絶望的な朝、のハナシ
この記事は、2020年7月、都知事選の日にFacebookに書いた内容です。
おはようございます!……この朝は迎えたくなかった、と明日の新聞を見て思うことでしょう。
今まで私の選挙への態度は、比較的気楽なものだったのだなと思い知らされた。なぜなら、私が信じている政治の方向性は、どの政党も持ち合わせていないからだ。なので、あくまでいつも次善として投票先を選んできた。この態度には責任が伴わない。ある意味、気楽である。
だが、今回の都知事選においては、この方だけは当選は困るという対象がある。現職だ。
経済・社会と感染対策のバランスを完全に失して、都民感情をただあおる。
有権者の感情をあおる→自分に投票する人が増える、という構図は、民主主義でもっとも気を付けるべきことであると僕らは習ったはずだ。
そう、太平洋戦争がまったく同じ構図だった。
「駆逐艦X隻撃沈」という数字を毎日数えていたのは、感染者数を毎日大きく報道していることとそっくりである。なぜ大きく報じるかというと、読者/視聴者が求めるからである。
そして、「駆逐艦X隻撃沈」という報道は、「国のためにみんなで耐えよう」という報道に徐々になっていく。新型コロナでも同じことになる。いやいや、ACジャパンまでもがSTAY HOMEと言ったのには驚いた。
亡くなった方には申し訳ない話ではあるものの、1000人に満たない死亡者と、現在行われている経済対策の金額がバランスしていないことは明白である。
第一に、命は地球より重いかもしれないが、広義の福祉政策は、複数ある選択肢のなかから選ばれるべきものだ。感情の高ぶりで特定の政策(コロナ対策)に偏重してよいものではない。
疾病研究(といっても様々な分野がある)、予防医療、再生医療、各種福祉政策、貧困対策、防災、交通安全技術への投資。このいずれひとつにでも、今回の国と地方自体の経済対策の10分の1でも投下すれば、現在の死亡者数を優に超える人々を助けることが可能だっただろう。
福祉現場にいる人なら分かるはずだ。あと1000万円、いや500万円あれば、もっと多くの人を救えるのに、ということが多々あるだろう。そうしたことに回すことのできたお金が、今どんどん別のことに使われている。
そんなアンバランスな政策がばかげていることは、冷静に考えればわかることだ。
第2に。
命題は、「経済の維持」対「感染症による死亡者数」のバランス、ではない。
では、「経済苦による自殺者数」対「感染症による死亡者数」か?
これも違う。
経済の語源は「経世済民」である。経済が民を救う、ということだ。
いつの時代も、経済が回ることで、社会は幸福度を増してきた。日本の学校ではそういう教え方はしないけど。
これはものすごく簡単なことで、原始的なコミュニティであれば、マンモスを狩ってくることが「経済」であり、そのリスクを誰かが負って実行せなばならない。でなければ、コミュニティ内の祭事も医療も教育も維持ができない。
しかし、現代の経済はそれが回っている構造が見えないので、無責任に「とりあえず、ロックダウンしたら?」などと言えるのだろう。現代人は生まれた時からお花畑で生きているのである。もちろんその花畑は幻想であり、現代でもマンモス狩りは必要である。
そうして、正しい命題はいつの時も、以下のとおりである。
「経済ダウンによるあらゆる不幸(死亡含む)」対「感染症による死亡者数」。
冷静に考えれば、当たり前のことだけど。
そうして、諸外国では日本より感染者数が多いが、この命題がすでに念頭に置かれている。
当然だ。
そして、このてんびん、どっちが重いか。
それも明確だ。
人によってはここに、老若の概念を入れるかもしれない。明らかに、右側にお年寄りがいて、若者・子供はてんびんの左側にいる。私はその立場をとることに躊躇いはあるが、一般論としては、社会は若者・子供のほうを優先すべきである。
にもかかわらず、この命題が無視され続ける日本の状況は、もはや天災とは呼べない。人災だ。
そして、さらなる問題点は、新型コロナ対策をすればするほど、休業補償が必要になり、バッファーがなくなっていくということだ。東京都の貯金はなくなりつつある。
バッファーがなくなるということは、足もとの災害はクリアしたとして、次に別の何かが襲来した時にできる打ち手が限定されるということである。たとえば大地震が来たらどうするのか。(その観点からすると、某候補者の15兆円の新規地方債の発行は無謀である。)
冷静に考えれば、貯金を使い切るということがどういうことかは分かるはずだ。
「日本は過剰に対応し、大不況を起こした」と、おそらく、後世の歴史家は記すことになるだろう。リーマンショック級の不況が迫っている。
念のため注記しておくと、そうなった場合、政治家が悪いのではない。「経済」の意味を解せず、あおられる有権者が悪いのである。
その状況を作らないために、今日、投票に行く。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?