすいタイプの人間に、たまたま当てはまったというだけの人もいる。
何が優秀かは、時代や国や地域によっても違う。
今、低収入や無職やニートの人も、生まれてきた時代や国や環境が合っていなかっただけで、他の条件下に生まれてきたら、「優秀な人」と周りの人から評価されながら生きていけたかもしれない。
逆に、今優秀とされていたり、高収入を得ている人も、生まれてきた時代や国や環境が違えば、優秀でも高収入でもないかもしれない。
この時代や国や環境に居合わせたことが、運が良い人も悪い人もいる。
国や環境は変えることもできるが、生まれる時代は選べない。
だから今の自分にできることは、この時代のなかで、自分の才能を活かせるフィールドを選んで、そこで勝負すること。
辛い場所でもがいているならいっそのこと逃げ出して、自分が勝てるフィールドに行こう。