音読劇で読みが深まる
音読劇上演に向けて、音読を工夫する過程で、読解が確かになる。音読表現を工夫する過程で表現力が伸びる。それは物語でも市でも説明文でも可能。配役を交替しながら行えば読みがより多角的になる。音読劇で読みが深まる
例えば、ヘルマン・ヘッセの「少年の日の思い出」を音読劇にして演じる。音読劇にする際には、冒頭部分の物語とそれに続く物語との二つに分けるとよい。そうすると、この物語の二重構造が明瞭に浮かびあがる。
冒頭部分は、語り手を兼ねる「私」と、その客である「友人」が登場。
本体部分は、冒頭部分の「友人」による回想話。そこに、若いころの「僕」や「僕」の隣に住む若者「エーミール」や「僕の母」などが登場。
音読劇上演に向けて、どう音読するかを工夫しながら練習する過程で、内容をより深く読み取る学習が成立し、内容にふさわしい表現方法を工夫する学習が成立する。
一旦、役割分担して音読したあとで、分担した役割を別の子と交換して、再度、音読劇をすれば、登場人物それぞれの立場からの理解が深まり、より立体的な理解がなされる。
同様の学習方法は、ほかの文学作品にも、詩にも、説明文にも適用できる。
説明文では、説明される対象の事物の動きや形を、子どもが演技するという動作を添えた音読劇にする。
説明される対象となった事物を擬人化して、それぞれの事物のせりふを追加した脚本を作り、その脚本をもとにして音読劇にしてもよい。
首藤著『国語を楽しく—プロジェクト・翻作・同時異学習のすすめ』の第4章第4節「翻作による学習活動の具体例」より。
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