映画『Tar』
不謹慎な感想だけど面白かった。
キャンセル・カルチャーを、女性を主人公にして描く、複雑系問題提起型映画。
なのだけど、そこらのクラオタを、演奏ではなく、スキャンダル持ち音楽家の実名晒しで喜ばせる、ゴシップ・カタログ的な側面も。
この映画、音楽疎くても大丈夫なのかな?
個人的にぐっと来た場面。
本編とは無関係に、ビーチャムとあるオーボエ奏者のエピソードが会話の中に軽く挟まれるのだけど、あれこそ究極の隠喩で、この映画の本音かもな、と穿った想像をしてしまった。
最後、東洋の洋楽界もしっかり腐している。
そこまで含めてよかった。
だから後味は悪い。
リアリティのあるディテールと、映画的ファンタスティックな部分のミックス具合が、この映画、一体、誰向けなの?って感じもあるけど、主役の演技が素晴らしいから、全てよし。
個人的には、ドレスデン・フィルは、今、一番惚れている楽団なので、もっと音を聴きたかった。