北海道秘話。"3大" 知らない間にブームになっていたもの 〜 安全地帯「熱視線」
"3大" 知らない間にブームになっていたもの
1995年に大学のために上京してから数年。
地元北海道で妙なブームが沸き起こっていることに気が付きました。それは、スープカレー、ヨサコイ、そして大泉洋(水曜どうでしょう)です。
題して「"3大" 知らん間にブームになっていたもの」
何を語りたいかといえば、2つあります。
1つは、これらは1995年以降のブームであり、少なくとも北海道に長年根付いた文化的なものではないということ。
もう1つは、大泉洋を含めブームの形成についての個人的な考え。
この辺りに、熱視線を送ってみます。
スープカレー
この妙な名前のカレーを耳にしたのはいつのころだったろうか。耳にした時にはすでに、「北海道といえばスープカレーでしょ」になっていました。
カレースープではなく、スープカレー。
カレー味のスープではなく、スープ=カレー。
このネーミングは、なかなかうまいと思いつつも、これが北海道を代表していることに違和感があったのを覚えています。
だって、僕が育った時代には存在していなかったから。
Wikipediaを読むと、それまでは札幌で知る人ぞ知るメニューだったが、横浜ラーメン博物館に出品されてから2003年ごろに大ブームとなったんだそうだ。
つまり、2003年以降、約20年ほどの歴史ということになります。そうなんです、食文化として出現してから、まだ20年なんです。
僕が上京したのは1995年。それから8年ほどたってブームになったわけです。そんなん知らんがなです。すでに関東生活も10年になりつつあった時期。都会にも慣れてきて。懐かしく故郷を思い出して、TVを見れば、どこでも「スープカレー」なわけです。
初めてスープカレーというメニューを食したのは、千歳空港だったか、どこかのレストランだったか。カレーといえば、中濃ソースみたいな、ドロッとした感じが刷り込まれているため、液体のような感触には違和感を禁じ得ない。
誰かがカレーは飲み物だとつぶやいていたが、それの行きつく先がこの液体化だったのだろうか。
そういえば、そのころから、こってり系ではなく、あっさり系の草食系男子が増えてきたのも関連があるのかもしれない。そんなわけはない。
あれからさらに20年。スープカレーはメニューとしても定着。カレー屋さん?と思ったらスープカレー屋だったりすることもしばしば。(神保町の「オードリー」は名店です)
でも、僕が育った時代に食べて、親しんでいたのは、カレーライス。
そう、そのカレーは、函館のボーニで食べていたものであり、田舎町の出前の定番メニューでもあり、バーモントカレーの味でもあり、ボンカレーの味でもあるのです。
あの古き良き北海道のカレーライス。そんなわけで、スープカレー党にはならなそうな今日この頃です。
ヨサコイ
ヨサコイ・ソーラン節。ソーランといえば、ヤーレンソーランであり、ソーラン節である。ニシンが来たかとカモメに問えば「私は渡鳥だから、ずっとそこにいる波に聞け」なんて言われてしまうソーラン節である。
それがなぜ、あのような奇抜な格好で踊る集団に変化していったのか。
集団で踊るのは構わないし、それはそれでよいのですが、やはりあの奇抜な衣装、メイク、奇抜なダンスが、なんとも言えない味を醸し出している。
実はこのヨサコイも時代としては、新しい現象。
wikiによれば、
1990年代に北海道札幌市のYOSAKOIソーラン祭りが成功したことにより、そのノウハウをもとに2000年代にかけて各地に広がった。
ということで、やはりミレニアム以降の大流行なのだ。元は高知県の踊りあたりからの派生らしい。
しかしだ。
あの踊りは、北海道の伝統芸能では無く、新興芸術なのだ。北の国の文化ではなく、流行なのだ。
地元に帰り、ヨサコイをみると、外来種に駆逐された感満載になってしまう今日この頃である。
大泉洋
正直、あまり面白くないと思う。昔のダチョウ倶楽部や、ギター侍のような、無理矢理感が漂っている。
まあ、今ならば、多少認めなくも無いが、ミレニアム前の彼の人気は過剰だった。
水曜どうでしょう、なる番組が北海道を代表するテレビ番組だという話を聞いたのは、上京後の1996年ごろ。
当時、帰省するたびに、大泉洋、大泉洋、北海道を代表するタレント、大泉洋だった。
故郷を離れて数年。知らんがな。また、知らないうちにブームが生まれていた。
彼が北海道を代表する俳優、タレントというのは違うのではないかと感じた。
ジャンルはちがうが、北島三郎、千代の富士、GLAY、細川たかし、中島みゆき、松山千春、玉置浩二、吉田美和らは、ミレニアム前でも、その活躍から北海道代表足るが、やはり当時のチームナックスはちょいと違う気がする。
ひがみではありません。
ブームとは
これら1995年以降に北海道文化、北海道代表として、知らぬ間に始まったブームは、あれから30年弱をへて、完全に定着してしまった。
生粋の道民が知らないうちにブームが生まれ、文化として定着しまうのだ。これほど恐ろしいことはあるまい。
昆虫記で有名なファーブルが、宿主に取り憑いて、宿主を栄養素として成長するある種の昆虫のこの活動を称して、生の学理的強奪と記したが、そんな感覚を覚える。無論、それほど重要な影響があるわけでない。
ただ、ブームが生まれて定着してしまい、文化にすり替わっていくのに、長い時間を必要としない事だけは事実として、記憶するべきだろう。
と、書きながら、神保町のオードリーに、スープカレーを食べに行こうと画策している今日この頃である。