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「名言との対話」6月18日。ユンゲル・ハーバーマス「自分に従わせる道具としての言葉の利用は、コミュニケーションではない」

ユルゲン・ハーバーマス(Jürgen Habermas、IPA: [ˈjʏʁgən ˈhaːbɐmaːs]、1929年6月18日 - )は、ドイツの哲学者、社会哲学者、政治哲学者である。
ドイツの哲学者,社会学者。ゲッティンゲン大学,ボン大学を卒業。哲学,思想史,歴史,政治学,社会学にまたがる研究『公共性の構造転換』(1962) で注目される。

その後フランクフルト学派の批判理論の精神を軸に,後期ウィトゲンシュタインやオースティン,サールらの言語行為論,チョムスキーの生成文法,コールバーグらの発達心理学,パーソンズ,ルーマンらの社会システム論など現代の人文社会科学の成果を統合した,きわめて包括的な社会哲学を展開し,人文社会科学の多方面にわたって全世界的影響を及ぼした学者である。主著は『コミュニケーション的行為の理論』。

2004年に京都賞受賞時の紹介文を掲げる。「コミュニケーション行為論、討論倫理学など、社会哲学理論の構築及公共性に根ざした理想社会実現への実践的活動を行なった哲学者」。

現代社会において理論(認識論)と実践(倫理学・社会哲学)とを共に射程に収め、コミュニケーションという行為や討議による合意形成について社会哲学としての理論構築を行い、ありうべき人間社会の姿を描き出してきた。卓越した理論家であるばかり出なく、社会的な実際問題に関しても自らの哲学をきじくに据えて積極的に発言し、社会に多大な影響を与えた。

ハーバーマスは「公共圏」の再生のために、自由なコミュニケーション行為によって、集団間の利害対立を越えて、集団の均衡をはかるだけでなく、内部においても民主的な公共圏を確立することを提案した。

彼のいう「コミュニケーション行為」とは、相手の意思決定に影響を及ぼそうとする戦略的行為ではなく、相手側の納得と承認を求める行為としている。人間同士が自由に考え、関係を作り上げていく合意形成こそが真に生産的な未来社会であるとした。

命令と服従という関係における情報の伝達というような強制関係の集団は近代社会の成熟に相応しくない。自由に考えを表明し、討論し、社会的合意形成を作り上げていく過程こそ、来るべき社会である。

共通の関心事項をめぐって成立するサロン的な場、例えば読書会やサロンなども一種の公共圏だ。平等、公開、自律などが公共圏を成立させる要件であり、近代社会で登場したメディアも公共圏であったが、この公共圏はしだいに権力機構にもなっていった。

現代社会では、インターネット空間も公共圏の一つになってきた。健全な市民社会には、自由な言論の許される公共圏は不可欠であり、インターネットは新しい可能性を秘めている。

多元的社会、多文化社会、多言語社会、多民族国家など、一元的運営に馴染まない近代市民社会や組織では、コミュニケーション行為の活発化する公共圏を媒介に、社会的合意形を常にはかっていく柔軟性と戦略性が求められる。そのコミュニケーションのあり方が公共圏の成立を促し、社会の強靭性を担保するのだと考えたい。


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