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#159 【開発商品紹介】-テクノロジーで伝統工芸を護る‐
こんにちは。
お坊さんのファッションコーディネーター、
袈裟や仏具の企画販売することを通じて豊かなものを拡げていきたい
久柳-くりゅう- の 昌子久晃(しょうじひさてる)です。
いかにして、新商品を開発しリリースにこぎつけたか。
今回は昨年実績のあった新たにリリースした新商品の内容と経緯をご紹介をします。
実際に使われるお坊さんや、モノづくりに興味がある方に読んでいただければうれしいです。
ちなみにnoteでも度々紹介した商品開発講座の「ANSWER」で生まれた商品ではありません。
ANSWERプロジェクトは鋭意継続中。
進捗あればお知らせして参ります。
今回の商品は
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(妙心型)中啓保護ケースです。
中啓というのは、用途は扇子と同じですが、閉じた時の形が少し広がった形となっています。法要などで使われるお坊さんグッズです。
その中で妙心型中啓は臨済宗妙心寺派のみで使われる形の中啓です。
他には大徳寺型というものがあります。
なぜ、独自の型があるのか、という理由については、「京都五山との違いを表すため」ではないかということです。※諸説あります
京都五山とは、室町時代に足利幕府によって定められた臨済宗寺院の寺格制度の一つで、京都における主要な五つの禅寺(天龍寺・相国寺・建仁寺・東福寺・万寿寺)を指します。
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使用する時は以下のようになります。
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これを作ることになった経緯
お客様からの依頼でした。
ある記念行事を控えられている寺院様があり、記念品の相談を受けていました。久柳の仕事ではよくあることです。
妙心型中啓は、カバンに入れていると、すぐ傷む
カバンの中でも傷まない、保護するコンパクトなケースを作ってほしい
それを記念品にしたい
予算は〇〇円ぐらいまでで
「妙心型」中啓は一番外側の部分の骨が非常に細く、紙の部分がむき出していて、通常の中啓に比べてすごく傷みやすいのです。
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記念品の相談はよく受けます。
最初から「これで!」と決まって相談されるケースもありますが、
わりと上記のようなぼんやりした相談も多いです。
記念品は出尽くされて、ネタ切れ、とよく言われます。
私は、まったく違うと思います。
これだけ、世の中にモノづくりに携わっている人が多いのに、ネタが切れるなんてありえないです。
むしろ、ぼんやりした相談をクリアにしていくことは、他社さんとの差別化になっていくものと思っています。
すでにある、出来上がったものを売るのは誰でもできるし、価格だけの判断になります。
試してみたこと、検討してみたこと
形にしていくには、様々な可能性を探っていきました。
紙箱・・・箱の業者さんにあたりましたが、中啓の形にあった紙箱の制作は難しい。できたとしても写真のような、四角の箱(これは元々中啓を仕入れた時に入っていた箱)。これでは中啓の形にあっておらず、「コンパクト」という条件を満たしていない
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桐箱・・・こちらも業者さんに問い合わせ。紙箱同様、四角の形ならできるが、中啓の形に合わせて作るのは無理。
布生地や織物・・・布生地・織物などを中啓の形に添って縫い合わせることも検討しました。ところが、布は表面が柔らかいので、強い力がかかると結局中啓を傷めてしまう。
木材成形・・・コストが合わない。
プラスチック成型・・・1個あたりの単価はこれが一番リーズナブル。しかしながら、高額の金型を準備しなければならない。1,000個とかつくれば別だが、今回は100個もない。(相談される記念品の数量のほとんどはこの水準)
打ち合わせの連続でした。案がでれば打ち合わせして、だめか~、じゃこれは?!の連続でした。
結局なにに落ち着いたのか
試行錯誤の結果、
3Dプリンタで成形しました。
久柳にプリンタは持ち合わせていないので、作ってくれる業者さんを探し、アプローチしました。
データ作成代は必要になってきますが、プラスチック成型の金型に比べれば現実的。小ロット生産にも対応できる。
強度も十分。
試作品を作って、お客さんの寺院にお見せして、高評価を頂きました。
再度、試作を複数重ね、商品誕生となりました。
やっぱりトライ&エラーが大事
結論。
言わずもがなですが、やはり、物事を前に進めるためには、とりわけそれが新しいことであるときは、トライ&エラーが超大事。
とりあえずやってみる。あかんかったら次。
その繰り返し。あかんかって、いちいち凹んでる間があったら次の一歩を踏み出す。
世で名の知れた偉人は結局この繰り返しを愚直にしているんでしょうね。
スケールはものすごく小さいですが、トライ&エラーの大切さを実感しました。
他に転用可能な汎用性ある技術
今回は、中啓保護ケースでしたが、3Dプリンタはどんな形のものも作れちゃうので、汎用性はききます。
これに限らず、何か他のアイデアで新しい面白いものが作れそうですね。
データ代と試作品成形費がかかるので、1個の為だけじゃなく、今回の事例のように複数個作る前提が取り掛かりよさそうです。
「こんなもの作ってみたい」「こんなもの作ってほしい」「こんなのどう?」という事があれば是非問い合わせてみてくださいね。
ここまで読んでいただきありがとうございました。