歴史教育が投票率を上げる?(アメリカ留学放浪記)
先月去年の衆議院選挙に引き続き参議院選挙が行われた。
近年日本では若者の投票率低下が長らく指摘されており、各選挙ごとに著名人による若者に投票に行くよう訴えるキャンペーンが行われ、ニュースや選挙特番でも若者を意識した番組が組まれるようになっている。
若者の投票率は未だに低く推移している
確かに今参院選で18歳、19歳における投票率は速報値で34.49%となり前回比で3.16ポイント高くなった。しかし以下のグラフが示している様に年代別で見ると10代、20代の投票率が一番低く推移している。
若者の投票率はなぜ上がらないのか?
では低く推移している現状として何が挙げられるのか?「若者が政治に興味がない」、「若者は自分のことしか考えていない」等々様々な意見が散見されるが私はどれもこの問題の確信をついているとは思っていない。
すなわち私はZ世代を中心とした若者世代には主権者教育がなされなかった、つまりは一人一人が主権者としての意識を持てていないことがこの問題の核であると私は考えている。
主権者意識とは一朝一夕で身につくものではなく、どんなに呼びかけても投票率が上がらないのは必然なのだ。
主権者意識醸成に何が必要なのか?
では主権者意識を持つには何が必要なのか?それはすなわち「社会事象をいかに自分ごととして捉えられるか否か」であると私は考える。30代〜60代までの現役世代は政治といった社会事象が自分の生活に直結することもあり、否が応でも社会事象について考える必要がある。その反面、まだ社会に出ていない若者は政治を筆頭とした社会事象を自分ごととして捉えるのは難しい。
しかしその様な中でも若いうちから社会事象を自分ごととして捉え、選挙の前には国の一大イベントとして積極的に議論する国がある。
そう、アメリカである。
アメリカの若者の投票率は日本と比較して高い
以下のグラフを見て頂きたい。
18〜20歳までは日本とそこまで変わらないものの、21〜24歳で日本の同年代と投票率で大きな差が生まれている。令和3年度で20歳代の投票率が36.5ポイントなのに対し、2016年のアメリカでの選挙では21〜24歳が55.2%となっている。
以上からアメリカは日本と比較して若者世代における主権者意識が根付いているといえる。
アメリカ公立高校で1年間教育を受けた結果
筆者は高校1年次交換留学プログラムを利用しアメリカに約1年間留学していた経験がある。私はそこで初めて日本でも学んだことのない世界史を必修科目として受けることになったと同時に、日本で行われている(少なくとも筆者が経験してきた)授業とは似ても似つかない授業スタイルに衝撃を受けた。
私が今まで経験してきた歴史の授業というと先生が教壇に立ち、スライド資料や教科書を利用して一方通行の講義をただひたすら聞くというものであった。おそらくこれを読んでいるほとんどの方も経験したことがあるのではないだろうか。
対してアメリカではまず座席配置から違う。生徒が教室内で円を描くように座り、その中に先生が立っている。ある特定の歴史事象を議題として掲げ、生徒の意見を交えながら議論する。そして、生徒は積極的に手を挙げ自分の意見を言う。
つまりアメリカの授業は生徒に主体的に学ぶ姿勢を身につけさせるのである。そして主体性を持ち歴史を触れると言うことはすなわち歴史事象と生徒との距離がとても短くなる、言い換えれば歴史事象をあたかも自分ごとのように捉えることができるのである。
またこのようなオープンな議論の場を日頃から与えることで、日本では生徒間でタブー的存在になっている政治の議論に関しても話しやすい土壌ができていると言える。
「歴史」と言う科目の有用性
つまり、私は「歴史」がと言う教科が、教え方次第では社会事象を自分ごととして捉えるための練習、主権者意識醸成の場として使える科目だと考えている。
現に私の友人も選挙権を持つ前ではあるが、政治等々に関して強い関心を抱いており、「自分の未来だからしっかりと考えるようにしている。」と言っていたのが印象的であった。そして何よりその友人がしっかりと社会事象に関心を持ったきっかけも『歴史の授業におけるプレゼン』であったという。
もちろん歴史教育が主権者意識醸成の全てではない
ここで示したのはあくまでも私と友人の経験談によるものであり、必ずしも皆の主権者意識に歴史教育が関与していると言うつもりはない。しかし、何れにせよアメリカの教育現場で行われていることはまさに日本の教育に欠けている点であり、しっかりと『主体的に学ぶ学習環境』を整えていく必要があるのではないであろうか。
現状の日本の歴史教育は暗記メイン・受験のための道具であり、本来学ぶ意義があるはずが蔑ろにされています。まずは歴史に触れ始める小学生が楽しめるような歴史カードゲームを通じて、私たちのビジョンである「歴史を楽しく主体的に」を実現しようと考えています。応援よろしくお願いします!